味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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8話 昔の女

 一件落着(?)してから何とか三人でパーティー活動をできる所まで持って行った。

 まぁこれ以上は増やそうと思ってないから、この二人に集中できるし肩の荷が降りた気分。

 とりあえず今日は簡単なクエストからこなさないとね。

 

 と、その前にエイラに会いに行かないと。

 めっちゃ微妙な空気で別れちゃったからエイラも困ってるだろうし。

 私は朝一番にエイラのいそうな教会へ向かった。

 

 案の定、エイラは教会の隅っこで目を閉じていた。

 これ、寝てるのかな。

 治癒士って生態がよく分からないんだよね。

 ずっと祈ってるし、風呂とか食事はちゃんとしてるのかな。

 

 私は自然にエイラの隣に座り、目を閉じてみる。

 女神様……私の残機あと100個くらい増やしてください……。

 私はそんなしょうもないお祈りをしてみる。

 

「……あ、あの?」

 

 すると、隣からエイラの声が聞こえてくる。

 目を開くとエイラが困ったような顔で私を見ていた。

 

「あ、おはよう。エイラ」

 

 私はそんなエイラに笑顔で挨拶した。

 エイラは軽く頭を下げると、また困ったような顔を私に見せる。

 うん、なんかちょっと良い匂いするし、風呂には入ってそうだな。

 

「エイラはご飯食べた?」

 

「あ、あの、そんなことよりどうして私の隣に……」

 

 私の問いは遮られ、エイラはそんなことを指摘してきた。

 まぁパーティー活動は昼からだし、急に隣に座るのって変だよね。

 ネルはそういうのに全く疑問を持たなかったから、少しやりずらいな。

 

「エイラに会いたくなっちゃった。昨日はあんまり話せなかったからね」

 

 私はそう言って、自然にエイラの太ももに手を置く。

 普通に嫌そうな顔をするエイラをよそ目に、エイラとの距離をわざと狭めてみる。

 うーん、エイラにはボディタッチは効果的じゃないかなぁ。

 私は少し残念がりながらも堂々とセクハラを敢行する。

 女の子同士だから問題ないよね。

 

「……ネルさんは大丈夫でしたか?」

 

「あ、ああ、うん。大丈夫だよ。パーティーの活動に支障はないかな」

 

 大丈夫じゃないんだけど、多分大丈夫なはず。

 私は不安になりながらも、エイラの前では胸を張った。

 エイラもほんの少しだけ安心したような表情になった。

 

「それは良かったです」

 

 エイラはそう言って軽く微笑んだ。

 なんだかんだエイラもパーティー活動はする気でいてくれてるんだなぁ。

 私は嬉しくなってエイラの太ももをフニフニと触ってみる。

 エイラは聞こえないほど小さな溜息を吐いて、私の行動を黙認した。

 

「ねぇ、エイラは治癒士に必要なものってなんだと思う?」

 

 私はここが好機とばかりにエイラにそう尋ねる。

 すると、エイラは私の問いに少しばかり真剣な目をする。

 

「女神様への信仰心……ですか?」

 

 エイラの回答は治癒士として当たり前で、正解に限りなく近い模範解答だった。

 ふふ、まずここら辺の認識から変えさせよう。

 確かに女神への信仰心は、そのまま神聖力の大きさに繋がると言われている。

 でも、エイラの神聖力には期待してないしね。

 アレを使ってくれればなんでもいいし。

 

「私は違うと思うんだよね。大切なのは、誰を癒したいかだと思う」

 

「誰を……? 癒したいか……ですか?」

 

 エイラは不思議そうな顔で私に視線を返す。

 

「うん。誰かを守りたいとか、誰かの傷を癒したいって思うことが一番大切だと思うんだよね」

 

 私はエイラの手を握り、あたかも本当かのように持論を言い放った。

 その謎理論にエイラは割と関心を示してくれていた。

 

「だから、エイラには私のことを守って欲しい。女神様への信仰なんかじゃなくて、私だけを守って欲しいんだよね」

 

 私はあくまで持論の延長として、笑顔でそう言った。

 エイラは私の言葉に驚いているのか困っているのか。

 私にはそこまで判断できなかった。

 

「ふふっ、そんなこと誰かに聞かれたら説教じゃ済みませんよ」

 

 エイラは数秒私を見つめると、小さな声で笑ってくれた。

 うん……エイラって女神様への信仰心あんまりないよね。

 こういうの冗談でも許さないのが治癒士ってイメージだったし。

 まぁ私にとっては好都合だね。

 

「じゃあ時間まで女神様に謝っとくよ」

 

 私はそう言って目を閉じた。エイラも多分祈りを捧げる作業に戻ったことだろう。

 しかし、私の手はエイラの太ももに置かせてもらう。

 静かな教会の中、私は数時間エイラの太ももをフニフニして楽しんだ。

 たまにピクっと震えるエイラの体が面白くて、つい熱中してしまった。

 

 

 *

 

 

 教会を出て、私はギルドに向かった。

 エイラは時間まで祈っておくらしい。

 治癒士って暇なのかな。いや、それは頑張ってるエイラに失礼かな。

 

 私はそんなことを考えながら、良いクエストを探してみる。

 簡単にクリアできそうだけど、女神様からは魔王討伐の一環として認められるくらいのちょうどいいヤツ。

 

「うーん……」

 

 あんまり目当てのやつが無いなぁ。

 掲示板の前で私は立ち往生してしまう。

 あー、どうしよっかなぁ。

 

「はぁ……姿を見せないと思ったら、こんな所にいたのね」

 

 すると、私の後ろから声が聞こえてくる。

 明らかに聞き覚えのある声だった。

 確か……ん? 誰だっけ。

 

「あ」

 

 振り返ると、そこには見覚えのありすぎる顔があった。

 私好みのボブの髪型のまま。気の強そうなツリ目なのは少し嫌だけど。

 

「あんたに会うなんて今日は厄日ね」

 

 私の旧友である勇者ミリナは溜息を大きく吐いた。

 そうこの子は私と同じ勇者。

 剣の勇者で、私とは違って派手な能力を持っている勇者。

 めっちゃ久しぶりに会った気がする。

 ひさしく会ってなかったら嬉しいな。

 

「どうしたの? まだ私が忘れられないとか?」

 

 私は悪戯な笑みを浮かべ、ミリナに近づいた。

 ミリナはそんな私から距離を取る。

 

「ち、違うわよ! 昔とは違うわ!」

 

 ミリナは顔を赤くしながら私の接近を拒む。

 ムッとした表情で私から視線を逸らすミリナは、どこか懐かしかった。

 

 そう言えば最初に自爆特攻させようと考えたのはミリナだった。

 あの二人にやったようにミリナに近づいて、最終的には自爆させようとした。

 でも、まぁ失敗しちゃったんだけどね。

 

「また懲りずにパーティーメンバーを探してるの?」

 

「いや、もう二人集まったから満足してるよ」

 

 私がそう答えるとミリナは複雑そうな表情になる。

 怒っているような寂しがっているような。

 まぁ私の本性を知っているからこそ、怒りの方が大きいだろうけど。

 

「あんたに騙される子が可哀想ね」

 

 ミリナは鋭い口調でそう言った。

 そのツンツンしてて難易度高めに見えて、意外にチョロいミリナ。

 最初に心酔させようとしたのがミリナで良かったと、今でも思っている。

 

「ふふ、ミリナももう一度私に騙されてくれていいんだよ?」

 

 昔のようにミリナの手を自然に握る。

 ミリナは一瞬だけ流されるも、私の手を振り払った。

 流石にもう一度騙されてはくれないらしい。

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