光の奴隷のダンジョン攻略


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作:影後
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光の奴隷とオラリオの神々


閑話休題 前書きに何か書きたいから書く。
[メルビンの怖い物2]
「それで、話の続きだ。お前の怖い物は」

メルビンは考える、病気を運ぶものと人類のはた迷惑な隣人G。
昆虫等は軍人だった都合で慣れているし、食事は

「……」

「その顔、何かあるな。話してみろ」

「卵だ、卵が食えん」

「卵?」

「目玉焼きや、生卵、ゆで卵は本当に無理だ。あの匂い、あの食感、口に入れた瞬間に現れる嗚咽」

「好き嫌いあったのか。しかも……子供っぽいな」

「んぐ?!その指摘はあまりにも恥ずかしいからやめてくれ」

「そうか……」

この日から何かあるとアルフィアに卵嫌いをいじられる様になったメルビンであった。



「出てきたらどうだ、この夜分に攻めてきたか?」

 

「……」  

 

メルビンの前にフードを被った存在が現れる。そして、変わらず何処か此方を見透かし選別するような気配を感じる。似た気配をつい先日、感じたばかりだ。

 

「また美の眷属か、まったく……やはり消すべきか」

 

「貴様の存在は危険すぎる、今ここで」

 

声は男だ、フードの男は大剣を抜き、メルビンに向ける。

 

「いたぞ!」

 

「隊長の言葉通りだ、流石だな」

 

「……まさか、断裁者の言葉通りとは」

 

オラリオの夜、メルビンは一つ芝居を打っていた。

自身を狙う存在の炙り出しである、メルビンの情報は元々ヘラにより秘匿され、アストレアも、ヘルメスも、ゼウスも口にしない禁忌。今回の件において、ゼウスは娘を目の前で殺された当事者だが、そもそも止めていれば起こらなかった事である為に発言権はない。ヘラからも言われたのだ、娘を止められない親が悪いのだ。しかし、その存在は許せるべきものではない。美の女神の魅了すら効かず、オラリオと言うある種の閉鎖空間に変革を齎す存在を許せる神など、普通はいない。そう、たとえガネーシャとの盟約があってもだ。

 

「……ガネーシャ・ファミリアはこれより警備隊と行動を共にする事を誓おう」

 

「感謝する、さてこの襲撃者の顔を確認し主神を探さねば」

 

「此度の神殺しについて、我々は関与しない。ソレは理解しているな」

 

「無論だ、それどころかガネーシャ神はギルドにて我々を容認してくれた。警備隊とガネーシャ・ファミリア。これより、深く、そしてより強固な信頼関係を紡げると俺は理解した」

 

「……貴様、ガネーシャ・ファミリアまでも」

 

「…まだ、停戦であるな。それに、貴様の抹殺は我々がガネーシャ神に与えられた任務だ」

 

ガネーシャ・ファミリアの先鋭が襲撃者を囲む。

そこにメルビンも参加する。

 

「警備隊は近隣住民の避難を」

 

「は!」

 

「メルビン…コールレイン」

 

「いずれ盟友となる者達だ、それに狙われたのは俺自身」

 

「くうぅぅ!!!」

 

メルビンに刃が振るわれるが、ソレをまるで箸で食材を摘む様に指2本で止めていく。刃はカタカタと震えており、襲撃者も刃を動かそうと必死になっているのがわかる。

 

「ふむ、その程度か。我が宿敵と英雄の足元にめ及ばない」

 

メルビンの能力は夜になれば下がると思われるだろうが、そんなことはない。世界には星や月がある。夜空から星の瞬きも月光がメルビンを照らしている限りその能力には違いがない。

 

「我が星辰の前に平伏せ、そして刻め。我等、アドラーを」

 

光の矢が辺り一面に向かって落ちてくる。

まるで流星群の様に美しい、しかし建物に当たれば消えていく。

まるで幻覚のようだ、だからこそ襲撃者は敢えて受けた。

 

「なに」

 

しかし、激しい痛みか襲ってくる。だが、他の人間はダメージは愚かむしろ、自分の身体を不思議そうに見ている。

 

「くっ!」

 

まるで雨のように降り注ぐ光の矢を物陰に隠れる事で回避する。

ソレをみたメルビンは説明するように話した。

 

「この技の欠点はお前の様に障害物があるとダメージを与えられない点だ」

 

「まて、メルビン・コールレイン。我々のファミリアにも攻撃は当たっている!ふざけて」

 

「…勘違いするな、攻撃というのは敵に対してのみ。俺の光は敵と味方を識別できる。俺が味方と認識した者には回復や身体能力の向上を行い、敵対者に対しては皮膚を焼く地獄の矢を雨のように降らせる」

 

そう、軍事帝国アドラーにおいてメルビンは一種の戦略兵器であった。1対1ならメルビンに勝てる者も居るだろう、しかし軍はワンマンアーミーではない。何千人もの仲間が共に戦っている。

そして、メルビンが軍事帝国アドラーの軍服を認識すれば、ソレを着ている兵士達は光の矢から無限に力を手にし、敵対者は光の矢により皮膚を焼かれ、死んでいく。その様な敵軍に対して正に悪夢のような存在なのだ。敵味方を識別し、攻撃する戦略兵器。それが、メルビン・コールレインだ。

 

「最弱の技で申し訳ない。本当ならもっと強いのがあるが、この地区にもダメージがあるのでね」

 

メルビンは笑う、憐れな(美の眷属)に対して救済(絶望)を与える為に。断裁者(ジャッジメンター)としての本領を発揮する。

 

「さて、隠れているのも飽きたろう。安心しろ、一瞬で終わらせる」

 

光の矢は斜めから放たれていた筈だった。実際、今も斜めから発射されている。しかし、頭上から真下に向かって放たれる矢が増えたのだ。それどころか、四方八方から、そうまるで円柱の図形の様に光の矢が降り注ぐ。

 

「これは……あまりにも」

 

「降伏せよ」

 

「……黙れ!」

 

襲撃者は光の矢に皮膚を焼かれる痛みに耐えながら、ただメルビンを目指した。しかし、其の手は届かない。

 

「……哀れな、我々も貴様の敵だと言うことを忘れたか」

 

ガネーシャ・ファミリアの団員が襲撃者を斬る。

鮮血がメルビンの頬に飛び散るが、メルビンは気にする事はない。武器は奪われ、惨めにも地に伏している。

 

「……さて、君の顔を見せて貰おう」

 

メルビンがフードを取ろうとすると、男は火事場の馬鹿力とでも言うように大声を上げ、自身の血を二人の目に飛び散らせ逃げ出した。

 

「…よくやる」

 

「どうする、奴は」

 

「ガネーシャ・ファミリアの諸君には細やかだが食事を用意させて貰おう」

 

作戦に参加していたガネーシャ・ファミリアのメンバーから疑問の声が上がる。しかし、メルビンは続ける。

 

「君達との友好の始まりだ、襲撃者の事はいい。捕らえる事が出来れば万々歳だったが、生かして返す事にも価値はある」

 

「……ふん、主神からの命令は抹殺なのだが」

 

「俺が問題ないと言った、だから問題ない。さて、俺が作る料理だが口に合うと良いが」

 

メルビンは自身の手料理を今回の作戦の参加者全員に振る舞う。

おかわり等の余裕はないが、皆の緊張は解けていく。

 

「しかし、2度目の襲撃があるのではないか?」

 

「あの大剣使いは実力者だ、恐らくその主神もソレを理解しているのだろう」

 

「なら」

 

「だが、忘れたか。俺は敢えて奴に自分の力を見せつけ、説明までした。そう、俺にはまだ引き出しがあるとな」

 

ガネーシャ・ファミリアの団員は納得したという顔だった。

 

「相手の最強戦力かそれに準ずる者であるなら、自分と相手の力量の差も判る。それに、相手は暗殺には慣れていないようだ」

 

「なぜだ」

 

「暗殺者が対面した挙句、言葉を話すなどフィクションだ。現実なら、それこそ毒や事故などやりようはある。まるで決闘のように1vs1を作る理由はない。それに、夜とはいえ市街地だ。俺が逃げ回り、当たりに見られれば終わる」

 

「……そうだな」

 

団員はその通りだ。としか言えない、暗殺するなら喋らず殺す。

 

「ソレだけで判る、暗殺においては素人。しかし、それ相応の実力者」

 

「なぜ、そうなる?」

 

「自分の力に自信がなければ前に立つなどせんよ。だからだ、奴は恐らくは高位の冒険者。そして俺を狙ったのはソレを要するファミリア」

 

メルビンはこの時既に目星はついていた。

ヘラはこの件に中立よりの味方であり、ゼウスなら我が宿敵をぶつけ、メルビンとの決着をつかせるだろうと思っているからだ。美の女神の眷属の気配があるだけで候補も絞れる。歓楽街のイシュタルかフレイヤ、イシュタルはいずれ滅ぼすのは確定している。

 

「……さて、どう出る」

 

翌日になり、状況が急転した。オラリオにきる美の女神の2神が動いたのだ。フレイヤ・ファミリアはこの件において一切の関与をしないとギルドに連絡し、さらには団員を使い警備隊へ手紙を渡した。メルビン以外に読ませるなという内容であり、罠と予想していたメルビンは敢えて手紙を読んだ。そこには眷属最強各のオッタルをけしかけた事、そして謝罪文である。

 

「……了解した。女神フレイヤには了承したと伝えろ」

 

「貴様、フレイヤ様を」

 

「ここでお前が剣を抜けば、そのフレイヤの言葉を団員であるお前が反故することになるぞ」

 

フレイヤ・ファミリア団員は苦虫を噛み潰したような顔で出ていった。

 

「密偵をつけますか?」

 

「要らん、しかし……イシュタルめ。やってくれる」

 

フレイヤ・ファミリアはあくまでも中立、しかしイシュタル・ファミリアは違った。

 

「此方に借りを作るつもりか…イシュタル」

 

イシュタルは〘オラリオ新区画の開発支援〙という名目で警備隊に金銭的支援を表明したのだ。これは他から見れば神殺しの容認とも取れる行動だ。

 

「5億ヴァリスとは」

 

ゲールマンが口を開く。

 

「はい、元々スラムであった都合。ガタの来ている建築物もあります、建て直すにしろ補強にしろ、資金は要ります」

 

「……見帰りのコレは」

 

〘警備隊とイシュタル・ファミリアの実戦演習。

メルビン・コールレインにおいては必ず参加されたし〙

 

「我々の戦力把握でしょうか?」 

 

「さぁな、正直。此方は本気を出す必要はない、あくまでも実戦演習だ。力を隠し、敗北しても問題は起きない」

 

「隊長、それは思ってもない事を言う顔ですな」

 

メルビンは自身の部下であり、腹心であるゲールマンの言葉に微笑みを返す。

 

「俺達警備隊が負ける筈が無いだろう。ゲールマン、俺とお前が鍛えてきた隊員達だ」

 

「ですな、たとえイシュタル・ファミリアと言えど我々の勝利は約束されています」

 

メルビンは返信の手紙を書き、警備隊の隊員に持たせた。

襲撃の可能性を吟味し、警備隊でも優秀な4人の隊員にそれぞれ手紙を渡す。

 

「お前達の任務はイシュタル・ファミリアにその手紙を届ける事だ。襲撃の事を計算にいれておけ、良いな」

 

「「「了解です、コールレイン隊長」」」

 

4人は私服に着替えると人込みに紛れながら歓楽街へと向かっていく。

 

「まったく……考える事が多すぎるな」

 

「隊長、ギルドの使者が現れました。今回の内容は隊長に対する最終」

 

「…最後まで言わなくてもいい。ゲールマン。一度、赴いてやるさ。神々の傀儡の巣窟にな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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