街を探索し歩いていて幾つか分かった事がある。
1つは言語能力が備わっていること。
街の看板や住人達の談話、文字など解読する事が出来た為、おそらくこの世界の言語に適応していると、考えてもいいだろう。街の人に道を聞いた時も、相手側にも伝わっていたし。
そしてもう1つ分かった事は……
「……」
窓に写った自分の姿を見る。
どう見ても俺がモンハンで使ってるキャラだよなぁ……
黒髪のオールバック、範馬勇次郎ぽく寄せた強者面に鍛え抜かれた肉体。
装備はあの時にやめた時の重ね着『クリークスーツ、クリークアーム、スージャの腰帯、ミツネグリーヴ』といった感じの見た目だ。色は勿論黒。眼帯を着けていたけど、普通に見えないので外した。ガチで普通の眼帯だった。
外した時に気が付いたのだが、外す時に装備を脱いだって感じがしなかったのだ。確かめようにもここはダンまちの世界なので、ステイタスは自分で見ることなんてまず不可能。つまり何が言いたいのか?それは─────。
「どこか入れてくれそうなファミリアを探さねぇとな」
うっほぉ。俺の言葉をこの体が言うとまじ強者感パネェ〜!中身はビビりを超えた超ビビり野郎だってのに、全く嫉妬しちゃいますよぉ!
さて、とりあえず適当にファミリアを探して入れてもらおうと思うのだが、1つ重大な問題がある。
どうやって入れてもらおう?
別世界から来ましたー!なんて言えば即通報案件。ましてや嘘ついて入れてもらおうとしても神様には嘘は通用しないのが、この世界。
どう足掻いても絶望。
そしてファミリアにも色んな種類がある。
医療系、商業系、鍛治系、探索系など色々ある。その中でも有名なファミリアもある。探索系で言えば、言わずと知れたロキファミリアとフレイヤファミリア。あそこは二大巨頭だ。原作疎かな俺でも掠れながら覚えている。つまりあそこに入るのは論外中の論外。明日の朝日は拝めん。
では、他のファミリアは?
医療系は明らかに俺には合わんし、商業系もこの顔では接客なんて無理だろうし、鍛治に関して何するかわからん。
どちらにせよ、俺が入るファミリアは1つのみ。
「探索系のファミリアが俺にあってるって訳か……」
うわ、すっげぇ嬉しそうな顔してる……。(他人事)
俺は苦笑い浮かべたつもりなのに、このキャラやっぱり強者感パネェよ。いつか絶対勘違いされそう……。
まぁそうなった時は、謝るか逃げよう……うん。
とりあえず彼は探索系ファミリアの表を貰うために、オラリオの都市運営《ギルド》向かって行った。
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ギルドの到着し、受付らしき所に向かう。
辺りを見渡せば、冒険者だらけ。今から冒険に行く者。素材を換金してる者。大まかにその2つが1番多かった。
これがギルドか、と感嘆なため息を吐きながら受付に向かう。
「こんにちは、冒険者ギルドにようこそ」
エルフ耳の受付の女の人が笑顔で出迎えてくれた。
「お忙しい中失礼。ちょっと聞きたいことがあってな」
「はい、何でしょうか?」
「どこかファミリアに所属したいのだが、生憎どんなファミリアがあるか検討がつかなくてな。何かファミリアに関する表かなんかを頂ける助かるんだが……」
俺がエルフの女性にそう言った時、何故か驚いた様な顔をしていた。
なぜ?
「……?どうかしたか?」
「……ハッ、し、失礼しました。その、見た目からして戦い慣れしてそうな方だったので、てっきり……」
どうやらこの人は俺を歴戦の戦士か何かと勘違いしたらしい……。(拡大解釈)いやまぁ、確かに納得でしかない。俺も同じ立場なら同じ事思うから。
「ガッハッハッ!!そいつは嬉しい限りだ!なら貴女の思っていた通りの強い戦士にならねばな!」
「あはは、頑張ってくださいね。えっと、ファミリアの表ですよね。少々お待ちください」
そう言って奥の方に行き、書類を持ってこちらに帰ってきた。
「こちらが今あるファミリアの全体表です」
「助かる。少しの間お借りしても?」
「大丈夫ですよ」
「礼を言う。では失礼」
そう言って俺は表見ながら、立ち去った。どうやら本当に全ファミリアの情報が書いてあった。これは選ぶのに時間掛かるぞ……。
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ふぅ、とため息が漏れた。
なぜため息が漏れたのか自分でもわかっていた。けど、どっと気疲れがした。
「大丈夫?エイナ?」
「大丈夫、ちょっと気疲れしちゃっただけだから」
私の同期の子─────ミィシャ・フロットが心配そうに聞いてきた。私は心配ないとは言ったけど、流石に緊張した。
「さっきの人、凄かったよね〜。私も隣で聞いてたけど、あの見た目で無所属ってマジ!?って思ったもん」
「よくある話ではあるよ。でも確かに……」
彼女─────エイナ・チュールは顎に手を当て先程の彼の姿を思い浮かべる。
「最初私はランクアップの連絡かなって思ったんだけど、まさかファミリア探しとは思わなかったなぁ」
「逆にどんなファミリアに入るか気にならない?」
「気には……なるけど」
気にならない、と言えば嘘になる。
あれ程風格のある人ならロキファミリアかフレイヤファミリアにいても不思議じゃない。でも彼が今無所属ならまた冒険者登録にまた来るはずだ。その時に、また出会えるはず……。
それに今はもう1人、新しい子が冒険者登録しに来たし……。
そう思っていると、彼女が言う少年が走ってくるのが見えた。
「エイナさーん!」
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ギルドから全体ファミリアの表を貰い、広場の方で眺めていた。
ん〜、悩むな〜
悠斗は1枚1枚見ながら、悩みに悩んでいた。
改めて見ると、色んなファミリアがある事に気付いたが、そのお陰でどのファミリアに入ろうか迷っていた。この世界の事なので、楽して暮らす事は出来ずとも、少しでも苦労しないファミリアがいい、そう心に決めながら……。
「んん……どうするか……」
「あ、あのー……」
人生の分岐点並に悩んでいると、か細く控え目な声が聞こえた。聞こえた方へ振り返る。
俺は、目を見開いた。
「あの、何か困り事ですか?」
中性的な顔立ちと華奢な体格に、真っ白な髪と赤い瞳をしたヒューマンの少年─────ベル・クラネルがそこに立っていた。
今までアニメ、または本やゲームでしか見たことないある意味有名人が、今目の前に立っていた。
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「ファミリア探しですか?」
「あぁ、どこがいいか迷ってたんだ」
僕は今、エイナさんが言っていた強そうな人に声を掛けていた。
というのも、エイナさんにダンジョンでの出来事を報告しに行った時、どこか気疲れしていた様子だったので、心配になり声を掛けたら無所属の強そうな人がファミリアを探してると聞いて、僕はすぐその人の情報を教えてもらい、ファミリアに誘おうと思い動いたのだけど……。
そ、想像以上に怖そうな人だ……!
内心ビクビクしながらも、意を決して話し掛けるが、その風格にも圧倒された。
ただ1番驚いたのは─────。
「悪いなぁ、小僧にまで心配されるとは。これじゃぁ俺の立つ瀬がねぇ」
「そんな!気にしないでください!僕が勝手にやってるだけなので」
意外にもこの人は、優しい人だった。
「それでファミリアを探してるってお話なんですが……」
僕は意を決してこの人に持ち掛ける。
「僕と同じ……ヘスティアファミリアに入りませんか?」
「ヘスティアファミリア?」
「まだ僕だけしかいない零細派閥ですけど……貴方さえ良ければぜひ!」
「……」
彼はんー、と呻き声を上げながら悩んでいた。正直、すぐ断られると思った。でも、まだ答えは出していない。僕は心臓をバクバクさせながら、彼の答えを待つ。そして、彼の口から出た答えは─────。
「是非とも入れさせてくれ」
「そ、そうですよね……やっぱりだm……え?」
聞き間違いかな?
そう思って間抜けな声が出てしまった。彼の顔を見やると、笑いながら頭を下げる。
「俺を、ヘスティアファミリアに案内してくれ」
その時、僕は嬉しさのあまり大声を上げてしまい、周りから向けられた視線に恥ずかしさを覚えた事だけは覚えている。
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悠斗はベルにファミリアがある場所まで、案内してもらってる最中に自己紹介を済ましていた。
「それで
ベルが彼の名を、クロさんと呼ぶ。
悠斗は自身の名前を名乗る時、ちょっと変えた方がいいか?と判断し、
クロはゲーム名『KURO』からとり、最後に悠斗を付けただけの安直な名だが、ベルは特に疑うことも無く受け入れた。
「そうだなぁ、特にこれといった事は無いが……ベルは何かあるのか?」
「僕ですか?僕は……叔父ちゃんがオラリオに行けって言ってたんです。オラリオに行けばなんでもあるって」
ベルはその時光景を思い出してるのか、懐かしそうな顔をする。そして、ベルは意を決して自身の目標を口にする。
「僕は……
「ほぉう、英雄とな?」
「はい……叔父ちゃんから聞かされた英雄譚がきっかけなんですけど……」
ベルは語る。
自身も英雄譚に出てくる英雄みたく、悲しみを拭い笑顔をもたらしたい。そんな英雄を目指して、オラリオに来たと恥ずかしそうにしながら笑う。
「ははは、自分でも無理だと分かってるんですけど……」
「そいつはどうかな?」
「え?」
自虐したベルに対し、クロはそれを反対した。
「夢を持つ事はいい事だ。それがデカイ夢なら尚いい」
「クロさん……」
「ベル、何故夢が大事か知ってるか?」
ベルは首を横に振る。
その反応……答えを見たクロは答えを告げる。
「夢とは無限だ。そいつが望む限り永遠に続くからなぁ。そして人はその夢という無限のエネルギーによってその道を歩けるんだ」
「無限のエネルギー……?」
「例えば明日、お前の好きな料理が出るとする。大好物の料理だ。そんな時お前はどうする?」
ベルは悩み、疑問系で答える。
「多分、楽しみに待つと思います」
「そうだなぁ。ならその間、お前は死にたいとか思うか?」
「……思わないです」
クロはニヤリと笑う。
「そう、そんな事は思わねぇ。何故なら明日には楽しみが待ってんだからな。それは夢も同じだ。夢を掲げてる内は死ぬ事なんて考えねぇんだ。寧ろその夢に目指す為にひたむきに努力する様になる」
彼は掌を掲げ、握り締める。
「夢を力に変えろ。夢を抱き続ける限りそいつは最強だ」
「夢を……力に……」
ベルは自分の手を見る。
同じ様に握り締める。彼よりはか細く今は頼りない拳だが、いずれその拳は誰かの救いとなる。彼はそう言ってる様に感じた。
思いが伝わったの思ったのか、クロはベルの顔を見た後頭を撫で回す。
「今は抱き続けろ。そして、返り咲くその日待つんだ。その日は必ずやってくる」
「……はい!」
元気のいい返事に満足気にうなづいていると、ベルはある建物を指さした。
「あ、あれが僕達の家です!」
「ほぅ、あれが……」
ベルは駆け足で指さした先の建物……廃教会に入っていく。クロはその教会を見て、どこか懐かしそうにしながら後を追った。
「神様ー!ただいま帰りましたー!」
ベルが元気よく教会に入り、誰かに声を掛ける。すると、奥の方から走る音が聞こえ、姿を現す。
「おかえり!ベル君!」
幼い顔付きに、低い身長。艶のある漆黒の髪の毛をリボンで二つに結い、瞳は銀色。身体に不釣り合いな成熟した服の上からでも分かるその豊満な胸を持った少女 ─────『
ヘスティアは帰ってきたベルに近付き、そして後ろで立っているクロに目を向ける。
「ベル君、彼は?」
「この人は、クロさん。噴水前の広場で出会った人です」
クロはベルの言葉に合わせるように、
「ご紹介に預かった。俺はクロ・ユート。神ヘスティア、貴女にお願いしたく案内をお願いした」
「ん?ボクにかい?」
今、起きてる展開に理解出来ず、
「貴女の眷族にしてほしい」
たった一言。
端的に言葉を伝え、返答を待つかのように
ヘスティアの返答はすぐ出された。
「も、勿論だよ!大歓迎さ!!」
手を大きく広げ、喜びを表すかのようにツインテールが跳ね回る。
ベルも嬉しそうにしながらヘスティアと抱き合う。
「やったねベル君!これで眷族が2人目だ!!」
「はい!やりましたね、神様!!」
頭を上げたクロは2人のやり取りに笑みを浮かべながら、2人が落ち着くのを黙って見守る。その視線に気付き、2人は改めて自己紹介を始める。
「改めてようこそ!ボクがヘスティアファミリアの主神のヘスティアさ!そして、ボクの最初の眷族にしてボクの最初の
「ベル・クラネルです!これからよろしくお願いします!クロさん!」
「あぁ、こちらこそよろしく頼む」
2人と固い握手を交わし、
「じゃあ、早速クロ君の
こっちこっち、とヘスティアは手招きし、上着とインナーを脱ぐように指示される。言われるがままに上を脱ぎ、上裸なった次はソファに寝っ転がった。
上半身に馬乗りになった彼女は自らの血を背中に落とす。
背中に滴り落ちれば、波紋となって広がっていく。
軈て光は一つの形へと落ち着き、彼の背中には竈を炊く火が刻まれていた。
「……よし、終わったよ〜」
ヘスティアは白紙の神にクロのステイタスを記載し、彼に渡す。しかし、彼女の額には汗が流れていた。
クロ・ユート
Lv.1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
“魔法”
“スキル”
【
・戦闘開始時、全能力値の高補正
・時間経過、全能力値の高補正
・対象が龍または竜、獣の場合、全能力値の超高補正
【
・使用者の想像するアイテムを取り出し可能(収納のも可能)
※限度あり
【
・装備に付くスキルが発動
紙に書かれたステイタスを真剣に見つめるクロと、そのステイタスにヘスティアは驚きを隠せず、口に出す。
「最初っからスキルが
「3つもですか!?……僕も早くスキルが欲しいな……」
クロは自身に発現したスキルに何故か納得した顔を見せ、そして少し疑問を持った様子だった。
言語能力系統のスキルがない
いや、これに関しては問題でない。これは恐らくこの世界に転移させられた時のハッピーセットの可能性があるし、特にそれで困る事はない。
疑問を持った理由は、1つ。
神たるヘスティアが、自分の正体に
これが何を意味するか
それは自身を転移させてきた犯人が神では無い可能性が出てきてしまったのだ
この事実により、クロの思考には数式の如く解くことが難解な問題に突き当たる。
何故、ゲームのキャラでの転移なのか?
何故、前触れもなく転移したのか?
何故、自分なのか?
考えれば考える程、溢れかえる疑問に彼自身対処し切れず、頭を悩ませるばかりだ。この事は忘れて今ある人生を楽しもう。そう割り切ってしまえば、どんなに楽だろうか。
クロは考察を切り上げ、ステイタスについてヘスティアに質問する。
「神ヘスティア、質問してもいいか?」
「ん?どうしたんだい?」
「スキル3つ発現してるのは、
「確かに
そうか、と答え改めて自身のステイタスを見直す。
下2つは使ってみないと分からないが、【
「まぁ、とりあえず!クロ君はこれからボク達の
その豊満な胸を叩き、胸を張るヘスティアにクロは頷き
「そいつは心強い。これからよろしく頼む」
こうしてクロの長い1日が終わりを迎えた。
祝いと称し、じゃが丸くんを3人で仲睦まじく食べ合い、それぞれ就寝へと向かった。
明日は色々と心の準備が必要だな……と、心で整理しながらソファに寝転び眠りに落ちた。
「…………」
クロにソファを譲った為ベルとヘスティアは同じベットで寝ることになった
最初は異議申し立ていたベルはぐっすりと熟睡し、一方ヘスティアはクロのステイタスが書かれた紙を見ながら、握り締める。
「クロ君、君は一体……」
そう呟き、彼女は窓から射し込む月の光を見上げた。
クロのステイタスには、ヘスティアが教えず紙に書かずにいたスキルが1つあった。
【
・
・
龍は
その