第52話 マオマオ用シェルター

 ガストンのコンテナハウスから自分達のキャンプ地に戻り、辺りを見渡す。


「さて、どうしたものか……」


 現在のExtremeChat勢のキャンプ地は俺のテント、アカネのシェルター、ハヤトのシェルターと並んでいる。監視という観点からは、アカネとマオマオは並べた方がいいだろう。


「マオマオ。台湾のキャンプ地からテントは持ってこれるのか?」

「うーん。テント持っていていいけど、ちょっと狭いからシェルターつくりたい。アカネとか、ハヤトみたいなの」


 マオマオは改築を重ね、随分とゴージャスになったアカネとハヤトのシェルターを指差した。テントで暮らすよりも遥に快適だろう。


「わかった。俺のテントをずらして、そこにマオマオのシェルターを作ろう。アカネとマオマオが隣り合っているほうが何かと便利だろうし」

「ありがと! お礼に毎晩、自慰行為を配信するわよ?」

「それは礼じゃない!! そもそも、今までも毎日やってただろ!!」


 マオマオが笑うと、アカネも釣られて笑い出す。こいつら……本当に……。


「諸越さん。シェルター作るのに必要な木材を集めてきますね」

「たのむ」


 ハヤトはグラビティソードを片手にジャングルに向けて歩いていく。マオマオに呪われて苦労したハヤトだったが、もうわだかまりはないようだ。


「さて。やるか」


 俺は荷物を出し、テントを脇へと移動させる。そしてグランドシートを剥がした。


「わっ!! 諸越のテントの下、虫がいっぱいいる!!」

「これ、どゆこと!? 虫と友達なの!? 虫チング!?」


 テント跡地を見て、アカネとマオマオが騒ぐ。奴らが言うように、多くの虫類が見て取れた。


「ネイキッドが発動している状態だと、身体から熱が発せられているんだ。つまり、俺のテントの下は暖かい。だから虫が集まる」

「理屈はわかた! モロコシ、早くテントの移設を完了させて! 虫引き取って! お願い!」


 マオマオはそんなに虫が得意じゃないらしい。地面に蠢く虫類から顔を背けながら、懇願する。


「そんなに慌てなくても、地固めをしている内に虫は散っていくさ。大きな岩で地面を叩くからな。驚いていなくなる」


 そう言って、俺は手ごろな岩を探し始めた。シェルターの建築、開始である。



#



 超人的な力を持つ冒険者にかかれば、シェルターぐらいなら一日で出来てしまう。夕方にはしっかり、マオマオの新しい寝床は完成していた。


 キャンプ地の竈の周りで俺とハヤトが夕食の準備を始めると、もうすっかり引っ越しを終えたマオマオと、パコリ〇グ(昼の部)(注)を終えたアカネがシェルターから這い出してきた。


「この動物、何!? 見たことないけど!?」

「鼻はブタ、耳はウサギ、尻尾はカンガルーみたい?」


 二人はハヤトがサバンナ地帯で仕留めてきたツチブタを指差し、不思議そうな顔をしている。


「ツチブタだよ」

「ブタなんだ!? これ珍しいから配信しよう!」

「しよしよ!」


 アカネはシェルターからドローンカメラを持ってくると、手早くスマホと連動させてライブ配信を開始した。すぐに、スマホから視聴者のコメントが聞こえてくる。


<うん? アカネ、また配信なのだ?>

<さっきパコリング終わったばかりなのだ?>

<諸越にハヤト、マオマオもいるのだ! 最凶の四人なのだ!>


「なんかハヤトが珍しい動物を狩ってきたから、配信するよ!」


 ドローンカメラは切り株の上に寝かされたツチブタを映す。


<これはなんなのだ?>

<寝顔が可愛いのだ!>

<たぶん死んでるのだ!>


「じゃあ、解体を開始しますね」


 ナイフを持ったハヤトが慣れた様子でツチブタの内臓を取り出し始めた。当然血が流れるが、ExtremeChatでは関係ない。そのまま配信される。


「つぎは皮を剥いでいきますね」


 ハヤトは手足の先端にグルリとナイフで切れ目を入れるとグッと引っ張って皮を剥がし始めた。


「んんん。これはなかなか……剥がれ難いですねぇ」

「そーいうときは火で炙るといい」

「ワタシ、やるよ!」


 解体の様子を興味深く眺めていたマオマオが立ち上がり、ツチブタに向けて手を翳した。ハヤトがスッと身を引くと、マオマオの手から火炎放射器のように噴き出した炎がツチブタの身体を炙った。体毛の燃えるいやな臭いが周囲に広がる。



<マオマオが冒険者みたいなことしてるのだ!>

<野外露出と呪術だけじゃなかったのだ!>

<何気にマオマオ、A級冒険者なのだ!>



 視聴者のコメントに気を良くし、マオマオは空に向かって様々な【火魔法】を披露し始めた。【呪術】以外では【火魔法】が得意らしい。


 一方のハヤトは黙々とツチブタの解体を進める。頭と手足を外し、あばら骨の処理をどうしようかと悩んでいる。


「そこは脂が多いから、そのまま火にかけてしまおう」

「そうですね」


 ハヤトは用意していた竹串にあばらの部分を差すと、赤い炎の上がる竈の上に置いた。すぐに脂が溶けて薪に落ち、香ばしい煙が漂い始める。


 俺はあばら肉の横にティラピアと青パパイヤをのせたフライパンを置き、万能スパイス『モリニシ』をパラパラとふりかけた。



<ExtremeChatで普通のキャンプ配信なのだ!>

<というか、マオマオはいつまで一緒に行動するのだ?>

<台湾調査団はどうしたのだ?>



「ワタシ、しばらく諸越達と一緒に行動することになたよ! お家もつくたよ!」


 ドローンカメラがマオマオとそのシェルターを映す。アカネは自分のシェルターの前に立ち、隣同士であることをアピールした。



<アカネの隣なのだ!>

<ソマリアダンジョンに風俗街が生まれているのだ!>

<諸越やハヤトは黒服なのだ? ちゃんと管理するのだ!>



 アカネとマオマオは自分で客を取りに行くタイプの嬢なのだが……。 


 視聴者と絡んでいる内にツチブタのあばら肉はしっかりと焼き上がり、ハヤトが骨ごと切り分けて皿に並べた。その横にティラピアと青パパイヤ炒めを盛り付ける。


 切り株の上に皿が四つ並び、それぞれが席に着いた。


「諸越、何か挨拶よろしく!」とアカネ。挨拶なぁ……。


 咳払いをすると、ドローンカメラがやってきて俺の顔を映した。催促されているような気分になる。


「本日、ExtremeChat勢のキャンプ地にマオマオを迎えることになった。今後のダンジョン探索についても、基本的には四人で行動することになるだろう。これからもロマン溢れる配信を心掛けるので、よろしく頼む」



<ロマン=男同士の熱いぶつかり合いなのだ!?>

<この前の配信はひどかったのだ!>

<そう言えば、御厨達はどうなったのだ?>

<お尻痛くて寝ているのだ?>



 そういえば、御厨達はどうしているのだろうか。やけに静かだが……。


 視聴者のコメントを聞き流しながら、不気味な沈黙を続ける日本調査団について、思案を巡らせた。



================================================

■「パコリ〇グ」とは?

アカネが考案した性行為を意味する造語

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2025年4月21日 07:10
2025年4月25日 07:10
2025年4月28日 07:10

海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~【配慮版】 フーツラ @futura

作家にギフトを贈る

カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ