あしなが育英会の奨学金、希望遺児の半数にとどまる… 枠増街頭で支援訴え、 あすから名古屋などで
受けられる遺児56・2%
県内の高校に今春入学し、病気などで親を亡くした子どもらを支援する「あしなが育英会」(東京)の奨学金を希望し、受けられる遺児は56・2%にとどまり、半数近くは利用できていないことがわかった。物価上昇などは続き、奨学金の必要性は高いとして、利用する大学生らは19日から、名古屋市内などで街頭募金を行って支援を求める。
あしなが学生募金事務局によると、2024年度に全国で奨学金を申請した高校生は過去最多の3487人にのぼった。一方で、資金が足りず、利用できたのは44・1%にあたる1538人で、県内でも47・5%の76人にとどまった。 ただ、街頭での募金活動やそれ以外の寄付を合わせて、全国で前年度より多い9852万円が集まったことから25年度は全国の枠を約500人増やす方針。 この春の県内の高校入学予定者では73人が希望し、56・2%の41人が受けられることになった。前年度より割合は改善したが、32人は選ばれなかった。入学後に奨学金を希望する遺児の募集は5月20日締め切りで、7月上旬に決まる予定だ。 同会の調査では、高校奨学生世帯の平均可処分所得は約188万円。国民生活基礎調査での全世帯平均の半分以下で、母子世帯平均と比べても約64万円低い。 同会の奨学金は返還が不要な給付型で月額3万円。政府は今春からの高校授業料無償化を決めたものの、奨学生世帯は既に無償化の対象となっている。授業料以外に必要な支出もあるため、その負担を考えても奨学金は不可欠だという。 エンジニアを目指す愛知工業大2年の杉浦誠明さん(19)は、3歳の時に父親が病死した。高校から同会の奨学金を受け始めた。 杉浦さんは「経済面も考えて、高校卒業後は就職しようと思っていた。ただ、奨学金のおかげで大学に進学でき、夢だったエンジニアを目指せている」と話した。現在は後輩となる遺児の小中学生らにオンラインで学習支援をしているといい、今回も街頭に立つ。 街頭募金は19、20、26、27日の正午~午後6時に行われる。場所は、名古屋市内が市営地下鉄栄駅の三越前、名鉄、近鉄名古屋駅前、金山総合駅南口(19日のみ)、豊橋市が豊橋駅東口、一宮市がJR尾張一宮駅のコンコース。あしなが学生募金のホームページでも公開している。