「相続税=お金持ち」はもう古い? 土地が高騰、都心では2割が納税
都市部を中心に地価が上がっています。その影響は不動産を買うときだけでなく、相続時も実感します。国税庁によると、2023年に亡くなった約158万人のうち、相続税が課された割合は9.9%。10人に1人です。10年前の13年は4.3%でした。「相続税を心配するのはお金持ちの話」。そんな考えはもう古いのかもしれません。(中野浩至) 住宅ローンに落とし穴 引っ越して貸し出し、国税と銀行が注目の理由 「相続税の支払いが必要かどうか、教えてもらえませんか」。そんな相談で、東京都練馬区の60代女性がマルイシ税理士法人(新宿区)を訪れた。同居していた90代の母が最近になって死去。遺産整理をしていたが、不動産の評価額がいくらかわからなかった。 埼玉県境に近い自宅は築20年ほどの2階建て。最寄り駅から少し離れたごく普通の郊外型住宅だ。 土地は約70坪と23区内では広めだが、父が亡くなった際に女性と母が共有で相続していたため、母からの相続分は約35坪。国税庁の定める路線価をもとに、評価額は約3500万円と算出された。 遺産は不動産に加え、預貯金が約2千万円。父が残した預貯金は母がすべて相続したが、それほど使わずに残していたようだった。それ以外の遺産も含めると、相続する財産は計6千万円ほどに及ぶ。 相続税は、受け継ぐ遺産が一定額までだと課税されない。基礎控除と呼ばれ、女性のケースは他にもう1人相続人がいて4200万円。相続財産はこれを上回る。ただ、女性は母と同居していたため、「小規模宅地等の特例」が適用されるとわかった。この特例を使うと土地の評価額を8割引きにできるため、結局、納税は必要ないとわかった(特例利用のために申告書は提出する)。 こうした特例は様々な要件があり、だれでも適用されるとは限らない。マルイシ税理士法人の藤井幹久税理士は「東京23区内に持ち家のある人は、将来的に相続税の納税が発生する可能性を考えたほうがよい」と指摘する。 ■「のび太の家」のような住宅でも要注意 アニメ「ドラえもん」に出てくるのび太の家のような、ごく普通の住宅。そういう住まいでも都市部であれば、最近の地価高騰の影響で土地の評価額が以前より大きく上がっているかもしれないという。 「相続税は富裕層だけの話題ではなくなった」。藤井税理士は最近、そう実感しているという。マンションについても、税制改正で24年から評価方法が変わり、都心を中心に評価増の影響を受ける可能性があるという。 税理士法人山田&パートナーズの集計によると、亡くなった人のうち相続税が課される人の割合を東京23区でみると、約20%にも及んだ。税務署単位で発表されたデータをもとに独自集計した値で、全国平均より大幅に高い。
朝日新聞社