光の奴隷のダンジョン攻略


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作:影後
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光の奴隷と戦場と涙


閑話休題  『メルビンとギルベルト』

「随分と機嫌が悪いな、コールレイン中佐」

「ハーヴェス中将」

メルビンは自分の上官たるギルベルト・ハーヴェスへ敬礼する。

「貴官は弟とは随分と毛色が違うようだな」

「ハッ!自分はアマツ隊長の隷下でありますが、閣下への忠誠、そしてアドラーへの忠誠を忘れた事はありません」

メルビンのその言葉に嘘偽りは無い、だからこそギルベルトは微笑む。ギルベルト自身はメルビンを何度も自分の部隊へ引き抜こうと画策したが、チトセ・朧・アマツの妨害にあい出来ないでいる。これは彼女がこれ以上、英雄信奉者が同じ部隊にいては何をしでかすか判らないという判断と、メルビンが自身の部下として優秀な人材であるのが関係している。
内心どう思おうと、勤務中にソレを表に出すことは無い。
ソレと彼女の個人的な理由もあるが、ギルベルトは興味がなかった。

「さて、コールレイン中佐。私の副官が急遽来れなくなってしまった。閣下にお目通しする立場ながら、副官が居ないというのは些か問題がある」

この行為は軍としてはありえない事だ。自身の隷下部隊でもない、それどころか自分よりも階級の高い人物の隷下の人間を副官の代わりにするなど。だが、メルビンはソレを受け入れる。

「ハッ!メルビン・コールレイン。現在よりギルベルト・ハーヴェス中将の指揮下に入ります」

「なに、気にすることはない」

メルビンはギルベルトにとっても興味の対象である。
クリストファー・ヴァルゼライドに希望を、光を見いだし自分自身も折れずにその光の道を歩まんと進む者。

「やはり、君は必要な男だ。コールレイン中佐」

「閣下の為、アドラーの為ならば」



「死ね!」

 

「野蛮な!」

 

「数が多い、きりがないぞ!」

 

「必ず殺せ!治療はさせるな!」

 

警備隊とガネーシャ・ファミリアとアストレア・ファミリアという即席部隊ながら対応は出来ていた。

民間人の避難を優先し、民間人の保護を表明したイシュタル。

デメテル・ファミリアに一人でも多くの民間人を送る。

ソレが今彼等に課せられた任務であり、使命だった。

現在、ゲールマンは即席の指揮所にて指揮を執っていた。

 

「済まない、アストレア、ガネーシャ、両ファミリア。隊長に変わり、私から感謝を」

 

「気にするな。コレも仕事だ」

 

そう言うのはガネーシャ・ファミリアの若き団長たるシャクティ・ヴァルマだ。彼女自身も返り血で染まり、数々の傷口から血が流れた跡がある。

 

「正義の使者として、私はこの現状を許せない」

 

そう言うのは現アストレア・ファミリアの団長レイ・ムラサメ。

彼女は東方からオラリオに来た存在であり、アストレアと出会い正義の使者として日夜動いている。

 

「レイ!前線が崩壊して」

 

凶報を伝えてきたのはアストレア・ファミリア所属のアスム・ヒビキだ。レイの幼馴染であり、彼女の右腕としてアストレア・ファミリアを支えている。

 

「……私が出る、下がらせれば」

 

「駄目だ、あくまでも前線は我々か行う。君達にこれ以上の被害は」

 

「ゲールマンさん!私は…私はこんな事を見ているだけなんて出来ないの!アスム、行くよ」

 

「うん、レイ!」

 

アストレア・ファミリアの最強格二人が動いた。ソレだけで警備隊の士気は上がるだろう、だが敵の総戦力は未知数でありゲールマンは悩ましい顔をする。

 

「ゲールマン副長!」

 

「なんだ!」

 

苛ついていたのか、無意識に怒鳴り声をあげてしまう。だが、伝令しに来た警備隊員は入ったばかりの少女と言える存在であり、自分はそんな相手に自己嫌悪してしまう。

 

「……済まない、どうしたんだ」

 

「はっ…はい!南方より光が…光が現れました!」

 

「そうか……アダム……やってくれたか」

 

「副長?」

 

「全軍、打って出るぞ!これより敵戦力を駆逐する!」

 

「我々も手伝おう」

 

「感謝する、シャクティ殿」

 

ゲールマンは銀色に輝く義手を右腕に装着する。

これはメルビンが大金を積みヘファイストスに依頼して作らせた義手である。人間ではない、神により作製されたゲールマン専用の義手。ゲールマンはこの義手に、そしてメルビンに報いる為に剣を取る。

 

「来い…この隻腕のゲールマンが貴様等を血祭りに上げてやる!」

 

「副長の出陣だ!お前達、気張っていくぞ!」

 

「おぉ!!!」

 

「ガネーシャ・ファミリア総員!悪党共を一人残らず討ち取れ!」

 

「おぉ!!!!」

 

それぞれの団員と警備隊の士気が上がり、段々と戦況が変化していく。まるで、光による祝福がなされているかのようだ。

 

「きゃあ!」

 

また別の区画ではへラ・ファミリアとマキシムが全力で襲撃者を血祭りに挙げていた。

 

「……凄い」

 

「警備隊の新人か…何をしている!」

 

「あっ!アルフィアさん!!」

 

「まったく……次が来る!備えろ!」

 

「させるかよ!」

 

「……メルビンめ、料理でも振る舞って貰わなければな」

 

「団長、軽口を叩いている場合か!」

 

「団長!メルビンが来る、私はそっちに!」

 

「あん?なら俺が!」

 

「お前はこっちだ!クリス、死ぬな」

 

「うん!」

 

へラ・ファミリアを主体とした連合部隊の勝利は近い。

 

 

「嫌だ……嫌だぁぁぁ!!!」

 

「消える…俺………が……」

 

ソレは極光だった。総てを焼き尽くし消失させる絶滅光。

更に、ソレを放つ存在はとても怒っていた。

怒りによって星辰光はより強化され、その存在が一歩歩く事に死体も残らず消えていく。

 

「…」

 

星辰光が直剣に纏まれ、横薙ぎに振るわれる。

光がまるで直剣を延長したかの様な形状になり、刃を形成する。

ソレに当たる、触れる等をしたものは何もなせずに消えていく。

 

「メルビン!」

 

「…クリス」

 

メルビンは血生臭く、何人もの人間を斬ってきた事が判る。

それでもクリスはメルビンに近付いた。

 

「…まだ、私は貴方の正義を受け入れられない。でも、この惨状を創り出した人達を赦すなんて出来ない」

 

「……そうだ、許せん。俺も……」

 

メルビンが泣いている、クリスはどんな重症を負っても泣かなかったメルビンの涙を見た。人が死んでいる、ソレだけで泣いている。守るべき者達の命を奪われた、守護者の涙。

 

「行こう、皆が待ってる」

 

「あぁ行こう」

 

メルビンとクリスを狙い、冒険者達が迫る。

だがメルビンはアドラー最強格の、クリスはこの世界において原初の星辰体感応奏者(エスペラント)だ。

いくらレベルがあろうと、そこにソレは関係のない事だ。

 

「創生せよ天に描いた星辰を――我らは煌めく流れ星

例え堕ちようとその光を喪わず、絶えず輝き続けよう。

闇夜を照らし、全てを拾い、掬う英雄の姿を今、刮目せよ。

汝、光を夢見る者なら渇望せよ。

汝、闇を生きる者達ならば救いを求めよ。

汝、悪に生きるものなら断罪を受け入れよ。

群衆よ、神をも降し、悪魔も屠ろう。今、英雄は此処にある。

我は今、正義也!」

 

超新星 ーー輝ける正義の天秤は今、傾いた

Metalnova  shine Libras leaning

 

 

「目醒めよ、深きに眠る灼熱よー我等は偉大な女神の下僕。

如何なる敵に対しても、如何なる困難に対しても、我等は臆せず立ち向かおう。幾万の勇士達の標となりて、茨の道を歩みゆかん。さあ人々よ、この足跡へと続くのだ。約束された繁栄を、新時代にて齎もたらそう」

 

超新星 ーー神々の女王の栄光よ、けして潰えること無かれ

Metalnova Never Collapse Hercules

 

極光と雷光の2つがぶつかり、敵対者を殲滅する。

 

「正義の怒りを…その身に受けろ!」

 

「今だけは、その絶対的な正義に力を貸すよ」

 

正に破竹の勢いとしか言えなかった。たった2人の戦士に敵は殺されていくのだ。まぁ、星辰体感応奏者に敵う存在など『最強』ぐらいだ。

 

「コールレイン隊長」

 

「ゲールマン、敵は」

 

「はっ!降伏した者は捕虜に。現在は掃討作戦に移行して居ます」

 

「4マンセルを厳命させろ」

 

「無論です」

 

そして6時間後、メルビンは市民のいなくなった区画に最後の鉄槌を下した。光の矢が降り注ぎ、敵対者達を襲う。協力者にダメージはないどころか、強化という正にズルとしか言えない能力だが、今の掃討作戦には有効だった。

 

「隊長、家なども全て確認しました。襲撃者は全滅しています」

 

「よし、襲撃者の遺体からは装備等を全て剥ぎ取れ」

 

「おい、メルビン。ソレは」

 

マキシムがメルビンに言うが、メルビン本人はなんとも思っていない。

 

「奴等の装備を売り払う、血がついているだろうが装備としては一級品だろう。判るか、マキシム。市民まで被害を受けた。奴等の装備で市民への補填をしなければいけない!今は…今は金が必要なのだ。それに、襲撃者をどうしようが我々の勝手だ。無論、今回援護してくれた方々やファミリアには恩賞を支払う」

 

「良いですよ、メルビンさん。私達は正義の使者だから」

 

「いや、皆命をかけて戦ってくれたのだ。だが、済まない。今すぐは出来ない。だが1ヶ月、1ヶ月以内には必ず払う」

 

「1ヶ月って…そんな」

 

「ダンジョンの下層に潜り続ければ何とかなる」

 

「そんな…」

 

「無論、隊長一人に背負せる事はしません。我々警備一同が稼ぎ支払います」

 

「……はい」

 

メルビンとゲールマンの圧におされ、レイは頷く。

他の面子も受け入れないと納得しないと感じていた。

 

「ガネーシャ・ファミリアに至っては死亡者もでている。私達は一体何で返せば良いか」

 

「気にするなとは言わん、だが忘れるな」

 

敵対者の亡骸と戦死者の遺体の扱いはメルビンが不必要な攻撃を禁ずる事を厳命した。死体までも虐め抜く必要などないのだ。

違いがあるとすれば敵対者は男女問わず身軽みを剥がされているところだ。戦死者の遺体は一つ一つ並べられその前で親しい者達が泣いている。

 

「コイツラが!コイツラがお兄ちゃんを!」

 

「よせ……」

 

「なんで!なんで!!」

 

警備隊員が泣き叫ぶ子供を止めていた。ソレだけで判る、戦死者の遺族なのだ。

 

「…君…名前は」

 

「メルビン…様。私は……ハンナです」

 

「そうか、バグダッシュは君を大切にしていた。」「お兄ちゃんを知ってるんですか!」

 

「優秀な隊員だ」

 

「……ならなんで、お兄ちゃんを助けて」

 

「聞いて欲しい、君だけじゃない。全ての方に。私、メルビン・コールレインは許しはしない。この惨劇を創り出した者達を」

 

「この惨劇を命じた一部の神を!」

 

「そうだ!メルビン様!俺達の…俺達の家族の仇を!」

 

「奴等に正義の鉄槌を!」

 

「メルビン」「メルビン」「メルビン」

 

メルビン自身は理解している。警備隊も理解している、だからこそ伝えてはならないと。事の発端は、英雄の神殺しから始まった。だが、ソレを警備隊は咎めない。自分達を救った英雄の死を望むなど彼等には出来ない。だが、死んだ仲間の遺族はどうだろう。だが、正義たるメルビンはソレを受け入れる。

メルビンは今日犠牲となった魂を背負い、進むのだ。

 

「必ずや、一件を引き起こした神々を『3日以内』に君達の前に引きずり出そう」

 

メルビンは一息つく、そして拳を高らかに掲げた。

 

「その罪を、犠牲になった者達を怒りを。その者達へ、我々が刻むのだ」

 

 

 




オリキャラ
レイ・ムラサメ 年齢22歳 レベル3 
所属 アストレア・ファミリア 
立場 団長
『正義の使者として、ただ見捨てるなんて出来ない』という自分の正義に従って警備隊に協力した。
他にもアストレア・ファミリアのメンバーはいるが今回出したのは2名。これ以上は増えないと思う。

アスム・ヒビキ 年齢22歳 レベル3
所属 アストレア・ファミリア
立場 副団長
メルビンに対するゲールマンの様に右腕キャラを配置した。
アストレア・ファミリアでこの時代で関わる事になるうちの一人。




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