光の奴隷のダンジョン攻略


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作:影後
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光の奴隷と神々の時代の終焉


閑話休題 チトセ・朧・アマツとメルビン
これは、メルビンが佐官になったばかりの頃の話である。

「ヴァルゼライド総統閣下に敬礼!」

メルビンは現れた存在に誰よりも鋭い敬礼を行う。
その姿、その気配、その在り方、全てが自分が目指す物を体現している『稀代の英雄』クリストファー・ヴァルゼライド。
メルビンは、彼が去るのを確認し敬礼を解いた。
メルビンは佐官になり、チトセ・朧・アマツの副官として会議に赴いている。

「素晴らしい、やはり閣下が居られる限りアドラーは安泰だ」

「随分とヴァルゼライド総統に心酔しているな。コールレイン少佐」

「あっ?!アマツ隊長?!!!…いえ、アドラーに住まう者なら総統閣下を敬愛するのは自然かと思います。それに、隊長にも数多の権限をお渡ししているではありませんか。俺自身、隊長の様に閣下に信頼される人間になりたいです」

メルビンはこの当時、まだチトセの事も頼れる上官でありヴァルゼライドと同じく尊敬すべき上官であった。

「貴官は弟のゼファー大尉とは違うな。色々と感謝している」

「はっ!コレからもアドラー、そして第七特務部隊・裁剣天秤の為に」

「それに、もしかするとお義兄さんと呼ぶことになるやもしれん」

「あの……上官にそう言われてしまいますと、立つ瀬が無いと言うか。なんというか……」

メルビンは心から困った顔をし、ソレを見たチトセはケラケラと笑うのだった。


「…まず、今回の件について話させてもらう」

 

「……ギルドは今回の件に於いて関知しない。メルビン・コールレイン。構わないか?」

 

「当たり前だ、ウラノス。貴様らが本来関われる立場に居ないことを理解しろ、発言権すら無いのだ」

 

メルビンは怒っていた。鋭く、そして燃え上がる正義の焔を抱いている。カリスト達は少なくとも自分を狙ってきた。

だが、今回はどうだろう。メルビンを狙うでもなくアドラー地区に住む市民が犠牲になった。

援軍としてへラ・ファミリア、アストレア・ファミリア、マキシム、ガネーシャ・ファミリアが来てくれた。

だがガネーシャ・ファミリアに至っては死者がでている。

 

「…俺は民間人を殺害する事をテロリズムとしか感じない。

これは対テロ戦争だ、ファミリアに属しているとは言え戦争を我々はしていた。だが、相手はその矛先を有ろうことは民間人に向けるなど」

 

アドラー地区の市民はステータスを刻まれている。

ダンジョンにも入り、オラリオの一市民よりは強いだろう。

だが、その程度だ。本格的に攻略している者などいない。

あくまでも鍛える為に入っている程度なのだ。

 

「アドラー地区、警備隊隊長としてアストレア、ヘラ、ガネーシャの3ファミリアにテロリストの所属するファミリア。及び、主神の確保を願いたい」

 

「確保した主神はどうする?」

 

「戦争犯罪人だ、処刑以外ないだろう」

 

「…メルビン、ソレはあまりにも」

 

「アストレア!なら泣き寝入りしろと!俺は、俺は、あの……あの景色を二度と見ないと誓った!だからこそ、絶対的な正義が必要だった。俺の行いを、貴女は悪だと言うのか!」

 

「復讐は」

 

「復讐…復讐だろう、だが戦争だ。戦争にはルールがある。最低限のルールだ。ソレを守らなければ等しく戦争犯罪人である。

俺は、確かに戦争をしている。だが、無秩序な殺戮をしたことはない」

 

メルビンは作戦に忠実だ。10を救えないなら見捨てよう。

だが、限りなく10に近い数を救う事を信念としている。

敵を殺すのは仲間を生かすため、敵を一人でも助ければ仲間が死ぬ。仲間を守る為に、メルビンは戦場で修羅となる。その為の犠牲を心を鬼にして許容する。そして、犠牲を忘れはしない。

 

「ガネーシャ、今回の件。許容できない、家族が殺された。

ソレだけじゃない、ガネーシャは見た。あの地区で泣いている子供を。親を殺された子供を。子供を殺された親を。今回の件、神殺し等関係ない。いや、確かに発端は其処だろう。だが、この虐殺においてはソレを命じた者達が紛う事なき『悪』だ」

 

ガネーシャの言葉は重い、アストレアをソレは理解している。

だが、目の前のメルビンを見る。自分とは違う絶対的な正義。

英雄の価値観でありながら、己個人としての感情を捨てきれない存在。ただ、見ていてい辛くなっていく。

 

「私は、私のファミリアからも言われたよ。今回の件は全力で当たる。報酬などいらない。ただ、作戦に組み込んでくれれば良い」

 

「……ワシは何も言わん。第一、マキシムが勝手に参戦しただけだからな」

 

「以外だな、アンタはメルビンを否定するかと」

 

「確かに娘を殺された、だが結局へ天界へ送還されただけだ。悲鳴を上げ、苦痛を感じながらだが。それでも……襲ったのはカリストが先なのも確か。ワシに、何か言う筋合いなど無い」

 

「感謝するぞ、ゼウスよ。では!作戦開始時刻は明朝0400。敵ファミリアはこの6つ」

 

「メルビン、待て。此処に居るのは」

 

「俺がいる」「私もいます」

 

「マキシムの力は、俺と同等。そしてクリスも俺と同じだ。星辰体と感応し、オラリオで最初の星辰体感応奏者となった。その力は、俺に準ずる」

 

「つまり、お前達3人がジョーカーか」

 

「そうだ、俺達3人は個人でファミリアを制圧する。」

 

その言葉に場にいた全員が息を呑む。

メルビンとマキシムは言わずとしれたオラリオ最強の2人。

本気で戦えば2人の戦闘の余波でオラリオは滅ぶだろう。

そして、クリスはメルビンが自分に準ずるとたった今認めたのだ。メルビンが認める実力者、つまり英雄が認めた次代の英雄。

 

「最初に言っておく、コレが終わったら約束を果たせよ俺の宿敵(メルビン)

 

「わかっている、我が宿敵(マキシム)。本気の死合をやってやる」

 

 

作戦の内容は雷撃戦、ファミリアの撃滅。及び主神の確保。

そのためなら、ファミリアの所属者がどうなろうと関係ない。

オラリオは関知しないという超法規的措置が行われた。

メルビンはブレードを持ちながら目の前にファミリアの入り口にいる。

 

「いらっしゃい、ここはー」

 

「自らが悪を行っていると知らぬ憐れな兵士よ。残念だが、俺はテロリストの仲間に手加減を覚える程、優しくはない」

 

メルビンの絶対的な正義が燃えている。

目の前はテロリストの、悪の巣窟だ。目の前で笑っていた青年もテロリストの仲間、『掬えない悪』。

 

「星辰光よ、今此処に正義を光を!知らしめるのだ!!!」

 

メルビンの身体は輝き、見るものを平伏させる。

神々しく、とても冷たい光だ。まるで、ブリザードが晴れた一瞬、全ての体温を奪うかの如く照らす極寒の地に降り注ぐ光。

目は氷よりも冷たく、その身体は正義を出す為に一歩一歩踏み出していく。

 

「侵入者だ!」

「迎撃を」

 

魔法使いがいただろう、だがメルビンに魔法が届くことはない。

光の障壁が現れ、魔法を防ぎ、メルビンがブレードを一振りすれば、光刃が襲いかかる。光の速さで迫る光刃は魔法使いの首を切り落とし、断面を一瞬にして焦がす。

はたから見れば、首は繋がっているのに死んでいるのだ。

首に円状に火傷の痕があり、血が心臓から脳に伝わる事はけしてない。まさに、自分が死んだ事にも気付けず死んでいく。

仲間達は、ただメルビンがブレードを振った瞬間しか見ていない。何が起こったのか等、誰にも判らない。

 

「うぉぉぉ!」

 

ハンマーをメルビンに振り下ろす男。しかし、メルビンの姿はまるで幻影の様に霧散する。

 

「光の屈折を利用した、イリュージョンだ。……無様だな」

 

「へ…」

 

メルビンは空気に光の屈折にとって自身の幻影、つまり蜃気楼を無理矢理発現させたのだ。

背中から心臓へブレードが刺され、自分の胸から剣が飛び出る様を見せつけられる。血が止まらず、意識が朦朧とする中でどうして良いか判らない。

 

「はぁ!」

 

メルビンは心臓から頭に向けて斬り上げる。

ハンマーを持った男の肉体はブチブチと音を立てながらY時に割け、鮮血がメルビンに迫る。しかし極光により血は一瞬にして浄化され、残ることはない。

 

「いやぁ……来ないで」

 

「あぁ、だがテロリストは捕虜にはしない」

 

武器を捨て、怯える女をメルビンはダルマにした。

首を斬った男と同じように、両手両足を斬り、光で焼きくっつける。しかし、中では神経等は通っていない為、歩けないどころか何れは腐り、腐敗していく様を恐怖しながら見ていく事になる。

 

「え…立てない……動けない…何を…何をした!」

 

「……」

 

「戻して!お願いします!!…お願い……家族の……為に」

 

倒れ、絶望し、メルビンに救いを求める女は言葉を続ける。

 

「お前達は、自分の家族が良ければ他はどうでも良いのか」

 

「え?」

 

「お前の仲間は、アドラー区画にて虐殺を行った。市民を殺し、親なき子、子なき親、兄弟なき子を作った。お前は、その仲間だ。テロリストなのだ」

 

「知らない!私は!私はそんな事知らない!」

 

「無知は罪だ、裁かれるまでそうしていろ」

 

「いや!お願い!!……ごめんなさい……ごめんなさい」

 

泣く女を無視し、先へと進む。

武器を構えた者は居らず、怯え隠れているものが大半だ。

 

「何のようだ、人間」

 

「口を開く許可は与えていない」

 

メルビンは即座に主神の顔を殴り、転倒させるとなれた手付きで両手両足を縛り、口には猿轡をつける。何度も殴りつけ、死なない程度にダメージを与え気絶させる。そして、ファイアーマンズキャリーの状態にし悠々とファミリアを後にする。

 

「時間はまだあるか」

 

メルビンはそのままアドラー区画まで一度戻り、付近の警備隊員に声をかけた。

 

「済まない、伝令を頼む」

 

「はっ!コールレイン隊長!!」

 

「1個分隊でーーファミリアに残っている生存者を全て確保し、ギルド前に連れて来いと」

 

「了解です!」

 

そして、集合時間の朝7時。その場には警備隊によりつれてこられたファミリアの生存者と返り血だらけのマキシムと怯え顔の主神、両手両足が泣くクリスに引きずられている主神。

そして、ヘラ、アストレア、ガネーシャによって捕縛された3ファミリアの主神及びメンバーと大人数がいる。

 

「これは!これはどういう」

 

猿轡が無かった神達に警備隊は猿轡を付けていく。

今回の事は見せしめだ、彼等も怒りを忘れていない。

 

「コレより、戦争犯罪人及びテロリストの断罪を行う」

 

ウラノスの言葉に神達は怯え始めた。メルビンは淡々と罪を話していく。

 

「彼等は共謀し、アドラー区画に攻め入り数多の民間人を虐殺した。ファミリアの主神だ。さらに、主神による命令だと捕虜から聞いている」

 

「嘘はない、捕虜の召喚を」

 

メルビンは生きている捕虜を呼び出し、言葉を言った。

 

「正直に話せば恩赦も考えてやる」

 

「命令されたんだ!殺していいって!金目の物や!財産は奪っていいって!どうせ!スラムのゴミどもだって!」

 

「俺もだ!生きてる価値のない奴等だって、ならせめて最後の価値ぐらいは貰ってやるって」

 

次々出てくる言葉に野次馬は驚愕していた。

警備隊についてきていたアドラー区画の市民も同じだ!泣き崩れる者、殴ろうとする者もいる。

 

「何一つ…嘘がない」

 

ウラノスも呆れていた、ここまで酷いとは彼自身思っても見なかったのだろう。

 

「まっまてや!事の発端はメルビン・コールレインの神殺しだぞ!ソレがなけりゃ、俺たちはスラムを攻撃しなかった」

 

「嘘はない」

 

アドラー区画の市民から悲痛な声が上がる。

信頼を裏切ったのか、それとも騙した怒りか。

 

「それは違うな」

 

だが、口を開いたのはメルビンではない。

 

「…ゼウス」

 

「お前達、命を狙われて攻撃されたらどうする?」

 

「そりゃあ、相手を制圧します」

 

「では、3対1。相手の能力は少なくともレベル6だ。ソレが3人ならどうだ。逃げたら周りに被害が及ぶ。相手は、市民を魅了し、メルビンを殺す為の尖兵とすらした」

 

「本当なのか、ゼウス」

 

「そうだ、我が娘三美神カリストは市民を使いメルビンを攻撃した。殺されればよいか?違うだろう!誰しも死にたくはない。だからこそ殺した。儂は、ソレを観ていた。そしてだ、コレは家族の問題だ。儂と、メルビン・コールレインという男の問題だ。貴様ら3神はあろう事か!オラリオ中の問題だと風潮し、自己の利益の為に市民を殺した。アドラーの市民よ、恨むなら止められなかった儂を恨め。メルビンもお前達と同じ被害者なのだ」

 

不干渉だったゼウスが頭を下げた事に驚く。

だが、最も驚いて居るのはメルビンだ。

 

「神の王か、これは……悪ではないな」

 

「情報は出払ったな、コレよりファミリア一同の公開処刑を行う」

 

「まってよ!お姉ちゃんは…お姉ちゃんは助けて!」

 

一人の少女がメルビンに抱きついた。泣きながら、お姉ちゃんと呼び続けている。

 

「ウラノス、一つ良いだろうか」

 

「なんだ、ファミリア一同の処罰は元々お前の言い出した事だぞ」

 

「あぁ、だがコレだけ家族のために泣ける少女がいる。ならば、団員は一度処刑は止めるべきだ。そこの捕虜は除いてな」

 

「待てよ!恩赦は!恩赦は!!」

 

「貴様らか自分の意志で虐殺に応じた事が判った。神達も理解している。それに、考えてもいいと言った」

 

「……処刑方法は」

 

「ならば、串刺しはどうだ。俺の光の矢なら、苦しみ絶望しながら死んでいく」

 

「ならん、処刑するのだ。一息に殺してやるのが筋だ」

 

「判ったなら!俺の星辰光で焼き払おう。一瞬だ、痛みも感じない。ただ、遺体は残らんがな」

 

「お前の怒りはよくわかった、だが駄目だ。マキシム」

 

「なんだウラノス、俺は」

 

「処刑人を頼む。一撃だぞ」

 

「メルビンにやらせろよ」

 

「ならん、頼んだぞ」

 

メルビンもマキシムならと頷き、オラリオの外に死刑囚達を搬送した。そして、観客達のいる前でマキシムは一人一人首を落とした。

 

「これは、神が裁かれた歴史的は事件だ。今まで、神々が裁かれることはなかった。だが、同じだ。罪を犯した、そして死罪が確定した。なら、死ななくちゃな。あばよ」

 

マキシムは神々を同時に切り払い、光の粒子に変えた。

神は死なんが、それでも人間の心に重くなった感情は軽くなる。

 

「遺体は知らんぞ、欲しいやつが回収しろ」

 

マキシムは嫌な顔をしながらメルビンの前に立つ。

 

「復讐は終わりだ、わかってるな?」

 

「あぁ、次は私達の戦いだ」

 

 

 

 

 

 

 

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