復興再生の取り組み前進、福島第1原発事故・避難指示解除地域

2025/03/31 09:45

 東京電力福島第1原発事故により地域の大部分に出た避難指示が2017年に解除されてから、浪江町と川俣町山木屋地区、飯舘村は31日、富岡町は4月1日で8年となる。浪江町は31日、富岡町は4月1日で、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除から2年。第1原発の半径20キロ圏内で初めて避難指示が解除された田村市都路地区では解除から4月1日で11年となり、各地で復興再生の取り組みが進んでいる。

■避難指示解除8年、復興拠点解除2年

【浪江町】駅周辺の整備着工
  浪江町は、居住人口が2月末現在で2274人になった。このうち、2023年3月に避難指示が解除された特定復興再生拠点区域(復興拠点)の室原、末森、津島の3地区には26世帯42人が居住している。  町は、新たなまちづくりの核となるJR浪江駅周辺の整備事業に昨年10月に着工した。駅東側に建設する交流施設や商業施設、地域活性化施設については28年3月の完成を見込む。  復興拠点の3地区は現時点でコメの出荷ができない「農地保全・試験栽培区域」になっており、営農再開に向けた試験栽培が続く。津島地区では4月に初の桜まつりが計画されている。

【富岡町】目立つ移住者増加
 富岡町では居住制限、避難指示解除準備両区域に続き、2023年4月に特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が解除された。1日現在の住民登録は1万675人で、町内居住者は2616人、居住率は約24%にとどまっている。  近年は年間40~70人が帰還する一方、移住者は年間160~230人の水準で増加。震災前の人口約1万6千人のうち帰還者は約千人のため、町内は帰還者より移住者らの方が多い。帰還困難区域の小良ケ浜、深谷両地区などで一部が「特定帰還居住区域」となり、町は避難指示の早期解除と生活基盤の整備、住民サービスの充実を進める考えだ。

■避難指示解除8年

【川俣町山木屋】小学校の授業再開
 川俣町山木屋地区では新年度、7年ぶりに山木屋小が授業を再開する。校舎では新学期に向けて児童を迎え入れる準備が進み、子どもたちの元気な声を待ち望んでいる。  冬限定の名所「田んぼリンク」には今季、昨年の約3倍となる1200人以上の家族連れが訪れ、にぎわいを取り戻しつつある。1日現在の住民登録者数は612人に対し、居住者は322人。帰還率は52・6%。


【飯舘村】買い物環境改善へ
 飯舘村では生活環境の整備が進んでいる。5月29日には村中心部の草野地区に商業施設のドラッグストア「ハシドラッグ」がオープンする。村民の買い物環境の改善が期待されている。  村は企業誘致による経済活性化と働く場の創出に加え、深谷地区に産業団地の建設を計画するなど住宅環境の整備に着手した。帰還者は1177人(1日現在)で、帰還率は30・6%。ほかに約270人が移住した。

■避難指示解除11年

【田村市都路】帰還率が90%超え
 田村市都路地区は第1原発から半径20キロ圏内の地域が避難指示解除準備区域となった。避難指示解除から11年を迎える地域は帰還率が90%を超え、復興が進む。  市は今年中の開業を目指し、都路地区の岩井沢地域に公設民営の複合商業施設を整備している。施設には物販店、菓子店、ラーメン店の3店舗が入る予定だ。帰還した住民の買い物環境の改善や雇用の場の創出、交流人口の拡大を目指す。

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