熊本市立の中学校で入学式 新たに導入の制服を着て式に臨む
熊本市立のほとんどの中学校で10日入学式が行われ、今年度から市内の全ての中学校で新しく導入された制服を着用した新入生たちが式に臨みました。
10日は熊本市内に42校ある熊本市立の中学校のうち41校で入学式が行われ、熊本市中央区の藤園中学校ではおよそ110人が入学式に臨みました。
そして担任から一人一人、名前が呼ばれると緊張した面持ちで返事をして起立していました。
熊本市立のすべての中学校では、これまでのそれぞれの中学校の制服に加え、今年度からは、性の多様性などを考慮し、「共通標準服」と呼ばれるブレザーの制服が導入されました。
この中学校の制服は「学ラン」と「セーラー服」でしたが、多くの新入生が、新たに導入されたブレザーを着用して式に臨んでいました。
式のなかで、東浩二校長は、「共通標準服で選択肢が広がるということは多様性を認めるとともに、可能性が広がるので良いことだと思います。中学校では新たな挑戦をし、新しい自分を発見してください」などとあいさつしました。
これに対して新入生代表の森岡香里奈さんは、「真新しい制服に身を包み、喜びと感動がこみ上げてきました。中学校では新しい仲間とともに多くの経験を重ね、自分の世界を広げていきたい」と誓いのことばを述べました。
藤園中学校の新入生は多くがブレザーを選んでいました。
これまでの「学ラン」を選んだ生徒もみられましたが、「セーラー服」の生徒は確認できませんでした。
ブレザーを選んだ男子生徒は「ブレザーはみんな共通で使っているので選びました。ベルトなどがしっかりしていて着やすかったです」と話していました。
また同じくブレザーを選んだ女子生徒は「『みんな共通標準服だからあわせたらどう?』という親の意見などを聞き、さらに、着やすかったので選びました」と話していました。
一方、「学ラン」を選んだ男子生徒は「中学校は1回しかないから、せっかくなら学ランを着て、入学や卒業をしたいと思いました」と話していました。
また「学ラン」を選んだ別の男子生徒は「中学校でしか着られないから、ブレザーより学ランの方がいいかなと思いました。着心地は悪くないです」と話していました。
【「共通標準服」とは】
今年度から新しく全ての中学校で始まった「共通標準服」は、性的マイノリティーへの配慮や動きやすさなどの機能性の観点を考慮して導入されました。
上着は性別にかかわらず使えるブレザー下は、スラックス、スカート、キュロットスカートの3種類の中から選べます。
また、ネクタイとリボンの色は青・エンジ・緑・茶・紫の5色の中から各学校が指定します。
一方、生徒は、それぞれの学校にあるこれまでと同じ制服も選ぶことができます。
熊本市教育委員会によりますと「共通標準服」は生徒に新たな選択肢を与えるものだとしています。
また導入の狙いには「経済面」もあります。
市教委の去年の調査によりますと市立中学校のブレザーの制服の平均価格と比べて「共通標準服」は大量生産が可能なことなどから4000円から6000円ほど安くなるということです。
このほか、すべての学校で、同じ制服が採用されるため、転校した場合には着回しができるほか、リユースにもつながる可能性があるということです。
熊本市内で制服の販売を行う複数の業者によりますと、「学ラン」と「セーラー服」を制服にしている学校の新入生は9割以上が「共通標準服」を選んだということです。
また、以前からブレザーが制服の学校では、これまでの制服と「共通標準服」を選ぶ割合が半分ほどに分かれるところもあったということです。
販売業者の担当者は「当初、『共通標準服』はこれまでの制服と同じ割合で売れるのではないかと思っていましたが、予想以上に需要があり驚きました。納品が遅くなったケースもあり対応が難しかったです」と話していました。