味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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13話 起死回生

 目が覚める。なんか後頭部が痛い。

 誰かにぶん殴られたみたいに痛いんだけど。

 いやてか頬もなんかヒリヒリする。なにこれ。

 

 私は困惑しながらも目を開ける。

 最初に天井が見えて、椅子に座っているエイラが見えた。

 エイラはじっと私の方を見つめていた。

 

 その表情は無表情で、少なくとも怒ってはなさそう。

 結構意外だった。怒られると思ったんだけど。

 

「あ、おはよう。エイラ」

 

 私は笑顔を浮かべてエイラに挨拶してみる。

 すると、無表情のエイラが私に手を伸ばす。

 え? 一瞬私は呆気に取られる。

 次の瞬間、エイラは私の頬を思いっきりビンタした。

 

「……え?」

 

 え? な、なに? 普通に痛い。

 ヒリヒリとした痛みが再び私の頬を襲う。

 あれ、やっぱり怒ってる?

 

「あんな場所で寝るなんて信じられません。何考えてるんですか?」

 

 エイラは私を軽蔑するような眼差しで見下ろす。

 あ、ああ、バレてたんだ。

 やっぱり私の演技というか猿芝居はエイラに看破されていた。

 

「ご、ごめん。2徹だったから」

 

 私は頭に手をやりながら適当に嘘を吐く。

 すると、エイラは大きく溜息を吐いた。

 

「まぁいいです。おかげで成長できましたから」

 

 エイラは案外簡単に私のことを許してくれた。

 成長できた? もしかして……。

 私は魔獣に傷つけられた肩に視線を移す。

 肩の傷はすっかり無くなっていた。

 エイラが治してくれたのだろう。

 かすり傷すら治せなかったエイラが、急にこんな傷を完治できるようになるなんて……。

 

 ん? え? ありえなくない?

 私はエイラの急成長に困惑する。

 

「え? これどうやったの?」

 

「ふふ、あなたの言う通りにしてみたんです」

 

 エイラは可愛らしいドヤ顔を私に見せる。

 私の言う通りにした……? 何の話だろう。

 

「と、とりあえず見せてくれない? 本当にどうやったの?」

 

「いいですよ。見せてあげます」

 

 エイラは自信満々に私の手を握り始める。

 え? あっ、あの……杖は使わないの?

 治癒士って普通杖を使って治癒するよね?

 めちゃくちゃ嫌な予感がした。

 

 数秒後、エイラの手から光が放たれ、私の手を包んでいく。

 ポワポワした浮遊感に体が包まれ、疲労が消えていくような快感が脳から発せられる。

 エイラの方に目をやると、エイラはキツそうに息を荒らげている。

 

「ち、ち、ちょっと待って!! ストップ!」

 

 私は急いでエイラの手を剥がす。

「え?」とエイラは私の行動に困惑している。

 いやいやいや、困惑するのは絶対私の方だ。

 

 これ、明らかに起死回生だよね??

 神聖力を使わない唯一の治癒方法を、エイラは無意識に使用していた。

 

 いやでも、エイラは死んでないわけだし……。

 まさか起死回生の限定的な使用?

 起死回生が他者に生命力を完全譲渡する禁忌の術。

 だとすれば、エイラのそれは生命力の一部を他者に譲渡できる術。

 

 そんなこと、どこの文献にも載ってないはず。

 エイラの奇跡的な神聖力の無さが噛み合ったのだろうか。

 いやそれ以前に起死回生を使うには、死の恐怖を克服する必要がある。

 その領域まで私がエイラを心酔させたとは思えない。

 

 考えられるのは一つ。

 死の恐怖を容易に上回る他の恐怖があった。

 その恐怖のせいで、死の恐怖なんてどうでも良くなるくらいの状態に追い詰められていたか。

 

「あ、あの、私、何か悪いことしてしまいましたか?」

 

 私が考え込んでいると、エイラは不安そうな目で私を見つめてくる。

 待てよ。別にこれは私にとって利点の方が大きい。

 限定的な起死回生使用というのは、あまりに魅力的なものだ。

 エイラに知らせない方が私の為になるはずだ。

 

「エイラ。それ、私以外に使っちゃダメだよ?」

 

 私は思いっきり方向転換して、エイラの両手を自分から握りに行く。

 できるだけ自然な笑みを浮かべて、エイラにそう言った。

 

「で、でも、他の人にも使えたら……」

 

「絶対ダメ。私以外に使ったら許さないから」

 

 エイラの目を見つめ、無言の圧力をかける。

 エイラは困ったように私から目を逸らす。

 

「……分かりました。ミラさん以外には使いません」

 

 すると、エイラは私の手を僅かに握り返してくれる。

 確かな感触が私の手に伝わる。

 どうやら納得してくれたようだ。私は一安心して胸を撫で下ろす。

 そして、ゆっくりエイラから手を離そうとする。

 

 ん? なんか手が離れない。

 ちょっと強めに引っ張ってみるも、エイラの両手から私の手が離れなかった。

 ん?? 説得終わったから離してくれていいんだけど?

 

「はぁっはぁっ……み、ミラさん……私、今気づきました……」

 

 すると、目の前のエイラは何故か息を荒らげ、私の目をじっと見つめてくる。

 さっきまで怒っていたとは思えないほど、蕩けた表情で私を見つめていた。

 

「ミラさんと手を繋ぐとドキドキするんです」

 

 エイラは息を荒らげながら私の手を強く握り締める。

 頬をほんのり紅潮させたエイラの顔が近づいてくる。

 至近距離でエイラの熱い息が鼻に当たる。

 

「え、エイラ……? 大丈夫?」

 

 私はエイラの額に手を当てる。

 うん、めちゃくちゃ熱かった。熱でもあるんじゃないかと思ったが、本当に熱があった。

 まさか、起死回生の代償で免疫力が下がるとか??

 

「っ! あ、私、何してるんですかね……」

 

 すると、エイラは唐突に私の手を離し、私とも距離を取った。

 本当に熱でもあるんじゃない……?

 私は少し心配になってしまう。

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