ダンジョンに周回した不死がいるのは間違っているだろうか?


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作:Saturdaymidteemo
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不死、ダンジョンに立つ。


ハロー、シロー、フレンド。


「ん?どこだここは」

 

男はまるでそこから生えるように現れた。

 

「旅を終えたと思ったらまた振り出し・・・といういつものパターンではないようだが」

 

当たりを見渡す。

光は不思議な光源が宙にふわふわと浮いており、

天井があるからしてどこかの洞窟と見受けられる。

 

「うあああああああああああああ」

 

悲鳴が聞こえたほうに男が目を向けると

白髪の赤眼の少年が、頭が牛のようなモンスターに襲われている。

男がそれを視認するや、どこからともなく氷の槍を取り出し、

瞬時に少年とモンスターの間に入る。

 

そしてそのまま突き上げるように牛の身体を串刺しにして勢いよくあらぬ方向へモンスター死骸を放りなげる。

 

「無事か?少年」

 

唖然としている少年に声をかけると少年はハッと我に返り

 

「ありがとうございました!」

 

と頭を90度下げる。

 

「なに、あれくらいなら万程相手にしている。ところで少年、君も『不死』なのか?」

 

男は少年に問いかけるが首を傾げる。

 

「『不死』?僕は冒険者ですよ?それより、どこのファミリアの方でしょうか。是非今度お礼に伺いたいんですが!」

 

「ファミリア?すまないが、ファミリアとはなんだ。何分、ここに『飛ばされた』ばかりなのでな。ここがどこだか、分からんのだ。ミラか?はたまたヴォルゲンか?」

 

「ミラ?ヴォルゲン?それは街ですか?国ですか?なんにせよ、ここは冒険者が集う『迷宮都市 オラリオ』ですよ?っていうかファミリアを知らないんですか!?」

 

少年がそう答えると目をわずかに大きく開き、男は驚く。

 

「・・・私の生きた世界では、そのような地名は聞いたことが無い。忘れているだけ、という可能性もあるが。すまないが、迷宮都市ということは、人の住む集落があるということか?あるのなら案内していただきたい。道中、この都市がどういう成り立ちをしているのかも教えていただきたい」

 

そういいつつ頭を下げる男に少年はわたわたと手を動かして。

 

「あ、頭をあげてください!そういうことなら喜んで。とりあえず一旦僕のホームに帰りましょう。案内します」

「・・・頼む」

 

此度の『旅』も前途多難になりそうだ。

と、胸中でひとりごちつつ、男は少年の後ろについていくのだった。

 

教会の隠し部屋まで案内され、少年がまず帰還の挨拶をする。

 

 

「ベル君おかえり!ってその人は誰だい?」

 

 

入るなり、少年―ベル・クラネルを女性が迎える。と同時に男を指さす。

 

 

「あの・・・話が長くなるんですけど」

 

 

そうもじもじと答える少年を横切り男がやんわりと前に出る。

 

 

「初に目にかかる。名はジャック。しがない『不死の呪いを受けた人間』だ。こちらとは理の異なる世界で、旅の終焉を迎えたところ、気がついたら君たちの言う『ダンジョン』とやらにいた。故、通貨などこちらの世界で必要な先立つものが全くないので、とりあえずは『ファミリア』に所属する『冒険者』の話を聞き、よろしければここにいる。ベル・クラネルくんが所属しているファミリアを紹介していただけないか。と頼みここまで来た次第。貴方が彼の話に聞く女神ヘスティアでよろしいか?」

 

と、一息に自己紹介と事情を説明した。

女性―ヘスティアは驚いたように男―ジャックとベルを交互に見ながらおろおろとする。

 

「え?へ?ちょっとまって!?色々聞きたいことがたくさん湧いて出たんだけどその前に君は要するに僕のファミリアの加入希望者かい!?」

 

と、確認するようにこちらに聞く。

 

「肯定だ。貴方がよろしければ。の話だが」

 

ジャックは短くうなずき相手の反応を伺うように言った。

ヘスティアはベル君にすごい勢いで詰め寄り

 

「ベル君でかした!!!!!」

 

とバンバンと背中を叩き出す。

 

「あの、いいんだね?うちは零細ファミリアで、メンバーもベル君しかいないし、少しばかり僕自身からはあまり力になれないよ?」

 

と今度はヘスティアがジャックを伺うように質問する。

 

「問題ない。要はモンスターから魔石やなにかの素材になりそうなものを出来るだけ簒奪して売ればいいんだろう?それくらいならお安い御用だ。むしろ自分の生活が安定したら君たちの繁栄に力添えを約束しよう。」

 

と、自信満々に頷くジャックを後押しするようにヘスティアにベルが歩み寄り

 

「すごいんですよジャックさん!加護もないのにミノタウルスを倒したんです!」

 

と興奮気味に告げてまたもヘスティアが目を剥いた。

 

「ちょ、ええ!?そんなわけないだろう!?加護もないのにモンスターに勝てるだなんてそれこそ神になりでもしないと無理だ!」

 

と、ぶんぶんと手を振りながらその事実を否定しようとする。

 

「まぁ、元居た世界では化け物の類の相手などもしていたからな・・・それに、少し毛色が違うが、誓約という形で様々な形で力を授かっている。それが此方でも通用するならそれが効いているのだろうし、その誓約を全うしたり、その化け物の相手をする際に簡単に言えば魂喰らいのようなことをし続けていたのでな。あくまで『元人間』というだけで既にこの身この魂、人の枠からは外れていると考えている」

 

と、ジャックがとんでもない事実をさらりと口にする。

 

「と・・・とんでもないね・・・まぁ、そういうことなら心強い!君の加入を認めよう!まずは加護を授けるための儀式をするからそこにうつ伏せになって寝そべってくれるかな?」

「感謝する。では頼む」

 

ジャックは指示された場所に寝そべり、ヘスティアがその上に跨り、なにやら背中に細工をしていく。

しばらく経ったのち、ジャックは自らの誓約が変更される感覚を感じた。

 

「む、終わったか」

「うん。これで君は僕のファミリアだ!よろしくね!ジャック!ってなんだいこれは?」

「どうした?」

ヘスティアが快活に歓迎の意を示した後、信じられない目でジャックの背中を凝視している。

「今、スキルとステイタスを読めるように写して見せるから、心当たりがないか見てくれないかな?」

「いや、こちらでも確認しよう。なに、自らのソウルに聞けばいい」

「へ?」

 

間の抜けた返事をするヘスティアを無視してジャックは瞑想し、自らのステータスを確認しながら読みあげていく。

 

生命力:99

持久力:99

体力:99

記憶力:99

筋力:99

技量:99

適応力:99

理力:99

信仰:99

と、自らのステータスに何ら変わりがないのを確認していくが、ふと新たに項目が追加されていることに気が付く。

 

篝火最大作成数 3

 

「篝火作成だと?ヘスティア、俺が今読み上げたステータスが、其方でも確認できているものなのか?」

 

と、ヘスティアに問いを投げかける。

 

「う、うん。普通のステイタスの表記とは全く違う表記だから戸惑ってるんだけど、ただ篝火とやらに関してはこっちの方が詳しく書かれているね」

 

「それと私が今読み上げた以外の物があれば教えてくれ」

 

ジャック 冒険者Lv 1

 

【楔打つ者(ウェッジドライバー)】

篝火作成スキル

篝火の最大作成数は冒険者レベルに依存する

 

【深淵歩き(アビスウォーカー)】

ソウルを消費するスペルのコスト無料化

 

「なんだと!?」

「わわっ僕が乗ってるのを忘れないでおくれ!」

 

告げられたスキルがあまりに衝撃的だったのか、ジャックが飛び起き、跨っていたヘスティアが落とされる。

 

「驚いているっていうことは相当なものなのかい?このスキル2つは」

ヘスティアが腰をさすりながら起き上がり、聞く。

 

「篝火は俺達不死の唯一の安らげる場所だ。それを最大作成数は制限されているとはいえ自らで生み出せるのは相当なアドバンテージを得れる。これ以上に便利なものはない。だが2つ目はまずい」

 

「というと?」

 

「・・・そうだな。100人かそこらの命を使って行う、下手したら神でも瞬殺できる魔法のコストを踏み倒せると言ったらわかるか?」

 

「あいわかった。頼むからダンジョンであってもそんなものを使わないでおくれよ。ダンジョン自体が生き物のようなものなんだ。どんなことが起こるか想像したくもない」

ヘスティアが顔を歪ませ頭を抱える。

 

「とりあえずはここ【ヘスティア・ファミリア】のホームに篝火を作成してもかまわないだろうか?」

「う、うーん。作るならそこの隅にしておくれ」

と、部屋の隅の空きスペースを指さされる。

 

その場に適当なロングソードをソウルから取り出し、串刺した後手をかざす。

すると、どこからともなくロングソードに灰が集まり小さな山を作り、篝火が灯る。

 

「よし、とりあえずは荷物整理だ」

そう言いながら篝火の前に座り、火に手を突っ込んだかと思うと火から木箱がずるりと出てくる。

そして武器や盾をどこからともなく出しては木箱に突っ込み、木箱から武器を取り出したりして、作業を終えるとまた木箱を火の中に押し戻す。

 

「さて、ベル。これで俺は君と同じ冒険者だ。よろしく頼む」

「は、はい!よろしくお願いします!」

「ところで、このホーム、ベッドは一つしかないので私は適当なところで野宿するのでまた明日ここに来る。君たちはしっかり休むといい」

 

そういい、ジャックが外に出ようとするとヘスティアが呼び止める。

「すまないねジャック。それなんだけど明日君の歓迎会をしたいのと、ギルドに冒険者登録をしたいからこれをギルドに渡しにいってくれ。ギルドの場所はここだ。」

と、地図と書類を渡される。

「了解した」

 

外に出たジャックは野宿する場所などを探さず、まっすぐにダンジョンに向かう。

夜のダンジョンはモンスターが活発化するらしく、数も多い。

ゴブリンが20程群れをなしているのが見える。

そこに、ジャックが自分の身の丈よりも大きい特大剣を水平に振りかぶり纏めて叩き斬る。

奇襲されたゴブリンは成す術もなくほどなくして全滅する。

全滅したゴブリンから魔石を回収し、次の集団を探しにダンジョンを進みつつ魔石を回収していく。

 

「こんなものか」

 

魔物からドロップした魔石の束を自らのソウルにある程度収納し、踵を返して地上に戻る。

そしてその足で地図に示された場所へ向かい、施設に入る。

受付を見つけ、声をかける。

 

「すまない。新たに冒険者となったものだ。登録をしていただきたい」

「はい、どうぞ」

 

必要な書類を渡し、受付の指示に従う。

 

「ハイこれで登録完了です。ダンジョンに向かった後など、記録を残しておきたいのでこちらに必ず報告をしてください」

「む、それなのだがうちは零細ファミリア故、寝床がなくてな、宿代を稼ぐためにダンジョンに少しだけ潜っていた。その記録の記帳と換金を教わりがてら頼めるか?」

「・・・!次からは気を付けてください。それでは・・・」

 

と、教わりながら記録をつけていくのだが

 

「む?」

ふとジャックのペンの手が止まる。

「どうされましたか?」

 

「ステイタスについてだが、俺のステイタスは他の冒険者と表記が違うようなのだが、そこは問題はないのか?」

「ええ。おそらくは」

 

軽い確認を行うと再びペンを走らせていく。

それを見ている受付のエルフの顔がどんどんとしかめっ面になっていくのが見える。

「・・・これは此方のステイタスではどの程度にあたるものなの・・・?」

とぶつぶつと呟いているのを見る限り扱いに困っているようだ。

 

全て書き終わると

「はい、それでは換金なんですがそちらの受付で行ってください」

とようやく全てが終わり、換金を終え、施設を出る。

 

そろそろ野宿か、安宿を探すかと思い歩いていると、酒場を見つける。

安宿を知っていれば教えてもらおうと入ろうとすると

見知った顔が酒場から飛び出して走り去っていった。

 

「ベル?」

 

様子がおかしかった。とジャックは感じとりあえず酒場に入ることにした。

 

「いらっしゃいませ。ご注文が決まりましたらお呼びください。」

 

席に着くと、ウェイトレスが水をタンブラーに注いでテーブルに置く。

 

「待ってくれ。うちの同僚が今この店から飛び出していったのだが何があった?」

酒場にはいり、店員に注文がてら聞くと獣人が今日ミノタウルスから逃げまどっていた初心冒険者を嘲笑っていたのと、この集団がミノタウルスを上層へ逃がしたことが判明する。

 

「なるほど、ありがとう。自分達のことを棚に上げた挙句、明らかな格上に対して必死に生き延びた者を笑うとはな」

と、ジャックが口に出した。

「あ?」

聞いていたのか獣人が此方を見る。

 

「ああ、失礼。君たちが言っているのは俺の同僚でな。かくいう俺も今日ファミリアに入ったのだが」

 

「ッハ!なんだ?ド新人が俺様に意見するのかよ?あの白兎の同僚だと?雑魚は引っ込んでろ!」

と、小ばかにするような態度を取る。

 

「雑魚かどうかは」

 

途端、酒場の空気が凍る。

ジャックから、尋常じゃない殺気を感じる。

全員が酔いを醒まし、血相を変えて己の武器を構えるには十分だった。

 

「この程度の殺気くらいは笑い飛ばせるようになってからすることだ。こう見えてもこちとらの神の加護のような、身体能力をブーストするもの無しで化け物と渡り合っていた身だ。貴様程度に負けた日には、過去に殺した化け物や神に申し訳が立たんな」

 

と、静かに言葉を紡ぐ。

 

「さて、確かに私が所属しているのは零細ファミリアだし、先ほど飛び出したベル君は冒険者としては駆け出し、技や心も未熟だろう。だが、それを笑う権利は貴様らには無いはずだ。貴様らも昔はああだっただろうに」

 

「・・・雑魚風情が知った口聞いてんじゃねぇか・・・いいぜ。表出ろ」

 

と、獣人が表にジャックを誘う。

「いいだろう」

短くそう返し、獣人の後をついていき表に出た。

 

周りには酒場の人間が取り囲み、獣人を煽る。

 

「ベート!そんな新人ぶっ潰しちまえ!」

「負けたら承知しねぇぞ!」

誰もが、ベートと言われた獣人の勝利を確信している。

 

「今更逃げんじゃねぇぞ?」

 

と、獣人も笑いながらこちらを威嚇するように身を低くする。

 

「御託はいらん。さっさとかかって来い」

 

と、ジャックは余裕を崩さずそう返す。

 

「それはこっちのセリフだ新人!せいぜい気絶すんじゃねぇぞ!!!」

 

と、ベートが蹴りをジャックに叩き込む。が

確かに当たったかのように見えた蹴りは空を切る。

と同時に、ベートの身体がくの字に折れる。

 

いつの間にかジャックの手には骨を象った籠手が装備され、懐から鳩尾に一撃が入ったのだ。

そのまま空中に打ち上げた後、ジャックはどこからともなく杖を取り出し、『それ』をベートに向けた。

 

「『闇の球』」

 

と、短く術を唱えると黒い闇の塊が宙のベートを殴りつける。

勢いよく吹き飛ばされたベートが酒場の壁に叩き付けられる。

ずるり、と壁からベートの身体が落ちた後、変化が訪れる。

 

「が、あああ、あああああああああああああああああああ」

 

急にベートが自身の身体を抱き、もがき苦しみだす。

 

「な!何をした!!!」

と、先ほどまで言葉を発さなかった緑髪のエルフが声を荒げる。

 

「その辺のやつが喰らえば魂を欠損するスペルだ。かなり威力を抑えているが神の加護を受けているとはいえ、そいつが私のように『不死の呪い』を受けてでもないかぎり致命傷だろうさ」

 

「な・・・なんてことを!!!!!」

そう言いながらエルフはベートに駆け寄り治療をはじめる。

 

「さて、次は誰だ?」

と、ジャックは周りを見渡す。

 

途端に周りをかこっていた人々が後ずさりする。

それもそうだ。ベートという一級冒険者が今日ファミリアに加入したばかりというルーキーに瞬殺されたのだ。どう考えても異常である。

 

「待ちい!!!」

と、赤毛の少女が、ジャックの前に出る。

「お前が相手か」

 

「ちゃうわ!お前何もんや。威力を抑えてる?不死でもない限り致命傷?そんなもんがスペルやと?うちら神ですら瞬殺しかねん魔法なんてこの世に存在してたまるか!」

と、ジャックに臆せず詰め寄る。

 

「なるほど、貴様があれの主神か。ならこれから死ぬ『敵』にこれ以上教えてやるほど馬鹿ではないつもりだ」

そう短く答えると瞬時にジャックの容姿が変貌する。

 

ところどころが欠損している白銀の鎧を身に纏い、身の丈程のあるが、黒ずみ、不明なものが随所に纏わりついている大剣を少女に向ける。

 

そして、その甲冑、籠手、具足、兜、大剣全てからとんでもない量の魔力が帯びていることが周囲の人間ですらも理解できる。

 

一般的にここ迷宮都市オラリオで第一級特殊武器と呼ばれている武器などとは一線を画すものであることは一目見て分かる。

 

そんなものを身に纏っている化け物が目の前にいる。

その場のダンジョンで数多死線を潜り抜けてきた冒険者達が恐怖に震える。

 

男が一歩前に出ると少女は尻餅をつく。

「ロキ!!!」

と、金髪の小人が群衆から躍り出てジャックに斬りかかる。

 

が、剣を切り払うように斬り上げ、その勢いをもって自らも飛び上がったあと、重力に任せて叩き飛ばす。

まともにもらった小人は吹き飛ばされ、3,4バウンドして通りに四肢を地面に叩き付けられる。

 

次にジャックは、人間の膂力とは思えないほど跳躍し、そのまま小人を串刺しにしようと大剣を突き出す。

「・・・待ってくれ!頼む!」

少女が大声で叫ぶもむなしく、ジャックは勢いよくそのまま大剣を突き出し地面がえぐれ砂埃が舞う。

全員が息を飲む。

砂埃が晴れるとそこには

小人の首の数センチ隣に突き刺さった大剣を引き抜いたジャックがいた。

 

「今更命乞いか」

「そうや!元々ミノタウルスを取り逃がしたうちらの責任やし、それを棚に上げて嗤ったうちらが全面的に悪い!せやけど命まで取ることはないやろ!?この通りや。許してくれ!」

と、ロキが頭を地面にこすりつけて所謂土下座で謝罪する。

 

「貴様が謝ったところで、こいつらが次今回のことを根に持ってダンジョンで襲ってこないといえるか?此方を嘲笑い、『冒険者』としては格下と見るや手を出すような連中を信じて生かしておくほど蒙昧ではないつもりだ。」

 

「この主神ロキが絶対にそうはさせん!だから頼む!」

顔だけあげてこちらをしっかりと見据えてロキが叫ぶ。

 

「・・・条件がある」

土下座を続けるロキを見据えながら静かに答える。

 

「もし、今後守れるかもわからん誓いを立てるんだ。相応の対価は支払え。俺の所属【ヘスティア・ファミリア】に献金しろ。当面の生活費になる程度に。」

「・・・お前ドチ・・・ヘスティアのとこやったんか!?」

「さあ。戦闘を続けるか、対価を支払って止めるか。選べ」

ロキは苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「・・・わかった。要求を飲む。だからうちの子らを殺さんといてくれ。お前らもみてたやろ。フィンとベートを瞬殺するような奴に喧嘩売ったんや。文句はいわさんぞ」

 

団員達も俯いて拳を握りしめている。

 

「次は無いぞ」

 

そう言うと武装を解除したかとおもうと手に鈴を持ち鳴らし始める。

「『太陽の光の癒し』」

そう唱えると光がほとばしり、たちまち、フィンと呼ばれた小人とベート、そして遠征の帰りだった団員たちの傷や体調が万全の状態まで回復する。

 

「飯を食い損ねたな」

そう呟くと店の中に入り、迷惑料だと言って勘定のみを支払い、そのまま酒場を後にした。

「なんなんやあの化け物は・・・ドチビ・・・」

その背中を呆然と見るしかないロキとその団員達を残して。

 

 

 

 

「そういえば・・・」

しばらく通りを練り歩き、野宿できる場所を探しながらジャックは天を仰ぐ。

「俺のような不死がこのような人の営みある街にいるのはいいのだろうか」

と、独りごちた。

 




初投稿、練習用の砂場。
巨人の王のソウル 所持数:99
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