「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。
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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。
母親になられた方の素晴らしさは数えきれませんが、最も驚くのは子どものすべてを受け止める心です。
私の母は、頭がよく、プライドも高い人でしたので、若い頃は、子どもが自分の要求水準に達しないと妥協することなく手厳しく叱りました。
私は歴史や地理が苦手で母をいつもあきれさせていました。幼い私は母が怖くて、いつか捨てられるのではないかと恐れていたほどです。しかし、晩年は穏やかになり、遅い反抗期を迎えた私のどんな愛のない態度や冷たい言葉も黙って受け止めてくれました。
母が帰天してから2年がたちました。今は母がどんなに私を愛してくれていたかよくわかります。
私を友人に紹介したときの輝いた顔、久しぶりに実家に帰り一緒にお寿司を食べた日、よほど嬉しかったのか、驚くほど美しい笑顔を見せてくれたことなどが鮮やかに心に刻まれています。
聖母マリアさまも素晴らしいお母さまです。赤ちゃんのイエスさまを抱っこし、お乳を含ませ、泣くとリズミカルに身体をゆすってあやしたり、きれいな声で歌ってさしあげたでしょう。
子ども時代が過ぎ、「時」がきて、イエスさまは人々の前に出ていきます。迫害や陰謀の中でひたすら人間の救いを望み、奇跡と共に神の国を述べ伝えたときも、聖母は息子の労苦を耳にしながら黙って受け止めました。
捕らえられ十字架に釘づけられながら「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです」(ルカ23・34)と祈ったときも、叫びを上げて最後の息を引きとったときも、お母さまは、イエスさまと共に傷つきながらすべてを受け止めて「私たちの罪の償い」を天の御父に捧げてくださったのです。