あの後、柴関ラーメンの大将から店を畳む予定が会ったと聞かされた
思わず何故辞める必要があるのかと問い詰めてしまったものである
勢いが強すぎてセリカに割と本気で叩かれた、痛い
まぁ急に問いつめた彼も彼であるのだが…
ともかく、どうも前から退去命令なるものを受け取っていたそうなのだ
どういうことなのか説明してもらうと、簡単に言えばそこから出ていけという話らしい
明らかな面倒事の匂いがプンプンと漂う話である
大将はその退去命令を出した相手を忘れていたものの、そもそもそこはアビドスの土地だろという話が出てくる
そう思い当たったアヤネは急いで土地の権利者についての書類を取りに行っていた
なんとも面倒な話だ、奪って殺してのロードランと違い権利がどうのこうのなどと…
…いやまぁろくに政治が働いてなさそうなロードランと比較してはダメだろう
グウィン王が居た頃、まだシースやらなんやらが正気を保っていた頃は面倒だったかもしれない
しかし亡者で溢れた時に旅をすることになった身としては面倒にしか思えないのである
奪うが主流のものとしては新鮮だ、本人たちはそれどころでは無いだろうが
因みにそういう私はどこにいるのかと言えば、始まりの火の炉に居る
始まりの火(推定)が燃える篝火の前でぼうっと座っていたのである
最近はなんだか面倒な事が立て続けに起こっている気がする
なんなんだろう?一体何なのだろうか?
使命も何もかも無くなったから静かに暮らそうと思っていたのに()
蓋を開けてみれば面倒事に囲まれている
刺激に飽くことは無いのだが流石にありすぎだ
全くもって面倒事である、はぁ
既に大将への見舞いは済ませてある、サンクトゥスを横に置いてやっているのだ
かの盾は微弱な回復効果を持っている。彼が怪我をした様子は無いが転ばぬ先の杖と言う奴だ
…にしても本当にどうしようか……
真っ当な働き方がよく分からない、先生に相談してみたのだが指名手配犯の処理とかそういうものがあるらしい
後、アルバイト傭兵とか…普通に手伝いだとか。
戦いに自信はあるがしかしこのキヴォトスで通用するかと聞かれれば微妙な話である
なんとも言えないというのが答えだ…下手をしたら死ぬところを晒すことになる
死が禁忌であるキヴォトスでそれはダメだ、無理だ
流石にそろそろアビドス高等学校に行こうとした、その時であった
闇霊ㅤ梔子ユメに侵入されました!
「…?」
一瞬、意味が分からなかった
脳裏を通り過ぎて行く文と"聞き覚えのありまくりな"音が聞こえてきたのだ
体が即座に反応しクレイモアと巨人シリーズ、母の仮面を装着する
大剣を低めに構えていると、それは現れた
見た目は、黒鉄のタルカスシリーズ
中身が女性なのか胸部が強調されており、また兜の間から浅葱色の長髪が出ている
今まで見たことの無い髪型だがこちらに対して凄まじい殺意を宿しているのが分かる
そして、鎧の僅かな隙間から見えたその"目"に……ニタリと笑った
「これはこれは、この時代に"同族"と会えるとは
ㅤどうもこのキヴォトスでもソラールの言っていた時空のずれはあるらしいな」
「……」
彼女(推定)は彼の言葉に反応することなく接近し、グレートソードをぐわりと奮ってきた
躊躇いのない一撃、恐らく同族であるならばそれなりに武器も強化しているはずだ
「危なかっしいヤツめ…まぁいい、どちらにせよ初めての巡礼者だ
ㅤ───────歓迎しようじゃないか?」
太陽の長子の指輪と暗い木目の指輪に交換
くるりくるりとローリングしながら相手の出方を伺う
「………」
この"手"は見たことがあるのか呆れたような態度をしている
呆れた、というより単純に面倒そうだと言う感じだろうか
あなたの小手調べに反応することなく堅実に攻めてきた
まぁ、とはいえ機動力の差が明確である
タルカスシリーズを着て普通にローリングできることが驚きだ
あれかなり重いというのに防御力は信頼出来るがあなたにとっては回避が重要である
流れるように相手の背後に回り込み、そのままバックスタブ
蹴り飛ばした後にタリスマンに変更して平和歩みを発動する
闇霊が来た瞬間発動しても良かったのだが久しぶりに闇霊を見た衝撃で発動するをの忘れてしまった
そこからは回避も走りも出来ない木偶の坊をメタメタにしてやったのみだ
久しぶりに出会った同士とて手加減をする必要は無いのである
ジャクリ、と慣れた音が響く
硬いタルカスの鎧を着ていて手間がかかったがなんとか殺れた
パリィの出来ないタワーシールドを担いでくれていて感謝である
いやー、久しぶりに来た同士であるものだから……また来ないものかねぇ?
〇
「…やられた」
篝火の前で悪態をつく
久しぶりにあの腹立つ仮面野郎を見てしまった
最近ずっと白霊として戦っていたせいか久方振りの対人のやり方を忘れてしまった
あの残光ブンブン野郎絶対に殺す……
「それよりも……」
あそこはキヴォトスだった、間違いない
あの砂漠はまさしくアビドスであり、天に浮かぶ輪っかはキヴォトス特有のものだ
ようやく、ようやく見つけることが出来た………
思わず笑いが出てしまう
その笑い声を聞いたのか横からうわ、と引く声が聞こえた
「なんだお前、急に笑いやがって……気持ち悪いぞ」
「はは、ごめんごめん」
鈍く青い輝きを放つチェーンアーマー着ている彼に謝る
私が来た時から居る彼だが、嫌味が多くとても嫌な奴だ
しかし時よりいいアドバイスをくれるので好きではある
私はグレートソードを握り込む
「絶対、そっちに戻ってみせる」