ダンジョンで生まれた神喰らいの仔【再投稿?】


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作:プロトタイプ・ゼロ
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プロローグ・始まり


 気づいたときにはここにいた。ココがどこだがは知らない。だが、ここにはたくさんのモンスターがいる。

 

 俺は自分が誰かなんて知らない。興味すらない。わかるのは、俺を生んだのは、この薄暗い洞窟のような場所だってこと。

 

 俺はモンスター達と殺し合う。なぜ殺し合っているのかはわからない。理由なんて知らない。だって言葉が通じないし。相手が殺意を向けてくるから、やり返してるだけだ。

 

 モンスターは俺よりも遥かに強い。モンスターの一撃を喰らえば死んでしまうだろう。それくらい俺は弱い。だからたくさん戦った。相手がどんなに強くても逃げずに勝ち続けるまで挑んだ。

 

 今回の相手は牛と人を混ぜたようなモンスターだ。名前は知らない。相手の言語がわからないから、名前を聞けないし。

 

 お互いに言葉にならない雄叫びを上げながら突進する。牛と人を混ぜたようなモンスターと俺の頭突きが激突し、やはり俺が吹き飛ばされた。だが俺は空中で態勢を立て直し壁を蹴ってモンスターの頭に蹴りを入れる。

 

「ブフォオオッ!?」

 

 モンスターは大きく仰け反り地面に手をつきそうになるが、その瞬間に無防備になった俺の足を掴み倒れながら地面に叩きつける。

 

「がっ!!」

 

 勢いよく叩きつけられ灰から空気が抜ける。モンスターの掴みは強く中々抜け出すことができない。視界が安定しないなか、俺は立ち上がったモンスターに持ち上げられた。

 

「ブフォオオオオオオオオオッ!!」

 

「うおぉ!?」

 

 ブンブンと俺を振り回し色んな場所に叩きつけられる。様々な場所から血が飛び散るが、そんなの気にしてられないくらいに痛い。

 

「がっ……ぐぅぅ、ルラァァァァ!!」

 

 流石に頭にきたのでなんとか手から抜け出し思いっきりモンスターを殴りつける。

 

「ブフォ、ブフォオオ……!?」

 

「ルラァ!!」

 

 地面に倒れ伏すモンスターに跨り顔を何度も殴りつける。手から血が流れるほど殴り続けると、モンスターは動かなくなりモンスターのエネルギー源となる魔石を残して消滅した。

 

「ルラアアァァァァ!!」

 

 勝利の雄叫びを上げ魔石を拾う。俺はためらいもなく魔石を口の中に放り込む。味のしないただの石ころサイズの魔石をボリボリと音を立てながら噛み砕いていく。

 

 ごくんと飲み込むと体中から溢れだした力が、肉体に馴染み始め魔力となって湧いてくる。

 

 生まれてから十年、ずっと魔石とモンスターの肉のみ食べ続けてきた。そろそろ違うものが食べなくなるが、ここには肉と魔石以外なにもない。

 

 なんでもいいから……誰か食べさせてよぉ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!』

 

「ルラアアアァァァァァァァッ!!」

 

 灰色の巨人が振り回す巨大な剣と俺の拳がぶつかり、周囲に風が撒き散らされる。

 

 巨大な剣を殴って押し返し、その場から跳躍して巨人を蹴り倒す。気持ちいいくらい力が溢れる。普段は溜め込んでいる魔石のストックがもうないため、これ以上身体能力を上げることはできない。だから今の状態でこいつを倒す必要がある。

 

 何度も吹き飛ばされた。相手は巨体故に動きは少しのろい所があるが、それでも十分速い。一瞬の判断が遅れたら致命傷を負うレベルの攻撃が飛んでくる。

 

 巨人の剣を奪い取り巨人の心臓部分に突き刺すと、巨人は動かなくなりその場に巨大な魔石を残して消滅した。

 

 巨大な剣を投げ捨て、魔石を殴りつける。するとひび割れた魔石が食べやすい大きさになる。それを口に含みバリボリ噛み砕いていると、なにやら視線を感じた。

 

 階段の方に目を向けてみれば、金髪のイケメンが驚愕したような目をしていた。

 

「魔石を、食べた……?」

 

 何に対して驚いているのだろうか……? 魔物が魔石を食べていることか? そんなのここでは日常茶飯事だろうに。

 

 いやそもそもコイツは何者だ? いつからいた? 俺は気配には敏感なはずだ。

 

 取り敢えず魔石を更に砕いて、金髪のイケメンに渡す。

 

「これを……僕にくれるのかい?」

 

 何を言っているのかはわからないが、取り敢えず頷いておく。すると金髪のイケメンは躊躇いながらも魔石を受け取ると、それを奇妙な皮のなにかに入れた。

 

 なんだ、食べないのか。まぁいいや。

 

「君は、いったい何者なんだい?」

 

 やはり何言ってるのかわからない。言葉の言語が違うのか? いや、他の魔物とマトモに会話なんてしたことないからわからないが。

 

 思わず首を傾げると、金髪のイケメンはなぜだか苦笑していた。

 

「ははっ……ごめんね。僕はフィン。フィン・ディムナだ」

 

 フィン。なぜだかわからないが、その言葉だけは理解できた。おそらく己の名を言ったってことが。さて、どうしよう。流れ的には俺も己の名を言うべきなのだろうが、あいにく俺は己の名を持たない。

 

「うぅん、ふむ……また来るよ」

 

 金髪のイケメンもといフィンは俺の頭を撫でると、階段を登っていった。次来るときまでに己の名を考えておこう。

 

 そして次の日、フィンがまたやってくるのを待つのが暇だった俺は、適当にモンスターと戦って己を鍛えていた。今回戦うのはでっかいドラゴン!! なんと火を吹くんだ!! 名前は知らないけど逃げてる人間が「インファント・ドラゴン」と呼んでいたのを聞いたから多分それが名前なはず。

 

 特徴と言えるのはオレンジ色の竜種で、モンスターの中でも強力な部類に入る竜種であり、高い戦闘力を持っているから俺にとって腕試しをするのにちょうどいい餌だ。

 

 ただ面倒なのは瘦せ細った犬頭人身の姿をしたモンスターや緑色の肌を持った豚頭人身の姿をしたモンスターなどを大量に呼び寄せて物量で押しつぶそうとしてくることくらいかな。

 

「ウォラァ!!」

 

 拳に雷を纏い地面を殴りつける。それにより拳に纏っていた雷が地面を走り、インファント・ドラゴンによって呼び出された瘦せ細った犬頭人身の姿をしたモンスターや緑色の肌を持った豚頭人身の姿をしたモンスター達を貫き燃やし尽くし、雷に貫かれたモンスター達は魔石を落として消える。

 

 落ちた魔石をすぐさま拾い上げ口の中に放り込んで噛み砕く。体の中で魔石に込められたエネルギーが俺の力になっていき、身体能力が向上する。

 

 足に雷を纏わせ目にも止まらぬ速さとなる。多分インファイト・ドラゴンでは捉えきれないはずだ。現に奴は俺のことを見失っている。インファイト・ドラゴンの背後に回り強烈な踵落としを頭に食らわせる。

 

「グゥるる……ガォらぁ!!」

 

 地面にめり込んだインファイト・ドラゴンの頭を持ち上げ蹴り上げる。何度殴りつけても倒せない辺り奴の耐久力が高いのと、俺の火力が足りていないんだろうな。

 

「む? インファイト・ドラゴンと子供が戦っているのか……?」

 

 その時、俺の視界に猪のような人間が階段から降りてくるのが見えた。そいつは強そうな大きな剣を持っていた。それがあれば多分インファイト・ドラゴンを倒せるかもしれない、そう思ったけど……いや、自分の力で倒したい。

 

「グゥあぁ!?」

 

 油断していた。少し視線をインファイト・ドラゴンから猪のような人間に向けていた隙を狙って尻尾が飛んできた。体全体に衝撃が走り気づいたときには壁にめり込んでいた。

 

 強引に体を壁から引きずり出し口から出た血を拭う。口角を大きく上げ、俺は嬉しそうに笑った。そう! こういう強いやつともっともっと戦いたいんだ。もっと戦おう!! どこまでも……!! そして俺の力の糧となれ!!

 

「見ていられんな……」

 

 いつの間にか隣にいた猪のような人間が背に持っていた大きな剣を地面に突き刺した。それはなんてことのない普通の剣だった。

 

「……使え。これはお前の冒険なのだろう?」

 

 正直言ってることはよくわからない。俺はまだ人の言語を理解できないから。でも、俺はその大きな剣を握る。そして片手でそれを持ち上げる。それに少しだけ驚いた顔をしているが、それを見て俺はにやりと笑う。

 

「ダァ!!」

 

 足で地を蹴り、瞬きの間にインファイト・ドラゴンの懐に入る。刃に雷を纏わせ剣を力強く振り上げた!! 剣による風圧と共に放たれた雷を纏う斬撃を何度も浴びせ、インファイト・ドラゴンがようやく倒れ込み魔石を落として消滅する。

 

 俺は剣を地面に突き刺し、ドカッと地面に座り込み息を吐いた。流石に疲れた。早くフィン、来ないかな……そう思いながら何とか立ち上がる。

 

「……まさか、本当に倒すとは思ってもいなかった」

 

 後ろを振り返ると少しだけ優しそうな顔をしている猪のような人間が近づいてきていた。俺は持っていた剣を猪のような人間に返す。だが、猪のような人間は首を振って剣を受け取らなかった。

 

「それはお前にやる。もっと強くなれ」

 

 そう言って猪のような人間は階段を上がっていった。結局なんだったんだろう……? よくわからなかったけど、まぁいいか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も今日とて魔物を狩り、魔石を喰らう。最近手に入れた……というか貰った、なぜか手に馴染むこの大剣のおかげで効率よく狩りができている。

 

 普段の狩りが素手な分時間もかかっていたが、この大剣を手にしてから魔物を倒す速度も早くなった。あの猪のような大男には感謝しなければならないな。

 

 そうそう、最近「言語」を理解できるようになった。我らが母様にお願いしたら、なんと「言語」を授けてくれたのだ。まぁ、相変わらず魔物の言ってることは理解できてないが、これがあるから次フィンが来ても会話できることだろう。

 

「おや、今日は珍しく武器を持っているんだね」

 

 そう考えていたらフィンが笑みを浮かべてやってきた。隣にはなぜか俺のことを警戒したように睨みつけている耳の長い女がいる。

 

「おいフィン。まさかと思うが、お前の言っていた少年とは、こいつのことか?」

 

「うん、そうだよ」

 

 おぉ! ちゃんと言ってることが理解できる。流石我らが母様だ。よしよし、早速挨拶しよう。人間で言う挨拶はたしか「おはよう」だったな!!

 

「フィン! えぇと……おはよう!」

 

「……驚いたね。言葉がわかるようになったのかい?」

 

「うん! 母様にお願いしたら、言葉をくれた!」

 

 なんでフィンは驚いているのだろうか? それと耳の長い女は何故よりいっそう警戒してるのか?

 

「そうか、それは良かったね」

 

「にへへ〜」

 

 頭を撫でられるとなんか嬉しくなる。フィンのその手つきはまるでお父さんみたいだ。お父さんと会ったことないけど。

 

「フィン! 俺、名前考えた!」

 

「名前……? 君の名前かい?」

 

「うん! 俺アルム!」

 

「アルム……それが君の名前なんだね?」

 

 大きく頷く。するとフィンはなにやら顎に手を添えて考え込んでいる。

 

「そっちの耳の長い女は、誰……?」

 

「む? 私のことか?」

 

「名前、わかんない!」

 

「あ、あぁ……私はリヴェリア・リヨス・アールヴと言う」

 

「リヴェ……?」

 

「言いにくいなら呼びやすいようにするといい」

 

 う~ん……呼びやすい。呼びやすい……かぁ。そうだ!!

 

「リヴェ!」

 

「フッ、そうか」

 

 なんで頭を撫でるのだろうか……?

 

「おや? さっきまでアレほど警戒していたのに、もう仲良くなったのかい?」

 

「この子を見ていたら、警戒するのが馬鹿らしくなってきただけだ」

 

 なんの話をしてるんだろう……? 

 

「アルム。君に来てほしいところがあるんだ。一緒に来てくれないか?」

 

「???」

 

「あぁ、わからないか……僕たちのファミリアに来てほしいんだ」

 

「おいフィン!! 流石にそれは……」

 

「ふぁみりあ……? よくわかんないけど、フィンの言う場所に行く!!」

 

(やはり、彼は何処かのファミリアに所属しているわけではないみたいだね……)

 

 フィンに手を引かれ、一緒に階段を上がっていく。大剣は牛と人を混ぜたようなモンスター――ミノタウロスから奪い取った布で大剣を固定し、背中で背負う。ちなみに布はかなり臭かったから念入りに洗った!

 

「そういえばその大剣はどうしたんだい?」

 

「なんか猪のようなめっちゃ強い大男から貰った!」

 

「猪のような大男……あぁ、彼か」

 

 フィンには俺の言った大男が誰だかわかったのだろうか……? 今度会えたら手合わせ願ってみようかな!!

 

 何回か階層の階段を登ると、光が見えてくる。時々魔物と戦ってる人たちがギョッとしたようにこちらを見ているが、なぜだろうか?

 

 そうして、俺はフィンに連れられて、地上の光を目にした。

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