さて、そろそろ移動しよう
篝火当たってもうそろそろ昼頃になる
少しだけ時間を過ごす気が思いのほかロードランの思い出にふけってしまっていた
これも突然侵入してきた闇霊が悪い、うん
と、言う訳で私はアビドスの砂漠を今から横断しようと思っている
理由としては、まず一つに地形を把握しておきたいこと
そして二つ目にアイテム類が無いか確認すること
そして最終用目標として…アビドス砂漠の"白蛇"なるものを探しに行くのだ
黒服曰く、この砂漠にはどでかいヘビが居るらしい
機械で作られた相当大きなヘビが生息しているのだ
…蛇と聞いてフラムトを思い出してしまった私はすぐに口臭を気にしてしまったのはどうでもいいこととする
流石に機械の口が臭い訳…無いよな、アイツの口臭酷すぎて三週目くらいからフルシカトしてしまってたわ
そのまま話しかけると何故か奴は「お前に資格はねぇよ」とブチギレる
その理由は私には分からない、なんでなんだろうね
まぁ、そんなことはどうでもいい
双眼鏡を使用し、砂漠を見渡す
輝く太陽が眩しくそのうえで暑い、暑すぎる
辺り一面砂しかない、本当にどでかい蛇なんているのだろうか?
とりあえず進もう、ロードランに比べてこの砂漠は広い
飽きはするだろうが楽しみはいつしか訪れるハズ
…そう信じてないとやっていけないだろうな
まぁそもそもこの程度の暑さでダメージも受けない上水の補給も必要無い私としては殆ど作業と変わりないのだがな
ロードランの旅で食べ物や飲み物を必要としたことは無い
喉が枯れて死ぬ訳でもない、パーッと探してみよう
黒服の言うどでかい蛇が居なければ帰ってしまおうじゃないか
…迷っても、どうせ死ねばいいからな
垂れてきた汗を拭う
生者の状態だからか、汗が滲み出てくる
目に染み込んでくるのがとてもウザったらしい
厚着では無い服に変えてしまおう、そうしよう
相手が大きな蛇であるならば急にこちらを襲うことは出来ない、何らかの予兆がある筈だ
それに気づいてから装備を変えればいい
そう思い、装備を───全部外した
決して理由が無いわけでは無い、本当に理由が無いわけでは無い
少し装備類を探してみたのだがどれもこれも長袖ばかり
一応腰周りに布があるから…まぁ、全裸では無い
少なくとも涼しくはなった…少しは、涼しくなった
それでもこの環境は熱いものである、汗が本当にウザったらしい
しかし、新しい大地を探索するという楽しさが…それを上回る
それにもしかしたら思う存分戦える相手が出てくるかもしれないのだ
それが楽しみである
〇
…何かある
遠目に何かが見えて、私は立ち止まる
そしてすぐさまチェスター一式を装備した
少なくとも動く気配は無い、ということは黒服の言っていた白い蛇は除外される
というよりあれは建物では無いか?私はそう思って双眼鏡を取り出して確認する
辺りに高い壁があり、その中に幾つかの建物が見える
塀の中にセンの古城がある、みたいな感じである
…私にはその古城もどきが何個もあるように見えるのは気のせいか
いや、それだけ規模が大きい拠点というだけだ……うん、そうだよな
「…とりあえず、近づいてみようか」
ここで立ち止まっていても仕方がない
じっと見るくらいなら探索する方が楽しい、うん
というかあんなもの見て探索しない方がおかしいだろうに
────にしても、何故こんな砂漠の真ん中にあんな近代的な物が……?
思考の片隅に生えた、そんな謎は…探索欲に掻き消されたのであった
…あの音は…銃声?
ある程度近づいた私はそう思った
少し近づいてみたのだが、銃声が聞こえるのだ
それも…聞き覚えのある銃声が四つ程だ
聞き間違える筈がない、アビドスの奴らだ
何故かアビドスの連中がこの建物に来ているのだ
理由が分からない、アイツらも蛇を探しに来たのか?
それとも宝探しに来たか…いや現地の人間だ、そんな訳が無い
そんな希望があるほど彼女達の生活は満たされていない
…そもそもそんな物があるなら借金なんてないだろうからな
であれば他の目的……一体なんだ?
………考えても仕方がない、恐らく私には想像できない事情がある
そう思いながら進んでいると戦闘している彼女達の姿が見えた
…ヘルメットを被ってまるで砂のような模様がある服を着ている敵と戦っているようだ
遠目から見る分、敵の姿が見えにくい
…ふむ、そういうものもあるのか、興味深いな……
しかしまぁ、隠れていても導きのターゲットマーカーあるしあんま意味無いしいいか…
「…!」
そこで私はアビドス側が不利なことに気付く
どうやら数の暴力によって押されているようだ
このままだと押し切られてしまうだろう
その時、何かが発射された
…発射されたそれは筒状の何かで……少なくとも当たったら良くない物だ
見てみればホシノが盾を展開しているが、セリカがその防御下に入っていない!
私はすぐさま【ハベルの大盾】を持ち、彼女の前に駆け出し、そして大盾を構えた
〇
「数が……多いッ!」
『補給物資、投下します!』
「もっと投下して!これ以上は…抑えられないかも!」
銃弾があちらこちらから飛び交っていく
それらはもちろん私たちを狙っているものである
知らない組織の建物があったものだから中を見てみれば、それはカイザーPMCのものであった
カイザー、何度もチラついてくる存在
少なくとも小鳥遊ホシノの中では敵、そうなっていた
「そこ」
「ぐがっ」
わらわらと現れるオートマタを一体、また一体と倒していく
連携の強い奴らだがそれだけだ、まだ力技でどうにかなる類いだ
「これで後2回…【発火】!」
「あちっ!?あちちちち!?」
「何それ!?」
少し目線を逸らしてみるとセリカが指パッチンして炎を出す
それにオートマタ達が焼き尽くされる
熱そうだ、まぁ私の気にするところでは無いのだけれど
「うぉおおお!!!」
「っ」
そちらに目が行っていると横から攻撃される
少し意識がそっちに行ってしまった、ちゃんとしないと
そう思いながら敵に対して対応する
「危ないね」
「くっ、あ!」
CQCの間合い、銃口を差し込んで撃とうとしたそれを捻り地面に向ける
そのままがら空きになった背中に盾を叩き付ける
「恨まないでよね、【太陽の光の槍】!」
「ぎゃぁあぁぁぁあ!?」
地面に叩き付けられたオートマタの背中に対して【太陽の光の槍】を杭のように叩き付ける
数秒ビクビクとしていたオートマタだったが、結局動かなくなった
その時、何か音がした
何かが、射出されるような音────
「…ッ!ミサイル!皆私の後ろに…!」
「!!!」
盾を構えるが、この大きさでは皆を守れない
離れているのは…セリカ!
「セリカ────!!!!」
「先輩────!!」
爆炎、爆発音
「安心しろ、私が居る」
爆炎が晴れたそこにいたのは、岩のような盾を構えた旅の人であった