光の奴隷のダンジョン攻略


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作:影後
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英雄と最強達


「頑張りさえすればできるのだ」
「なぜ言い切れるか?決まっている。現実に、
そういう人間がいたという実例を知っているからだ。
だからこそ、この思想を疑う理由は私にはない」

ギルベルトさんが見たのはヴァルゼライド閣下とヴァルゼライド閣下に憧れ、ただ只管に頑張ったメルビン。
だから余計に、頑張れば出来る!が加速した。

ーーーーー
アミットさんが年代的に居ないとの指摘、ありがとうございます。一部修正しました。


「……所で、お前が異世界人なのはわかった。でもな、その剣はなんだ。拾ったか?」

 

「あぁ、巨大な骸骨を倒したのだが、その時、コレが落ちていた。俺の使っている剣は業物でもない、ただの帝国軍支給の剣だ。鞘はないが、帯刀はできる。使い勝手も良いかと思ってな」

 

メルビンの言葉にヘラ、ゼウス、両ファミリアの言葉がなくなる。

 

「そんなドロップアイテムは知らんぞ」

 

「知るか、俺はただ倒しただけだ」

 

とりつく島もないメルビンの発言にただ「そうか」という返事しかできない。

 

「あの、メルビンさんってレベル1ですよね?!」

 

「そうだな、ヘラとゼウスが証人だ」

 

「…はっきり言う、何処がレベル1だ」

 

「レベル1には違いないな。レベル1には」

 

含みのある言い方にメンバーが訝しむが、ゼウスが言う。

 

「ウダイオスの討伐は事実じゃろうて、気になるなら戦えば良いだろ」

 

ゼウスの言葉に反応したファミリアの最強戦力達、そしてソレを見定めながらメルビンは言う。

 

「野蛮だな、戦いでしか相手を推し量る事もできんか?」

 

「なんだ、臆するか?」

 

「いいや、俺も同じだ。俺も戦う事で自分を表現できない時がある。つまり……今だ」

 

メルビンが挑発するように闘志を燃やす。

ステータスが常時成長しているというチート、ソレだけではない。今、ここで更にステータスにバフが入る。

 

「…さて、何処でやりあう?」

 

「オラリオ内など、以ての外だ。俺もお前も本気でやり合いたいだろ?」

 

「貴様は?」

 

「俺の名前はマキシム、オラリオ最強ってところだな」

 

「……ならば、全力で相手をしよう。外で待つ」

 

ゼウス・ファミリアのホームから出たメルビンをクリスが追いかけ話しかける。

 

「メルビンさん」

 

「クリス、君も観せよう。英雄に、敗北は許されん」

 

 

オラリオの外、平原にてマキシムとメルビンが向かい合っている。互いに言葉を紡ぎ、意識を高める。

 

「俺は戦争をしていた、何人も殺した。だが、常に正面から戦っていた。罠を喰い破り、確かな勝利を手にした」

 

「俺にも最強の肩書がある、簡単には負けられんよ」

 

少し笑っているマキシムにメルビンは何処か怒りを覚える。

最強とは常に存在し続け、最強とは常に人々の先を照らす(ヴァルゼライド)である。マキシムからはまだ、光を感じない。

 

「征くぞ」

 

星辰光を剣に宿し、斬りかかる。しかし、それは容易く防がれる。

 

「ウダイオスからドロップした、その剣は使わないのかよ」

 

「……使い勝手がまだわからないんでな」

 

「なら、使わせてやるよ!」

 

マキシムの意識が変わるのを感じた、だがその程度で攻防一体とも言える超新星 ーー輝ける正義の天秤は今、傾いた(Metalnova  shine Libras leaning」)を貫くことは出来ない。

昼というだけでも常に連続的に超回復をし続け、更に自身を強化できる状態が整っているのだ。

 

「舐めんなぁ!」

 

「よせ、無駄な戦いだ」

 

マキシムの武器は誰が見てもわかる程に業物である。

オラリオでも数少ない最上級の鍛冶師に鍛え上げられた一品。

ソレと渡り合うのは数打ちの剣、なのに折れない。

 

「お前が本気になるにはその剣を折るぐらいしかないんだろ?なら、やってやるよ!」

 

「無駄だ、俺の星辰光(アステリズム)を貫くなど、それこそ」

 

そこでふと考えた、なぜ自分が星辰光(アステリズム)が使えるのかと。だが、そんな難しいことはメルビンには判らない。

使えるから使うのだ、たとえ星辰光(アステリズム)がなくともメルビンは立ち上がり、戦うだろう。

マキシムの剣がメルビンの剣を砕く、想定外だった。

正直期待外れだった。だからこそ、メルビンは笑った。

そう、自分の獲物が壊れようと、自分の四股が壊れようとも、たとえ瀕死の重傷だろうとも立ち上がるのだ。

勝てないから諦めるのではない、自分の限界を超えれば良い。

 

「嗚呼、些細な問題だな」

 

剣が砕け、その破片が体中に突き刺さる。再生されているせいで肉体に激しい痛みが現れる。

自分の回復を管理できないのは辛いが、その程度だ。メルビンはマキシムの眼の前で、体に刺さった破片を肉ごと抉り取り投げ捨てる。

 

「狂ってやがるな」

 

「済まなかった、慢心していた。君如きでは俺の守りは崩せないと思っていた」

 

笑っている、大量の血を流し誰が見ても重症であるのにだ。その姿にマキシムも後ずさる。  

 

「だが…まだだ!」

 

確かな闘志が瞳に宿る。

 

「見せてあげよう、これが俺の生きる道(英雄譚)だ」

 

砕けた剣を投げ捨て、ウダイオスの剣を構える。星辰光が溢れ、メルビンは光となる。

 

「なんだよ……それ」

 

「さぁ、始めようか。真剣勝負という物を」

 

マキシムにとって、それはまさに理不尽の体現者だった。

重症だった、今にもディアンケヒトの所に運び込もうとすら感じた。何度か刃を交えただけでもその実力は理解できた。

だが、この男は止まっていない。それどころか、斬撃はより重く、より鋭くなっている。

得物は確かに変わっている、だが、それ以上にメルビンの肉体が成長しているのだ。

 

「…巫山戯んなぁぁぁ!!!!」

 

マキシムも最強という絶対の自信がある。立場がある。

だからこそ、立ち向かうのだ。メルビンと衝突した位置から大地が砕け、何百メートルにも亀裂が生まれる。

 

「おおおおお!!!!!」

 

「哮るか!だが!まだだ!」

 

刃と刃がぶつかり合うたびに衝撃波を巻き起こし、世界が揺れる。それが、たった2人の人間によって起こされているのだ。

 

「うそだろ……こんなの、今の神々じゃ止めるなんて」

 

「……ゼウス、黙れ。これは止める必要のない戦いだ」

 

今だけはゼウスよりもヘラが理解していた。

ヘラは愛という感情をある意味一番理解している。

結婚という一つの到達点の女神であるヘラだからこそ、二人の感情が理解できる。

 

「愛ではない、だがとても泥臭く、血腥い、だが今マキシムとメルビンは互いに、互いしか見えていない」

 

「くっ…ハハッ…ハハハハハ!そうだ、まだだ!俺は最強だ!こんな所で、負ける俺じゃない!」

 

マキシムが吼えた、へラ・ファミリアも、ゼウス・ファミリアも、互いに今のマキシムを見たことがない。

 

「メルビン、名前は?」

 

「メルビン・コールレイン。マキシム、お前は」

 

「マキシム・ブリンガー」

 

「あぁ、良いなぁ……受け止めてくれよ!なぁ、英雄!(メルビン)

 

「来い、最強!(マキシム)

 

それは誰も見たことがない、いや見たことがなかった。

 

「まだだ」「まだだ」

 

マキシムは限界を超えている、それでも尚、成長している。

世界が割れると思えるほどの攻防、いや、互い防はない。

攻のみ、血が飛び散り、試合ではなく死合であった。

だが、誰もが止められない。止めてはいけない。

だが、一人の少女にとってそんな事は関係ない。

その少女は常に誰かを思って行動している。

自分ではなく、誰かを救い、誰かを助け、聖女とも呼ばれている。そして、優しさは強さになる。

 

「駄目……止めなさい」

 

少女は誰よりも優しい女性である。

少女は何よりも、傷つく姿を見ることを逃避する。

少女は自分よりも、他者の傷を癒し、〘誰か〙の為に生きることのできる少女である。

 

「止めろぉぉぉぉ!!!!」

 

「なんだよ?!」「目覚めたか!」

 

マキシムは驚き、メルビンは驚愕する。

 

「そうだ、その光。まだ、幼く脆い、その光。しかし、今、それは覚醒したのだ!」

 

「なんだよ……面白いな」

 

「……何故、無意味に争う。何故、無意味に闘う!何故!仲間同士で殺しあうの!」

 

へラ・ファミリアのメンバーも驚く。

クリスの言葉は普段よりも鋭く重い、誰にでも等しく向けられる慈悲の言葉は今、一振りの剣となっている。

 

「へラ・ファミリアのクリス。邪魔するなよ、今は俺と此奴の戦いだ」

 

「クリス、何も殺し合おうとはしていない。ただ、再起不能にするだけだ」

 

「へぇ……なら、やってやるよ」

 

マキシムは星辰光を所持してはいない。

だが、ゼウスの最強の眷属たるステータスとそれに応じた能力がある。だが、クリスには関係ない。

 

「黙れ、オラリオ最強。そんな事は私の知ったことじゃない」

 

「なに?」

 

「私の前で、無駄に血を流すなと言っているんだ!」

 

「……お前、先に潰すぞ」

 

「来なさい、格上だろうと…私には関係ない」

 

「クリス、マキシムは俺の」

 

そうメルビンが言うが一振りの斬撃が吹き飛ばした。

それに一番驚いたのはマキシムだ、いくら不意打ちとはいえメルビンが成すすべなく吹き飛ぶのは笑い話にもならない。

 

「……こい、最強。1回、倒してから休ませる」

 

「そうか、なら」

 

「よせ、マキシム。試合は終わりだ」

 

マキシムがクリスに剣を向けたが、ソレを止めたのはゼウスだった。

 

「待てよ、此奴は俺に」

 

「元々、メルビンの実力を知る為の物だった。見ろ、お前とメルビンの戦いの痕跡を」

 

マキシムが周囲をみれば、大地は砕け、二人が争った地面は抉れ、大半が光によって焼け野原となっている。

 

「焼け野原にしたのはメルビンだ」

 

「お前、本気でやってたろ。同罪だ」

 

「……ぐぅ」

 

ゼウスとそんな話をしていると重症を負ったメルビンが歩いてきた。腹部に木の破片が突き刺さり、ふらふらと足取りは危うい。

 

「……くそ………回復がオーバーフローしている」

 

それは今まで感じたことがない不快感、回復能力が高くなりすぎ無意味な再生が巻き起こっているのだ。破片を抜き取ろうにも、破片に対しても皮膚が伸びている。

 

「……ごぶ…ぐぁ……」

 

うめき声を言うが、悲鳴は上げない。

自身の尊敬するはこの程度の痛み対して、悲鳴は敬愛するヴァルゼライドが絶対にしない事だと信じて居るからだ。

 

「……ふぅ、恐ろしいな。実に恐ろしい、俺は今まさに死にかけている。だが、ソレがどうした」

 

立ち上がる、まっすぐと。朦朧とする意識を無理矢理前に押し出し目を覚まさせる。身体が重い?知らん。動かない?知らん。

自分が動けるなら、自分はまだ戦える。そうだ、自分は誰か?

 

「まだだ……俺はまだ、負けていない」

 

「よせ、闘いは既に終わった。お前の実力は示して」

 

「まだだ!そうだろう、マキシム。俺とお前の決着は付いていない。お前自身、それで終わる訳にはいくまい!」

 

「……ゼウス、悪いな。メルビンの言う通りなんだよ」

 

「2人共、よしなさい!私の前で闘うのなら今ここで」

 

「クリス、悪いな。でもな、男はどうしても勝ちたいって思える奴ができてしまうもんなのさ。俺は、勝つ。俺が勝って最強を示す」

 

「無駄な事だ、勝つのは俺だ」

 

クリスの言葉も虚しく二人は戦い合う。

マキシムはその身に宿る最高の力を振り絞り、限界を超えながら。メルビンは星辰光を燃やし、身体をより強化する。中から張り裂けそうになる痛みが常に襲う。だが、それがどうしたか。

 

「メルビン…終わりだぁぁぁぁ!!!!」

 

「いや、勝つのは俺だ!!!!」

 

マキシムの刃はメルビンの胴体を貫き、メルビンの刃はマキシムの左腕を斬り落とす。流石にゼウスとヘラは団員と共に止めに入った。

 

「ごぶ……負けたか………」

 

「くそ…!勝てなかった……俺は」

 

クリスによって傷は癒されたが、流石に入院となりディアンケヒトの下に運ばれたが二人は翌日には立ち上がっていた。

 

「世話になったな」

 

「待ちなさい、患者は」

 

「世話になったと言った!」

 

「そうだな、駄賃は俺につけといてくれ」

 

「なっ?!」

 

ディアンケヒト・ファミリア団長は主神の力を借りようとしたが、二人には敵わない。ゼウスとヘラを呼んでも二人には堪えない。

 

「マキシム・ブリンガー。俺のライバル(宿敵)。次は貴様の称号、必ずや俺の手に」

 

「ふっ、メルビン・コールレイン。俺のライバル(宿敵)。今度こそ、俺が勝って最強の称号を真の最強にしてみせる」

 

ゼウスもヘラも何も言えない、ただ一言。馬鹿野郎とだけ告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




メルビン・コールレイン。
ヴァルゼライド閣下に脳を焼かれた破綻者。
ヴァルゼライド閣下に憧れ、誰かの為に戦い続ける。
しかし、この物語で誰かの存在が明確になることを作者は願う。

マキシム・ブリンガー
名字は適当、メルビンの極光にやられた宿敵にしてライバル。
再戦の時が来るまでは共に酒を飲んだりして良い友達。
でも、再戦の日が来たらきっとオラリオは壊滅する。

クリスティーナ・ヴァルゼライド
聖女の二つ名を持つ心優しい女性。
この度、ちっぽけな、星辰光に何故か覚醒した。
しかし、そのちっぽけな星辰光はメルビンをオーバーフローさせる程に激しい光。極光よりも鋭く激しい光、つまり……
今までは優しさだけであったが、今回の件でそれだけでは駄目と自覚。力をつけるためダンジョンアタックに専念する。
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