味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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9話 使えるならなんでも使う

 終始ミリナはキレ散らかしていたが、最後には重要すぎる情報をくれた。

 私は勇者の集まりとか全く行かないから、情報があまりに乏しい情報弱者なのだ。

 だからミリナのくれる情報は、まさに蜘蛛の糸だった。

 

「とにかく、今日は緊急クエストがあるから。勇者パーティーは強制参加よ」

 

 ミリナは怒りながらも情報を私にくれた。

 そのことに少し感動しそうになる。

 

「ミリナって、もしかしてまだ私のこと好きなの?」

 

 私はつい願望を口に出してしまう。

 ミリナは顔を真っ赤にして大きな舌打ちをかました。

 

「もういいわ! あんたはあの時からちっとも変わってない! あんたと関わってると……」

 

 ミリナは激怒しながら私にそう吐き散らす。

 しかし、何故かミリナは言葉に詰まってしまっていた。

 え? なに? 

 私はミリナの次の言葉に耳を傾ける。

 

「っ!! ……クソ。もういいわ。とにかく、それを伝えたかっただけ」

 

 ミリナは呆れるように深い溜息を吐き、私の目の前から消えてしまった。

 そう言えば、ミリナってあんなに口悪かったっけ。

 私は少し疑問に思いながらも、緊急クエストの掲示板を見てみる。

 

 そこには大きく魔獣大量発生の文字があった。

 ああ、よくあるやつね、

 私が知らないから、どうせ大した緊急クエストじゃないと思ってたけど。

 

 まぁこのクエストで私が死ぬ確率は0に限りなく近いだろう。

「あ、行くの忘れてました〜笑」で女神様すら誤魔化せるレベルだ。

 

 問題はこれより遥かに難しい緊急クエストが来た時。

 私は勇者である以上、そういう緊急クエストには強制参加だ。

 戦場に出るだけで死ぬ可能性があるような地獄にぶち込まれる可能性もある。

 逃げても女神に殺されるし、逃げなくても死にそう。

 

 そんな危機を私は回避しなければならない。

 もちろん、私の手持ちの爆弾でね。

 

 まぁそれは大前提として、今回の緊急クエスト、どうせ死ぬ確率は0に近い。

 それならば有意義に使わないと。

 次の危機のために投資をするべきだ。

 

 そうだなぁ……。

 私は少し考え込み、その場で計画を立てた。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 魔獣大量発生ポイントのバカ広い高原。

 私とパーティーメンバーの二人はそんな空気が美味しい場所を歩いていた。

 

「い、いきなり緊急クエストなんて……」

 

 私の後ろを着いてくるエイラは、声を微かに震わせながらそう呟く。

 まぁ無理もないよね。

 メンバーになって最初に受けるクエストが緊急クエストとは思わないよね。

 ネルも初めての緊急クエストだけど、大丈夫そうかな? 

 

「ふふっ……えへへ……」

 

 ネルに目をやると、めちゃくちゃ幸せそうに頬を緩ませていた。

 さっきからありえないほど近距離で私の傍を離れようとしないネル。

 うん……まぁ機嫌良さそうだし、私としては問題ないんだけど……。

 これ、大丈夫なの? 

 私は少し不安になりながらネルを見つめる。

 

「ネルは緊張してない?」

 

「ふへへ…………え? あ……な、何か言いましたか?」

 

 私がそう尋ねると、ネルはキョトンとした顔で私のことを見つめ返す。

 あ、ああ、緊急してなさそう。

 ネルって意外にメンタル強者だったりするのかな。

 

「あ、あの……もしかしてお二人は……」

 

 すると、後ろから着いてきていたエイラが怪しげな目で私とネルを交互に見つめる。

 エイラの言葉を濁すような口ぶりに、少し違和感を持つ。

 

「い、いえ、プライバシーですので聞くのは止めておきます」

 

 私が「なに?」と聞こうとすると、エイラは自分から質問を撤回してしまった。

 え? 結局何が聞きたかったの? 

 私は不思議に思いながらも、少し思い当たることを見つけた。

 

「あ、ああ! エイラも私と手を繋ぎたいの? いいよ、ほら」

 

 私は空いている左手をエイラに差し出す。

 すると、何故か右側から視線を感じる。

 ネルが私のことを凄く見つめてる。

 どうしたんだろう。

 

「い、いえ、止めておきます」

 

 エイラはその視線を感じ取ってか、私の左手を遠慮してしまった。

 やっぱりパーティー間の不仲ってあるのかなぁ。

 私はパーティーの行く末が心配になりつつも、先へと進んだ。

 

 

 *

 

 

 緊急クエストの指定された場所に到着した。

 魔獣大量発生の対処法は百年前から確立されている。

 大量発生地点を囲んで、逃げてくる魔獣を倒すだけ。

 

 徐々に包囲網をすり減らしていき、一匹も逃がさずに全滅させる。

 これが最も効率的は対処法。

 まー、ただの大量発生ならこれで解決なんだけど、この先どんどん通用しなくなっていくよね。

 そのことを考えると気分が重たくなる。

 

「ネルは魔獣を見たら、すぐ魔法を使って」

 

 私はネルにそう指示を出し、自分は後方で腕を組んだ。

 ネルはやる気満々みたいで、魔法の杖を自信満々に握り締めていた。

 この分では本当にネルの心配は要らなさそうだ。

 あー、これが私の理想系。頑張れ、私の仲間! 

 

「あ、あの私は……ネルさんのカバーをすればいいですか?」

 

 ネルと対照的にエイラはまだ不安そう。

 今ならネルも見てないし、ボディタッチし放題だな。

 ここでネチネチ触っていこう! 

 私はそう意気込み、エイラに近づいた。

 

「大丈夫。エイラは私の傍にずっといて」

 

 私はエイラの右手を握り、安心させるという名目でフニフニ感触を楽しむ。

 手を握ってるだけなのに、エイラの心臓の鼓動を少しだけ感じる。

 

「言い忘れてた。私、少し時間が経ったら他の場所に行くから、エイラも着いてきてね」

 

「はい。分かりました……って……え?」

 

 私の言葉にエイラが固まってしまう。

 

「え? あ、あの、持ち場を離れるんですか?」

 

「え? そうだけど……?」

 

「え? それって、いいんですか?」

 

「え? ダメだけど……まぁいっかなって」

 

 私の答えにエイラは酷く困惑していた。

 いやだって……ネルの火力あればこれくらい多分余裕だし。

 その間は他の場所で、私を庇ってくれそうな候補を探したいし……。

 パーティーメンバー以外にも、そういう人を見つけるのって大事だと思うんだよね。

 

「私、ミラさんと少しの間過ごして、少しだけミラさんを分かった気がします」

 

「え? な、なに?」

 

 エイラは唐突にそんなことを言い出す。

 ドキッと心臓が跳ねる。

 私を分かった……? 

 少し嫌な予感がした。

 

「ミラさんって、きっと悪い人ですよね」

 

 エイラはどこか遠くを見つめたまま、そう言い放った。

 え? ば、バレてる? 

 

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