「……いや、まぁ、悪いとは言わねぇよ……だけどよ、急に篝火を作るってのは……」
悪いとおもってる、すまない
ひぃん、彼は心の中でそう思った
今現在柴関ラーメンの門前で土下座している
その目の前には煌々と燃える篝火を見てため息をついている大将さん
……なぜこうなっているのか、それは彼が柴関ラーメンの目の前の篝火を配置したからである
流石に扉の前には刺していないがそれでもまあ、かなり景観破壊のような…
まぁだからこそ大将さんに怒られているのだが
「…いやまあ、ある意味話題になりそうだから良いんたげどよ……」
……いいのか?
大将はため息をつきながら彼を見る
燃えそうで燃えない篝火があるラーメン屋
んまぁある意味話題になりそうな要素である
……ただ客足が本当に増えるかねぇ……?
そう思った大将はニヤリと笑い彼に対して言った
「そうだ、アンタうちでバイトしないか?」
……バイト?
「まぁ、うちで働かないかってこったい」
それで許してくれるのか?
「言い方がアレだな……まぁ、そういうことでいいってよう」
どうやら彼の所で働ければ許してくれるようである
なんと懐の深いお方だろうか、まるでパッチにイタズラ()された時の彼のようである
ロードランではカリムのオズワルドに贖罪しなければ皆許してくれない
一回だけ贖罪したがあの時は多大なソウルが必要だった……
ん?多大なソウル?
……ハァァァッ!!!(死線呼吸)
そこで彼は気づく
サオリ達に殺された時に落としてしまったソウルを回収していない事に
その数大体10回くらいレベルアップできる程の数量
……不味いここで無くすのは不味い!
「それで面接をいつか……ん?どうしたんだ?」
面接は明日でどうだ私は用事があるので少し帰る(早口)
「お、おぉ…分かった……明日のいつにす……行っちまったよ」
早口で要件を告げた後に走っていった彼の背中を見てため息をつく
まるで嵐のような人である、この前に来た時もそうだったと大将は思った
入ってきてこちらを見たかと思えば剣を引き抜き攻撃を受ける体制に入ったのである
ホシノ達にメッ☆されていたのだがその後にウチの割り箸を粉砕してくれたのである
流石に麺のお湯をきる手が止まってしまった、まぁ仕方ないことである
……で、その後に軽々と金貨を渡してきたのである
あんな簡単に金貨を出した上にその価値をごみくずというのだ
彼の中の価値観を一回知ってみたいものであると彼は大将は思ったのであった
○
確かこっちか…!
1つの影アビドスの住宅街を走る
キヴォトスにはそうそういない古風な格好をした男が剣を携えて爆走していた
その顔はかなり焦っており、走って流れた汗は一つもなく全て冷や汗のようである
まぁ他でもない、不死人だ
このキヴォトスで剣を持っているのも、あんな古風なコートを着ているのは彼しか居ない
武器は強力な祝福が施された聖剣である「アストラの直剣」である
持ってみた理由は特に無い、ソウルに手を伸ばして1番近くだったから手に取ったのだ
住宅街を駆け回っているとやがて昨日の現場にたどり着くことが出来た
少しばかり家々が崩れているというのに誰も修復していない様子
これだけでアビドスの内情が知れるものである、悲しい世界
昨日吹き飛ばしたスクワッド達は居なくなっているようである
辺りを見渡して確認するが、倒れた彼女達は退却している様子
少しの血溜まりがあるくらいだろうか…
そう思いながら辺りを見渡した彼は、見覚えのオーラを見る
地より湧き上がるような純緑色の美しいオーラを見たのだ
直ぐさま彼は駆け寄り、そのオーラを身に纏う
地面から湧き上がっていたソレは彼に吸収されやがて地面から何も湧き上がらなくなった
このオーラは、死んでしまった際に落としてしまった彼のソウルそのもの
不死人が死ぬとその場に持っていたソウルを全て落としてしまう
その時のソウルは他人と区別され、あの美しい緑色のオーラとなる
…因みにこのオーラがある時に死ぬと先に落ちていたオーラは消える
過去に何回かやったものである。
それはそれとして彼は安堵した、己のソウルを取り戻せたことに
辺りを見て、亡者が居ないことを確認するとやはりここはロードランとは違うのだと実感する
あの遠い昔の国は既に滅び、火が継がれていないのを見るに全て潰えたのだろうか
「…おぉ、そのオーラは貴方のものでしたか?
ㅤ試験管に入れようにも入らず、どのような手段を持ってしても入らなかったもので…」
そう思っていると、誰かの声がした
咄嗟にアストラの直剣を引き抜き盾を構えた
まず彼は相手の姿を見る
最初に思ったのが、「人間性」であった
目の前の人…人?らしい何かの頭が、それだと思った
頭以外は人らしいそれだ、"先生"のような体つきである
しかし頭が異形のそれでありあの人と同じにできるものでは無いと到底思う
しかし考えても面倒だ、なので
「ッ…!」
剣を振るう
このアストラの直剣は上質な祝福(笑)が施された聖剣である
故に人でない、亡者達に特攻(笑)なのだが…
それはどうやら通じたようである*1
彼の剣をまともに食らった奴は苦しそうな声を上げた
「私の体に攻撃を!?…なんとも興味深い…!」
そこから連続して放たれる彼の攻撃を避けながらやつは言う
どうやら攻撃されないと思いまともに食らってダメージを受けたことを驚愕し興味を持っている様子
どこかで見たことがあるな、と彼は既視感を感じながら攻撃を加える
…にしてもカテー奴だな、どんだけ体力あるんだ…
「…ふむ、わかりました、結構ですよ結構」
大体12回程だろうか
タコ殴りにしていると彼は少し彼から離れて止まれのジェスチャーを出した
どうやらこれ以上は堪えるらしい、そらそうだろうな
なんせ上質な祝福(笑)がある聖剣ですから
「貴方のことは大体わかりました、不死人さん」
「人間性」もどきは彼を指さしながら言った
指を向けられた彼は首を傾げる、一体自分の何が分かったというのか
自分でもこの身のことはよく分からないというのに
そう思っていると、「人間性」もどきは言う
「恐らく貴方が伝承にある"薪の王"では?」
「…落ち着いてください、私は貴方と敵対したい訳では無いのです」
懐から大竜牙を取り出し思い切り叩きつける
流石に振りが大きすぎた為か簡単に見切られ回避された
しかしそこで攻撃を止めない彼では無い。鎧を着ていない身軽な体を生かし大竜牙を何度も叩きつける
「どうやら、話し合いたくないみたいですね」
そもそも人以外との誓約は勘弁である*2
何を好んでお前のような化け物と契約しなければならないのだバカ*3
そういった意味合いも込めて、もう一度大竜牙を叩き込む
そこには、奴の姿は無かった
どうやら逃げてしまったようである、腰抜けが
そう思っていると、耳元に奴の声が響く
「私達ゲマトリアは、貴方をいつも見ていますよ…"不死人"」