味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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6話 普通に2人目へ

 ってことで二人目作るよ。

 魔法使いの爆弾は作れたし、次は治癒士が欲しいな。

 私が怪我しても直してくれる大事な役職。

 

 ネルは運良く優秀な素材だったけど、治癒士は本当に弱くていいんだよね。

 いやむしろ弱い方がいい。

 だって致命傷なんて受けるつもりも無いし、怪我を治してくれるくらいでいい。

 

 一番大事なのは全ての治癒士が持っている特質。

 その名も『起死回生』。

 治癒士が命を捧げることによって、対象を一度だけ生き返らせる禁忌の技。

 

 使用は絶対的に禁止されているものの、過去には使われた例もあるらしい。

 昔の勇者とかも起死回生によって生き返って魔王を倒した例とかあるらしいし。

 うん、控えめに絶対欲しいチート技だ。

 

 まぁ治癒士は貴重だし、普通に考えれば起死回生なんて非効率過ぎるんだけどね。

 それに相当な覚悟がないと使えもしない。

 死の恐怖すらも超えるほどの心酔をさせる必要がある。

 

 正直難しいと思う。

 普通の人間なら死にたくないという感情はどうしても消しきれないもの。

 でも、自分の価値が低ければ低いほど、自分の命は軽く見えてしまう。

 

 なので私が狙うべきは、弱い治癒士。

 ネルと同じで気弱そうで弱くて、本当にどうしようもないような治癒士が必要だ。

 

 私は治癒士を探すべく、治癒士が多く在籍している教会へと向かった。

 こんな打算的で醜すぎる理由で教会に行くなんて、女神様からなんて思われるか分からない。

 まぁ女神様も許してくれるよね。勇者としての役目はそこそこ果たしてるわけだし。

 

 

 *

 

 

 治癒士に必要なのは魔力ではない。

 女神への信仰心から生まれる『神聖力』というよく分からない概念。

 だから数値化できるものでもないし、実態もない謎。

 

 まぁパッと見で強いか弱いかくらいは分かるけどね。

 

 私は教会に入り、適当に辺りを見渡す。

 治癒士は一日の大半を女神様への祈りに費やすらしい。

 すごいよね。暇だなとか思わないのかなぁ。

 

 私はずっと目を閉じて、祈り続けている治癒士達を見つめる。

 うーん、この人は強そうだなぁ。

 この人は弱そうだけど気が強そうだし。

 

 私はジロジロと目当ての治癒士を選別する。

 その中でも治癒士達は目を閉じて祈りを捧げ続け、私の存在には気づいていないみたいだった。

 

「お」

 

 明らかに祈りに集中できてない子がいた。

 何度も瞬きをして祈りを捧げるのすらままなっていない。

 髪は金髪で少し気が強そうだけど、明らかに弱そうな治癒士。

 パッと見の性格は外れだけど、絶対クソザコ治癒士だ。

 

 私はそう確信し、その子の横に座る。

 

「ねぇ、キミ集中できてないでしょ」

 

 私は笑みを浮かべながら隣の治癒士に話しかける。

 まぁ言うまでもなく、治癒士はこちらの方をギロっと睨んでくる。

 

「……何か用ですか?」

 

 治癒士は心底嫌そうな顔でそう言った。

 まぁネルがチョロ過ぎただけで、これが普通の反応だよね。

 やっと攻略しがいのある子が来た。

 

「私、治癒士を探してるの。良かったら私のパーティーに入らない?」

 

 私はいきなり本題からぶっかけてみる。

 すると、治癒士は少し驚いたような目をする。

 

「え? 私、ですか?」

 

「うん、そうだよ」

 

 見るからに初めて勧誘を受けたって顔をしてる。

 治癒士はとても貴重なのに、勧誘を受けたことがない。

 それはつまりとんでもなく弱い治癒士だということを意味していた。

 最高だ。私は心の中でガッツポーズをする。

 

「少し外に出ましょう。……見せてあげます」

 

 治癒士は目を伏せたままそう言った。

 その表情はどこか曇っていて、勧誘を受けたのに嬉しそうではなかった。

 初めての勧誘のはずなのに、嬉しそうじゃなかった。

 

「あ、その前に名前は?」

 

「名前……私はエイラです」

 

「エイラちゃんね。かわいい名前だね。私はミラだよ」

 

 お互いに立ち上がり、ヒソヒソ声で自己紹介をしあった。

 腰まで届く長い金髪の治癒士エイラ。

 顔立ちは気が強そうで凛としている。

 しかし、その目には迷いというか雑念があるような気がした。

 聖職者としてあってはならないものが、確かにエイラにはあった。

 

 

 

 *

 

 

 

「きっと私の力を見てくれれば思いとどまってくれますよ」

 

 二人で並んで歩いていると、エイラは自嘲気味にそう言った。

 こんなに気が強そうな子なのに。

 可愛いと言うより美しい顔をしてるのに自己肯定感は低い。

 そのギャップに私は心打たれた。

 

「エイラは自信が無いんだね」

 

 私はエイラとの距離を縮め、体が触れ合うくらいの距離感になってみる。

 エイラは言うまでもなく、自然に私から距離を取ってしまった。

 

「では、見せてあげます」

 

 数分後、一通りのない路地裏に到着した。

 そこでエイラは小さなナイフを取り出した。

 そして、そのナイフで自分の腕を小さく切った。

 

 言うまでもなく、エイラの右手から血が流れる。

 ゆっくりとポタポタと血が地面に落ちる。

 

「ヒール」

 

 エイラは傷口に向かってヒールをかけた。

 治癒士の基本的かつ最も重要なヒール。

 高位の治癒士であればヒールだけで致命傷すらも全快させてしまうとか。

 

 まぁ私は期待せず、エイラから繰り出されたヒールの効果を見守る。

 

「ふふっ、ほら見てください」

 

 エイラは苦笑しながらヒールがかけられた傷口を見せてくる。

 血は止まっていたものの、傷口は未だに残っていた。

 ただのかすり傷、それすらエイラは癒せないほど神聖力が無いようだ。

 あまりに残念な素材。これは酷い。

 しかし、私にとっては最高の素材。

 

「血が止まってる……! やっぱり治癒士ってすごいね」

 

 私はわざと無知なふりをして、キラキラと目を輝かせる。

 

「あ、あの……これは当たり前なんですけど……」

 

 私の反応にエイラは困惑する。

 ふふ、やっと隙を見せたね。

 さっきから受け身ばっかりで攻め方が分からなかったんだよね。今なら行ける。

 

「やっぱりエイラは私のパーティーに必要だよ!」

 

 エイラの傷ついた方の手を取り、グッと両手で握り締まる。

 エイラは生理的な抵抗で手を振り払おうとするが、私の力には勝てない。

 

「で、ですから治癒士ってのはこれくらい当たり前で……!」

 

「す、すごい! これくらい当たり前なんだ……」

 

 私は傷口を凝視しながら適当に驚いておく。

 流石のエイラも私の反応にはただ困惑していた。

 

「あ、私、包帯持ってるよ」

 

 困り果てて呆れそうなエイラに、すかさず次の行動を起こす。

 ただのヤバい奴だと思われたらダメだからね。

 理解できるヤバい奴じゃないとね。

 

「えーっと……」

 

 私は自然な手つきで包帯を広げる。

 そして、傷口をペロッと舐める。

 

「っっっ!!」

 

 すると、エイラはビクッと体を跳ねさせる。

 こいつ、何考えてるんだ……みたいな顔で私を見てくる。

 私は無視して包帯をエイラに巻いた。

 

「あ、あなたは何を考えてるんですか……?」

 

 包帯を巻き終えるとエイラはすぐさま手を胸の方へ引っ込めた。

 まるで自分の手を私から守るように隠すエイラ。

 

「エイラに私のパーティーに入って欲しいだけ。ね? お願い……入ってくれない?」

 

 私はそんなエイラとの距離を詰め、ゆっくりとエイラの顔に手を当てる。

 ピクっとエイラの体が小刻みに震える。

 そんなエイラに追い討ちとばかりに、エイラの細い腰まで手を伸ばそうとする。

 エイラの頬がほのかの赤く色を帯び始め、呼吸が荒くなっていく。

 

「わ、わ、分かりましたっ!! 分かりましたから!! 入ればいいんですよね!?」

 

 エイラは状況に耐えられず、両手で思いっきり私のことを押し出した。

 そして、私の欲しいセリフをそのまま言ってくれた。

 私はエイラを触る手を止め、満足気に頷いた。

 

「ありがとう!」

 

 その後、ありえないほど微妙な空気が二人の間を流れた。

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