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トランプ大統領が日本に求めるのは、単なる関税交渉の妥結ではない。 その本質は「不公正な」貿易構造の是正にあり、アメリカの農家をはじめとするトランプ支持層の生活を豊かにすることだ。 そこで、不公正の象徴として名指しされたのが、日本が高関税を課すコメやその他の農産品である。 石破首相がトランプ大統領と対峙する方法は、構造的視点に立てば、いくらでも見出せる。 だが、石破政権はコメ関税という「聖域」を突かれ、対案を示せずに狼狽している。石破首相自身が農水族議員であり、同じく農水族である多くの地方議員たちも思考停止に陥るしかない。 このままでは、日本が報復関税を受けるのは時間の問題だ。主力産業が揺らげば、農業保護どころか、日本の経済基盤そのものが危機に瀕する。 農業を守るために他産業を犠牲にする従来の発想から転換すべきときだ。 コメという象徴的な火種を、むしろ日米の同盟関係と安全保障を再構築する接点に変える視点が求められる。 日本政府(農水省)は、国家貿易を通じてアメリカ産米や麦を購入できる事業主体である。 この既存の枠組みを活用すれば、迅速な発注を通じて、トランプ大統領に即効性のある「ディールの成果」を示すことができる。 これにより、関税交渉を前に、トランプ支持層であるアメリカ農家に確実な売上を約束できるのだ。 さらに、一定量を長期的に購入する契約を結び、アメリカ国内で備蓄する。大豆や飼料用トウモロコシもこの仕組みに組み込めば、日本の食料安全保障とアメリカの政権・農業州の利害が一致し、日米の同盟関係がさらに強固になる。 これは空想ではない。2019年、安倍首相はトウモロコシの先行購入を即決し、トランプ氏の対日圧力を巧みに回避した実績がある。中国との貿易戦争で苦しむアメリカ農家からも喝采を受けた。 この提案もまた、単なる食料備蓄に留まるものではない。 日本がアメリカ国内に設ける「戦略穀物備蓄」を、米軍や同盟国と連携して戦略物資として位置づければ、台湾有事やシーレーン封鎖への現実的な備えとなり、抑止力にもなる。 中国にとっても、アメリカの食料と日米の安全保障が結びついた構造は、軍事的冒険を抑える重石となりえる。 わかりやすく言えば、日米安全保障条約に「食料条項」を加えるようなものだ。 さらに、中国の食料戦略に対抗する「インド太平洋・食料安保構想」へと発展させることも視野に入れられる。 食料安全保障のリスク管理が飛躍的に向上し、米軍の後ろ盾をえることで、有事に日本国民が有事の際、「飢えない」という安心感も高まる。 こうした発想は、決して荒唐無稽なものではない。 TPP交渉時、豪州政府は「日本の食料安全保障のためなら、豪州国内に日本の食料備蓄制度を導入する用意がある」とオファーしたことがある。(ただし、農水族が食料自給率や農業保護政策の名分、利権を失うことを恐れ、政府はこれを拒否した。) また、常在戦場のイスラエルは実際、有事を前提に国内外に分散した備蓄体制を構築し、東欧諸国などと小麦確保の覚書を結んでいる。 購入した穀物は平時には日本国内に流通させず、コメ市場やコメ農家への影響を抑える。 一方、アメリカ産を国内外に分散備蓄することで、国産新米の備蓄負担をなくし、すべて市場に供給できる。これにより、価格高騰や供給不安の緩和にもつながる。 さらに、アメリカに備蓄があれば、飼料用米などに転作するための膨大な予算も不要になる。日本で生産されたコメは、すべて日本人が食卓で味わえるようになるのだ。 この日米共同の食料備蓄構想は、両国の農家を守りつつ、通商、農業、外交、安全保障を同時に結び直す現実的な提案だ。 農業か経済かという二元論で個別に守ろうとすれば、すべてが崩れかねない。必要なのは、食料を基軸にこれらの分野を戦略的に結びつけ、日米の同盟関係を深化させる構想である。 今こそ、貿易摩擦や報復関税を超えた次元で、大局的に日米双方を利する基盤をトランプ大統領に示すときだ。 正直、私の持論である自由化提言に反するが、緊急事態であるため、石破首相や国会議員が理解でき、農水族でも政治コストをかけずに即時受け入れ可能な案としてまとめた。
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農業と食料の専門家/浅川芳裕
@yoshiasakawa
玉木氏の「コメ関税は227%、700%は誤り」という説明は、本質をはぐらかしている。 トランプ大統領が求めているのは、アメリカ産米の「通常の市場アクセス」であって、例外措置である「ミニマムアクセス」ではない。 x.com/tamakiyuichiro…
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