2025-04-21

物産展匂い

デパート広告で「○○物産展」の文字を見ると思い出すことがある。

子供の頃、親に連れられていく物産展は、ちょっとしたお祭りみたいでわくわくした。

普段は静かなデパート一角が、その期間だけ異様な熱気に包まれる。

試食コーナーの人だかり、威勢のいい呼び込みの声、そして普段は嗅ぐことのない食べ物匂い

醤油香ばしい匂い、甘いお菓子匂い海産物の磯の香り漬物の独特な匂い…それらがごちゃ混ぜになった、あの空間特有匂いが好きだった。

特に北海道物産展なんかは鉄板で、白い恋人とかロイズの生チョコとか、そういう「わかりやすお土産」を買ってもらえるのが嬉しかった記憶がある。

親は試食に夢中で、あちこち見て回っていた。母は漬物乾物吟味していて、父は海産物系の試食に目がなかったような気がする。

ソフトクリームコロッケみたいな、その場で食べるものを買ってもらうのも楽しみの一つだった。

普段はあまり買わないような、ちょっとだけ「いいもの」を買ってもらう特別感もあったな。

大人になって自分お金物産展に行くと、また違った視点になるのが面白い

子供の頃は気づかなかった、地方特産品の多様さや、作り手のこだわりみたいなものに目が行くようになった。

そして何より、あの頃、親も結構楽しんでいたのかな、なんて思ったりする。

自分子供を連れて行ったら、きっと同じように目を輝かせてくれるだろうか。

昔は親にねだって買ってもらっていたお菓子を、今度は自分が親に「これ好きだったでしょ?」なんて言いながら買ったりする。

そういう時間も悪くない。

物産展の独特の熱気と、甘いのやらしょっぱいのやらが混ざった匂いは、いつまでも家族との賑やかだった記憶と結びついている。

また近いうちに、どこかの物産展に足を運んでみようかな。

あの匂いを嗅ぎに。

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