ゆずの2人と郷土芸能 異色の「両思い」で完成した大きな「わっか」
ゆずのポップス音楽と、郷土芸能。異なるジャンルの文化が一つの舞台に立った3月26日の「わっかフェス」(三菱商事・朝日新聞社主催、北陸朝日放送特別協力)。異色にも感じられるが、そばで見ていて思ったのは「両思い」だということ。両思いの双方がファンを巻き込んで、会場を大きな「わっか」にした。
わっかフェスは、三菱商事と朝日新聞社が2014~22年に東北で開いた「復興支援音楽祭 歌の絆プロジェクト」を引き継ぐものとして、23年に始まった。ゆずの出演は24年の秋田開催に続き、今回で2回目だった。
「本物のゆずだ…」
2月の事前交流会から「両思い」は見えていた。出演団体が勢ぞろいしてゆずの前でパフォーマンスしたこの日、ゆずが登場した瞬間、みんな色めきだった。
郷土芸能の各団体は高校生や大学生など若者も多く、「本物のゆずだ……」と落ち着かない様子だった。御陣乗太鼓の方々も「ゆずのお二人が大好きなので、会えてうれしい」と顔をほころばせていた。
ゆずの北川悠仁さんと岩沢厚治さんは、郷土芸能のパフォーマンスをステージ上の席で見守った。太ももをたたいてリズムを取ったり、飛んできた子どもの太鼓のばちを拾ってあげたり、前のめりに楽しんでいた。
その日のインタビューで北川さんは「興味があっても郷土芸能の方と接点を持つのが難しい。わっかフェスという機会をいただいて、自分たちは挑戦できた」と話していた。
また、「若い世代に期待することはありますか」との質問に「彼らがもっとわくわくしたり夢を描けたり、そういう環境を自分たちが作っていくことの方が大切」と答えていた。その姿に、アーティストとして音楽を届けるだけでなく、社会により良いインパクトを残したいという姿勢を感じた。
観客の心身が解きほぐされていく
本番前日のリハーサルでは、コラボステージを演出する北川さんが「今の最高だった!」と子どもたちの頭をなでながら声をかけて、場を盛り上げていた。
そして迎えた本番。前半は郷土芸能の各団体のパフォーマンスだった。直前まで楽屋で無邪気に記念の集合写真を撮っていた子たちが、檀上できらきらしたライトを浴びながら真剣な表情で踊っていた。
印象的だったのは、会場に響く拍手の大きさ。ゆずを見たくて来た人も多いはずだが、みんなが郷土芸能のステージに見入り、心を寄せているのを感じた。割れんばかりの拍手と、演者のみなさんのやりきった表情に、思わず涙が出た。
後半はゆずの2人の出番。ゆずのライブでは恒例の、会場のみんなを巻き込むラジオ体操で始まり、観客の心身を解きほぐしていく。ゆずのファンも、そうでなかった人も、引き込まれていく。
客席埋め尽くす黄色いタンバリン
北川さんが客席に語りかけた。「少しだけ楽しみにしていたんですよ。富山に来たら花粉がないんじゃないか」「花粉があるということは、春が来たということ。春をこえて、夏の曲いってもいいですかー!」
後方の席から見ていると、お客さんのボルテージが上がるにつれ、入場時に配られた黄色い特製のタンバリンが客席の頭上を埋め尽くしていった。楽しんでいるお客さんたちの高揚感が、揺れるタンバリンから伝わってきた。
MCで2人は、「夏色」の「ゆっくりゆっくり下ってく」というフレーズを引き合いに、たとえゆずの名前が忘れられても「この、ゆっくり下ってくやつって誰が作ったんだったけ」と曲が受け継がれていってほしいと、「伝統」になることへのあこがれを口にした。
フィナーレは「栄光の架橋」。北川さんが「みんなで北陸の空にこの曲を響かせたいと思います」と呼びかけ、会場全員で歌った。
異なるジャンルが、互いにリスペクトを持って交わる。壇上にも客席にもバックグラウンドが異なる人が集まる。自分の「推し」を入り口に、新たなジャンルと出会う。
会場に響く拍手を聞きながら、みんなが郷土芸能とゆず、両方に心を寄せているのを感じた。
4月20日、1日限定で無料配信
わっかフェスは4月20日(日)に1日限定でオンライン無料配信します。申し込みはhttps://stagecrowd.live/8837729125/へ。締め切りは同日午後9時(受け付け状況により早く締め切る可能性があります)。視聴可能時間は同日午前0時~午後11時59分です。
ステージの模様はBS朝日で5月4日午後1時~同55分に放送する予定です。
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