ダンジョンに周回した不死がいるのは間違っているだろうか?


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作:Saturdaymidteemo
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02


ジャックがダンジョンから戻ってきた時、ひどく街は荒れていた。
道行く人を捕まえ聞く。
曰く、ベル・クラネルがモンスターを庇い、助けたと。
少し前、檻に囚われていた理性あるモンスターを思い出す。
聞いた人間からは侮蔑や怨嗟の視線をジャックに向けながらも怯えながらそそくさと消える。
ジャックはゆっくりと。しかし真っ直ぐ、ギルドへ向かった。



「くそ!『リトル・ルーキー』め!」
ある冒険者が悪態をつく。
誰もその行為を咎めはしない。

誰もがぽつりぽつりとベルを酷評する。
そんな中には【ロキ・ファミリア】の彼をよく知る面々は居た堪れない顔をしていたが、ベートは当然といった顔をしている。

そんな中、淡々と復興のための話がギルドの仲介の元、進められていく中に

「・・・嫌な予感がするな」
フィンは自分の親指が痙攣しているのかと見紛うほどに震えているのを感じていた。

その予感は的中する。



暗く、深く、ドス黒い殺気が急に充満した。

全員が動けない。まるで心臓を掴まれている感覚がする。

「さて、理性あるモンスターの存在を知っていながら、今まで秘匿し、公表せずにしておきながら。いざ、暴走したらその責を彼らと深く関わっている者に擦り付ける。か。暴走した経緯を本人からも聞かず尾を掴めない分際で随分と舐めた真似をしてくれるな?」


ギルドの門がデタラメに吹っ飛ばされたと思えば、よく見たことのある漆黒の鎧が殺意を剥き出しにして歩いてくる。

「まぁ、その事後報告などで、『掃き溜め』どもが纏まっているのは僥倖だが」

誰もが話せない。誰もが動けない。
誰もが感じたことのない殺気に歯を鳴らす。

「見知った顔もいるが、私は『私の日常を害する』モノには容赦する気もなければ情けをかける気もない。散々、見てきたはずだが」

ゆっくりと、ゆっくりと彼らは入り口へ眼を向ける。

「今回、神々共々、『死にたい』ということでいいか?神殺しは慣れてるが、『雑魚』も含めてでは骨が折れるな」

そこには獣がいた。

右手に白黒を象った大剣『北のレガリア』を携え、左手の『栄華の大剣』の切っ先をロキ達に向ける。
「『異端児』とやらをロクに研究もせずに皆殺しの方針を立て、うちのベル・クラネルに事情も聞かずにその名声、風評、全てを地に貶してくれたんだ。決死の覚悟で来い。俺からすれば今の貴様らもモンスターも大して変わらん。」

そう言い放ち、ジャックは静かに構える。

【ロキ・ファミリア】をはじめとした冒険者達はそこで意識が戻り、後ずさりする。

冒険者達は知っている。彼のその出鱈目な強さを。
【ロキ・ファミリア】に至っては主要メンバーが共闘した際、その強さを間近で見ている。

――― 勝てない

誰もがそう結論した。

今回の件に関してはファミリアはともかく、ギルドからすれば説得など出来るはずもない。
【イケロス・ファミリア】が今まで行ってきたことを半ば見逃していた事実、『異端児』についての対処、どれも言い訳しようがない。

そんな中。一人が前に出た。

「待ってくれ。今回の件。必ず埋め合わせる。預からせてくれないか」

と、声を上げる。
見ると他の神々から見ると普段の雰囲気とは合わない真剣な表情でジャックを見据える。

ジャックはその姿に見覚えがあった。
「あの時の出歯亀か」

ゴライアスが『リヴェラの街』を襲った時のことを言っていると気づき、あの距離から目視されていたことにヘルメスの顔が強張る。

「・・・」

ジャックは黙々とその顔を見つめ、しばらく経ち口を開く。

「次は無い」

そう短く言い、身を翻す。
そしてその場の全員が殺気やプレッシャーから開放される。

ヘルメスは全身から汗を吹き出し、尻もちをついた。
「ああ、まったく。なんなんだ『アレ』は。対峙してわかった。あれは既に『神』と同じ域にいるじゃないか。こっちと違って力は使い放題と来た。」
と乱れる息に言葉を乗せ、頭をガシガシかきながら悪態をつく

その言葉を聞いていた冒険者達の顔色が真っ青になっているのは言うまでもない。

人の身で神と同じ域に立っている。

紛れも無い化物である。

「・・・まったくウラノスめ。『見返り』に色は付けてもらうぞ」

と、誰にも聞こえないような小声で彼はつぶやいた。


ベル・クラネルは暗く、沈んだ顔で大通りを歩いていた。

一歩、一歩、歩く度に心が悲鳴を上げる。

『異端児』の一件で翻った自分への評価が道行けば飛び交う。

心が軋む。黒く染まる。

 

そして不意に顔を上げると

そこが『オラリオ』でないことに気づいた。

 

「!?なんだ・・・・!?」

周りを見渡すと自分が死体が数多転がる広場にいる。

そして、こちらにゆっくりと近寄るモノがいることに気づく。

 

その姿は背中に小さな羽を生やした、人間とは思えないほどの巨躯の騎士。

歓楽街の一件で出会った『フリュネ・ジャミール』を彷彿とさせるその巨体から

 

斧槍が振り下ろされた。

「っく!?」

 

とっさに避けるも周りの死体に足を取られて転ける。

続く二撃目にベルはナイフを構え一か八か受け止めようと試みる。

 

騎士がその斧槍を高く掲げた瞬間。

 

「おああああああああああああああ!!!!」

獣のような雄叫びが頭上から聞こえ、上から降ってきた『何か』によって騎士の巨体が真っ二つに割れる。

 

「ふう・・・ふう・・・。見るに、貴公は『起きたばかり』といった風だな。間一髪であった」

 

改めて見ると、『玉ねぎ』を彷彿とさせるヘルムにでっぷりとした鎧を着込んだ騎士がいた。

 

「貴方は・・・?」

 

「む、これは失敬。私の名はカタリナの騎士、ジークバルト。使命を果たすため、旅するものだ。まぁ立ち話もなんだ。進みながら話そう」

 

そう言いながらベルの腕を掴んで立たせ、玉ねぎ騎士は背中をバシバシと叩く。

 

「見たところ、中々に『素質』がある。良い。旅は道連れだ。さあ、行くぞ。ガハハハッハッハ!」

 

 

 

 

玉ねぎ騎士と白兎が歩きながら、お互いの事情を簡潔に話していた。

 

「なるほど、となると貴公は気づいていたら迷い込んでいた。ということか」

「はい」

そうベルは素直に頷くとジークは考える。

「ふーむ。我々のような『火の無い灰人』とは違うが、『ズレ』から迷い込んだと考えるべきか・・・?ふーむ」

と癖なのか腕を組み考えだすジークバルト

 

「あの・・・」

ベルがおずおずと声をかける。

が、

「うーむ・・・使命があるわけじゃないしなぁ・・・うーむ・・・」

と聞こえていないのか唸りながらも考えるジークバルト

 

「あのぁ・・・」

ベルはおずおずと肩をつつくとジークバルトは我に返った。

 

「はっ!すまんすまん。考え事に耽ってしまった。まぁおそらくは我々と同じようにたまたま『ズレ』が重なったのであろう。大きなものを『狩れば』元の場所に戻るだろうて」

 

そしてジークバルトは快活な笑い声を上げる

 

ベルはそこで気づく。

ここは『霧の中』ではないかと。となれば、『霧の主』を倒せば戻れるのではないかと。

 

「一緒にいかせてもらってもいいですか?」

ベルのその申し出にジークバルトは大きく頷き

 

「もとよりそのつもりだ。さあこの先だ」

 

指をさすと、大樹の根のようなものが絡まった大扉がある。

ジークバルトはそれに手をかけようとするとピタリ。と止まった。

 

「ジークバルトさん?」

ベルが声をかける。

 

「どうやら大物のようだ」

振り向くと甲冑を着た巨大な犬のような生物が冷気を纏い、メイスを片手に佇んでいた。

 

「ベル。支援を頼む。貴公の体躯を見るに、あれと正面からは厳しいだろう。私がひきつける」

「お願いします」

 

その軽い打ち合わせに頷きあい。

ジークバルトは前に出た。

「何処の何者かは知らんが、このカタリナの騎士、ジークバルトには『使命』がある。話し合いで済むならそうしたいところだが、そうもいかんようだな!」

 

と背中の大剣を抜き放ち、切っ先を化物に向ける。

それに答えてか化物は咆哮をあげた。

 

「カタリナの騎士、ジークバルト。参る」

そして大剣を肩に乗せ飛び込み斬りかかる。

 

「うおおおおおおおお!!!」

 

化物の鎧の隙間に大剣が打ち下ろされる。

肉を裂く音が聞こえる。

 

化物はジークバルドをそのまま大剣を引き抜く前にメイスを横薙ぎにし、ジークバルドを捉える。

 

「『ファイアボルト!』」

ベルは咄嗟にメイスに向けてファイアボルトを放つ。

爆発により勢いを殺されたメイスが空を切る。

 

「ぬうん!」

それを見逃さずにジークバルトは大剣を一閃。化物の胸を大きく切り裂いた。

 

化物は後ろに跳躍し、大きく咆哮を上げた。

壁が、地面が、その化物を中心に凍っていく。

「ジークさん!」

「む、どうした」

「時間を稼いでください!ちょっと大きいのをぶつけます!」

そう伝えると隅に対比し、右手に力を込める。

 

ジークバルトはすぐさま動いた。

化物に向かって牽制と言わんばかりに大剣を巧みに操り、小さな傷を増やしていく。

 

それに気を取られて化物はジークバルトに飛びかかる。

股下を潜ってやり過ごし、懐から火炎瓶を取り出し投げつける。

 

しびれを切らした化物が咆哮をあげ、大口を開けて何かを溜める。

そこにベルは走り、その前に踊りでた。

 

「『ファイアボルト』オオオオオオオオオオオオオオ!」

溜めに溜めた魔力でのファイアボルト。

それをまともに正面から貰った化物は溜めた力を放出することなく、そのまま倒れ伏し、霧となった。

 

「終わったか」

ジークバルトはベルに近寄り肩をパンパンと叩く。

 

「さて、どうやら見たところ、ここまでのようだ。だが、少し待て」

ベルはそう言われて自分を見ると体に霧がまとわりついているのを感じる。

 

「座ると良い。勝利の後は祝杯だ」

と言いながら座るジークに続いてベルが腰を下ろす。

 

「貴公との出会いと、貴公の勇気と、そして我々の勝利に」

音頭を取りながら酒をベルに渡して掲げる。

 

「太陽あれ!ガハハハハハハ!!!」

そして酒のボトルをぶつけて一息に飲み干した。

続けてベルも一口飲む。

 

その味は神酒と見紛うほどに美味だった。

 

「さて、私は少し眠っていこう。祝杯のあとはそうと相場が決まっているからな」

 

そしてうつむき、腕を組み、寝る体制に入ろうとする。

ベルも自らの意識が、霧に飲まれていくのを感じる。

 

「ああ、そうだ。なにやら思いつめていたが、決して自分がしたことに後悔をしないことだ。後悔は迷いを産み、迷いは死に繋がる。己の使命を全うすることに疑問を持つなかれ。また会おう。小さき友よ」

 

思い出したようにそういったジークバルトの言葉は、ベルの心に太陽の温もりを再び灯した。

 

 

 

 

 

 

眼を開けると裏路地だった。目の前にはヘスティア達やロキ・ファミリアが見える。

意を決して歩を前にすすめようとする。

 

「ベル」

後ろから声がかかる。

 

振り向くと、見知った騎士がそこにいた。

「ジャックさん」

 

振り向き終わるのを確認したあと小さく頷き、ジャックは口を開く。

「自らの選択した道を正しいと思い続けろ。俺から言えるのはそれだけだ」

 

まるで、ジークバルトの言葉を聞いていたのではないかという言葉を告げてジャックは踵を返した。

 

「ありがとうございます」

 

変わらず暗い顔のベルだが、その顔に、迷いはなかった。




from made sunshine

仕事終わりの酒は美味い。真理である。

ダークソウル3、感想としてはかなり面白いっすねコレ。
steam版なんでちょっとサーバーが弱いのかマッチングするとFps低下で落とされることが多々ありますがソロだとヌルヌルでとても良い。

篝火の近くで死体が消えずに残ったまま伸びてるとか常識ねぇのかよ・・・

とか色々ありましたね。
モーリオンブレードあるんだしファンサービスでDLCにレガリア来ないかなぁ。

ファンサービスといえば今回はアルトリウス一式やオンスタスモウ一式ありましたね。
銀騎士の剣がDLCで実装されて戦技にあの雷バチバチ切りが使えますように・・・!
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