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ある60代の男性。軽度の脳出血で入院されましたが、リハビリの進みが悪い。実は入院前から活動量が低下しており、歩行困難や失禁、会話も単純なものしかできない状態。アルコールの影響とされて経過観察となっていたようですが、かなり痩せ細っており、年齢よりずっと高齢に見える印象でした。 検査画像では「DESH」という正常圧水頭症(NPH)に特徴的な所見があり、小刻み歩行や認知機能低下もあったため、髄液を一時的に抜くtap testを実施。症状改善がみられたため、脳内の余分な水分をお腹に流す「VPシャント術」を行いました。 手術は無事に終わり、術後CTでも問題なく、きちんと正規のルートを通ってお腹の中まで管は通っていました。その後は順調。リハビリの成果も出て、歩いて退院できました。外来フォローでも自宅での生活が安定し、排泄も改善。まだ十代の娘さんが頑張って介護されていたので、なんとか回復してほしいと願っていた方でした。 ところが半年~1年ほど経ったある日、念のために撮影したCTで「お腹にあるはずのシャントの管がない」ことが判明。調べてみると、なんと静脈を通って右心房→右心室→肺動脈まで移動していたのです。 急遽カンファレンスを開き、癒着などで取り出せなくなる前に抜去・再挿入を行う方針に。心臓血管外科の協力も得て、慎重に処置を行い、無事に終了。患者さんも問題なく退院されました。 なお、その後私は休職してしまったため再挿入の経過は不明です。 このようなケースは非常に珍しいですが、文献では数例報告されています。手術操作で起こったものではなく、時間が経ってからの発見という点も重要。管が静脈を貫いたというよりも、極度のやせによって管と静脈が長期間接触し、「穴」ができ管が吸引された可能性を考えています。 詳しい方、ご意見や経験談あればぜひ教えてください。
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