Dark Archive


メニュー

お気に入り

しおり
作:回忌
▼ページ最下部へ


4/32 

美味しい物


武器の説明文通りに武器を使いたい欲とステータス通りにやりたい欲がヤバい


小鳥遊ホシノ

 

 

私から見て彼女は異常の部類に入る。

 

まずはロードランの神々ともやってけそうな戦闘センス

そして何より彼女にある不思議な力の多さである

後にそれが「神秘」なるものと私は聞いた、これが「銃」という武器からのダメージを軽減させているらしい

というか「神秘」が大抵のダメージを半分以上軽減するようである

撃たれた時のダメージがセリカの時はかなり痛かったが、彼女達の戦闘を見てみれば傷すら付いていないのである

 

あー、敵に回したら面倒である。殺せない訳では無いが

 

 

で、それだけならまぁロードランにも居そうじゃね?と言うくらいである

ところがどっこいそうはいかないことが先程起こってしまったのである

 

最初は私とて、嫌がらせの部類だった

初めに奇跡と魔術、そしてセリカの呪術があると説明した

そしてそこからこういうものといじらしくホシノにあのスペルを渡したのである

 

「太陽の光の槍」

 

かつて太陽の王であるグウィンが振りかざした槍

もう殆ど燃えカスのようであるがそれでも威力は折り紙付きだ

 

何せあの世界の太陽を槍とし、投げているのだから

 

 

で、かの世界の王が己の武器としている物

だからこそ通常の人に使えるはずもなく誓約が必要である

しかもそこそこ高い信仰を求めれ、私はその光を見たいが為に態々信仰心を強めたものである

 

…私ですら信仰を求めたのだから初対面のコイツに使えるハズないと思っていた時である

 

 

『こうやって、こうかな〜』

 

 

そう言って彼女は手元に太陽の光の槍を出現させ、ポイッと投げた

それは凄まじい勢いで加速しそのまま校舎の塀を貫通して行ったのである

 

その時のアヤネの顔は凄いものだった、ここキヴォトスにニトは居たようである

 

……ともかく、彼女は恐らく普通の人間では無い

神々の遠い親戚…もしくは己の存在を忘れた神そのものとでも言おうか

 

 

ある意味あの時殺すべきだったかもしれない

 

 

出会いは結果的に、……特に私の場合は相手が死ぬだけである

 

 

 

 

今はこの学校に居ることにしよう

本当なら他にも存在する"ガクエン"を探索したいものである

しかしなぜだか、私にはこの"アビドス"という場所にはまだ探索できていない場所があると思っている

だからこそ少しずつ調べ、そして知能を失った亡者にならないように彼女達に教鞭を取る

 

いつしか別れもあるだろうが、それはその時だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、数日たったある日篝火でノノミに教鞭を取っていた時である

ふと思い出したように彼女が私に質問してきた

 

 

「旅人さんは旅で美味しいものがあったりしましたか〜?」

 

…美味しいもの?そんなものは最近食ったことは無いな

 

 

ノノミが私に対してそう聞いてくる

ロードランの旅路にて美味しいものなどあったものだろうか

たまご下しは苦いし、草は草だし、大抵ろくでもないものだった

あそこじゃ不死人を生きたまま加工する者もいるくらいなのである

生きながら食われるなんて、ぞっとすらぁ……

 

 

「麺類って食べたことあります?今から行きましょ〜♪」

 

……まぁ、休憩がてら行くことにしようか

 

 

私は教鞭の休憩としてご飯を食べに行くことにした

他人と飯を食べるというのはかなり久しいことだと思う

昔、不死人になる前…家族と同じ釜の飯を食べていた時だろうか

 

もはや昔の身分も、家族の顔も思い出せないのだが

 

 

私はそう思いながら校舎に走るノノミを眺める

どうやら彼女は先に仲間達を呼んでから行くようである

旅に人が多い方が楽しいように、飯に人が多い方が楽しいのだろう

さて、適当に服装でも整えようか?

 

このコートも初対面の人には胡散臭く見えてしまうだろうが気にしない

ともかく頭装備であるこの宵闇の冠を変えよう

…どれもこれもいいのだが、余所行き、そして飯を食べるとなるとフード系では無い

 

ならば、これだろうか

 

私はソウルを具現化し、とある帽子を取り出した

長いツバが特徴の「ファリスの帽子」である

人ながらグヴィン王の四騎士「鷹の目ゴー」と並び称される戦士

伝承にもあるその姿に憧れる子供も多いんだとか……その人盗賊団に居たんですど

 

ともかくこれならば少し古風なオシャレ程度に思われるだろう

この世界の装備品も見てみたいものである、うむ

 

「ごめーん、待った?」

「ん、丁度行き先が重なった」

 

そう思っているとホシノの声がした

見てみれば少女達がほぼ全員来ているようだ

…ほぼ、というのはどう見ても一人足りないからである

 

 

セリカは?

 

「"あの子はバイト…仕事中だ、その件で私達も柴関ラーメンに用があってな"」

「セリカちゃんは柴関ラーメンでバイトしてるはずだから、腹ごなしついでに行こうって訳」

 

 

なるほど、どうやらセリカは"らーめん屋"というところで"ばいと"という仕事をしているらしい

よく分からないが恐らく血なまぐさい仕事では無いことだろう

そんな事より美味しい物が食べられるなら早く行きたい、さっそく行こうでは無いか

 

「それじゃ、柴関ラーメンに向けて出発です♪」

「うへー、聞くだけでお腹減っちゃったよぉ」

「まぁまぁホシノ先輩、直ぐ着きますよ」

 

ノノミの号令と共に、私達は足を踏み出す

私としてはあちらのとても発展した場所を見れるようなので楽しみである

その上美味しいらしい食べ物を食べられる…素晴らしいことである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……早い、とても早い

 

 

「あの、旅人さん……震えてません?」

「本当だね、過去何かあったのかな?」

 

 

今私はバスなるものに乗っている

長方形の箱に円盤が四つ付いたものである

それが地面スレスレを凄まじいスピードで止まったり右行ったり左に行ったりするのである

ロードランの地で固定の移動手段はゴンドラだったり檻だったり大鴉だったので新鮮である

 

で、あるが……その、慣れない

 

先程言った移動手段は一分も……なんなら30秒もせずに移動が完了する

しかしこのバスという移動手段は先程から10以上経過しているのに全く止まる気配が無いのである

 

逆に怖い、センの古城みたく針に突っ込んだりしないだろうか?

 

 

「あの、大丈夫でしょうか…?」

 

…あぁ、すまない大丈夫だ……

 

 

大丈夫じゃない、心配で心が死にそうである

何か気分を落ち着けないと気が狂いそうになる

私はそう思いなにか無いかとソウル化した物品を漁る

母仮面、父仮面も良いがこれでもない、指輪系にいいものは無い

 

どうしようか、どうしようか……!

 

 

 

 

悩んだ果てに、私が選んだのは────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇなんであの人頭陀袋被ってるのー?」

「シッ!ミチャイケマセン!!!」

 

「…視線が痛いよー」

「なんででしょうかねェ……」

「"アヤネ、現実をみたまえ"」

 

はぁ、と先生の言葉にため息が出る

いや先生に呆れたとか嫌な感情を抱いた訳では断じて無い

どちみちにしろ信じられないのは間違いないのだけれど

 

いやそれよりヤバいことになってる、うん

 

 

原因は横に座っている頭陀袋を被った変人である

先程から錯乱した様子であり、しきりに懐を漁っていた

かと思えば被っていた帽子を脱ぎ2つの穴が空いた頭陀袋を被り始めたのである

 

……なんで?

 

 

「フーッ…フーッ……」

 

 

等の本人は自分を落ち着かせるように息を吸ったり吐いたりしている

数回それを繰り返した後、彼はスっと頭陀袋を外し先程の帽子を被り直す

 

「……フゥーッ…」

 

深いため息をついた後窓の世界を眺め始めた

まるで何事もなかったかのように平然に、当たり前のように外を見た

 

…彼には社会常識のインストールが必要な気がする

キヴォトスにはキヴォトスの常識があるということを教えなければならないようだ

帰ったらじっくりと教えてあげよう

 

 

 

 

そう思っていれば、バスがピタリと止まる

どうやら行き場所についたようだ

 

「ほら旅人さん、行くよ〜」

「…、…!あ、あぁすぐ行く」

 

ぼーっとしていた彼は私の声にハッとして立ち上がる

料金は全員の分を先生が払ってくれた、代金が浮いたね

 

 

バスから降りると、汗をかいた旅人が額を拭う

そして私に対して困惑した表情で質問してきた

 

「…いつもあんなのに乗ってるのか?」

「まぁ、殆ど徒歩だけど街までは遠いからねぇ〜」

「そ、そうなのか…」

 

ハァとため息をついた彼は帽子を被り直し腰のレイピアに手をかけた

何時でも抜けるように手を置いているようである、盾もいつの間にか装備していた

 

「…」

 

私は必要以上に周りを警戒する彼に溜息をつきながら柴関ラーメンへと向かったのだった

 

 

 

 

彼女達について行く

周りにはとても大きな建物、四角形の箱が通るやけに大きな道

どれもこれも彼には馴染みのないものであった、何せ時代が進歩しすぎているのだから

 

逆に言えば彼にとって全てが新鮮に見える

ロードランに存在する亡者は一人も居らず、全員生者である

何人か鉄の体をしているが、襲いかかってこないだけマシだろう

 

彼がそう思っていると、1つの建物の前に辿り着いた

柴関ラーメンと書かれた看板に犬が腕を組んでいる像がある

 

なんだろう、あれは…彼は脈絡もなくそう思う

 

どうして犬風情が二足で立ち、腕を組んでふんぞり返っているのだろうか

なんとも理解できない

 

「お邪魔しまーす♪」

「店主ー6名入店だよぉ〜」

「あいよ!いらっしゃーい!」

「ェッ!?みんなどうして!?」

 

立ち止まっていると、いつの間にか中に入って行った彼女達の声が耳に入る

どうやら彼以外は先に入ってしまったようである

警戒しすぎな上、最後尾な事が祟ったようだ

癖を直さなければと彼は思いながら入店する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、新顔…ってどうしたどうした!?」

「え、どうしたの大将…ちょちょちょ武器をしまってしまって!?」

 

 

 

現れた犬風情に体が過剰反応し、思わずリカールの刺剣を引き抜いてバックステップしてしまった

 

 

 

 

 

 

「もぉ!ダメでしょ!?あんなことしたらさぁ!?」

 

 

申し訳ないと思っている、うん、本当に

彼はホシノに対して謝る、平謝りと言うやつである

仕方ないだろう?犬なんて大半クソみたいな奴しかいないのである

 

 

…いや、一匹だけそれに当てはまらない者がいた

 

 

私は懐から「アルトリウスの契約」を取り出す

細い輪っかに小さな宝石がはめ込まれているこれは、とある大狼が守っていた物

そして私が無理やり奪い取った物

 

 

かの狼の名を、「灰色の大狼シフ」と呼ぶ

 

 

「深淵歩きアルトリウス」の親友であり、共にとある滅びかけの国を救おうとした勇者

…しかしそのアルトリウスは深淵に敗れ正気を失い自身も彼の結界の大盾に身を任せていた

 

この男は、シフを攻撃していた深淵湧きを潰してシフを救ったことがある

 

詳細は省くがとある事情によりロードランの過去に至ったのである

そこで彼は全ての元凶である深淵の主、マヌスを殺すことに成功した

その功績を知るのはシフと、あのキノコ姿の乳母だけである

 

 

シフはその後、アルトリウスの伝説を守ろうとした

深淵を食い止め、深淵の主マヌスを打ち倒した英雄として

 

深淵に敗れ、正気を失った英雄の姿ではなく、栄誉ある姿として

 

 

 

彼は、王のソウルを得るために「アルトリウスの契約」が必要だった

シフは、アルトリウスの伝説を守る為に前に立ちはだかった

 

 

 

結果は──────────

 

 

「旅人さん?結局どうするの?」

 

 

いけない、また自分の考えにふけってしまった

彼は首を振って目の前に差し出された物を受け取った

何かが書いてある紙のようである、よく見てみれば〇〇ラーメンという文字が並んでいる

その横には数字が3文字程度、これは…食べ物の名前か?

 

で、あれば〇〇にある豚骨だのどうのはトッピングだろうか?

 

ふむ、ならば少し悩むが…

 

 

 

ここで、1番オススメなのは?

 

 

「うーん、やっぱり柴関ラーメンだねぇ

ㅤ安くて美味しい!…うん、こんないい物はないねぇ!!!」

「ハハハッ!そう言って貰えて光栄だよホシノちゃん!」

 

 

ならば、柴関ラーメンを頼むことにしよう

何事もオーソドックスが1番であるのだ

 

 

 

変に頼んで、失敗するくらいなら他人のおすすめを素直に受け入れろ

 

 

 




ちょっと書き方を後半の方に変えてみます
雰囲気出ません?

旅人の旅路!〜キヴォトス編〜

  • トリニティ
  • ゲヘナ
  • ミレニアム
  • 百鬼夜行
  • 全部書いて♡かけ(豹変)
4/32 



メニュー

お気に入り

しおり

▲ページ最上部へ
Xで読了報告
この作品に感想を書く
この作品を評価する