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「暇空茜」敗訴&起訴でColabo会見 「ミソジニーの収益化に歯止めを」

小川たまかライター
「暇空茜」起訴状記載の公訴事実

民事訴訟で高裁も「暇空敗訴」、3月には在宅起訴

 一般社団法人Colaboが4月18日に東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を行い、「暇空茜」を名乗る40代男性を訴えた民事訴訟の結果や、男性の在宅起訴を報告した。会見では、男性の起訴が報道されてもなおネット上での誹謗中傷やデマ、メールでの殺害予告などの嫌がらせが収まらない状況が明らかにされた。

 Colabo(代表:仁藤夢乃氏)が、「暇空茜」を名乗る男性による「note」での投稿内容によって名誉を毀損されたとして損害賠償を求めた訴訟について、4月17日に東京高裁(吉田徹裁判長)は一審・東京地裁判決(暇空氏に合計220万円の損害賠償と投稿削除命令)を支持し、男性の控訴を棄却した。

 またColaboは、2023年11月24日に名誉毀損で「暇空茜」を刑事告訴。「暇空茜」は、2024年2月16日に書類送検、今年3月26日付で在宅起訴されている。

 

 起訴状記載の公訴事実は次の通り(原文ママ)。被告人は「暇空茜」こと水原清晃。

 被告人は、一般社団法人Colaboの名誉を毀損しようと企て、令和4年9月9日頃、被告人方において、インターネットに接続できるパーソナルコンピューターを使用し、不特定多数の者が閲覧可能なウェブサイト「note」に「Colaboは10代の女の子をタコ部屋に住まわせて生活保護を受給させ、毎月一人65000円ずつ撤収している」「これね、Colaboが公式にあげてる写真によると、タコ部屋みたいな部屋に3人で住んでて、その3人の家計簿を見ると収入が14〜16万とアルバイトなら高すぎる。しかも額が生活保護費と一致。家賃と光熱費で4万、他に謎の税保険費とかいう25000円が3人同額で支出に計上されている。生活保護はシェアハウスだめとかあるはずだから、それを不正に受給させながら、さらに不正にバイトも裏でお駄賃をもらってColaboの手伝いをしてる。1000円単位だから時給1000円じゃない?で、月に65000円、ヤサ代を徴収してる以外の答えが思いつかない、っていうだけの話なんだよ」「Colaboは家出少女に弁護士を使って役所にカチこんで生活保護をつけ、シェアハウス(タコ部屋)やアパート(自物件)に住まわせて一人月65000円を徴収している。」などと前記Colaboが不正な活動を行っているかのような内容の文章を投稿し、これらを不特定多数の者に閲覧させ、もって公然と事実を摘示し、前記Colaboの名誉を毀損したものである。

起訴罪名及び罰条

名誉毀損 刑法230条1項

「殺害予告やレイプ予告は毎日」「ミソジニーの収益化に歯止めを」

 会見でColabo代表の仁藤夢乃氏は民事訴訟の高裁判決について「暇空敗訴ということで、当然の結果ではありますが私たちの活動に会計不正などがないこと、暇空茜による発信が事実を歪曲して行われたデマであることが引き続き認定されたので良かったです」としたものの、「220万円の賠償を命じられたのは暇空には何の痛手にもなりません」と、「暇空茜」が2億円以上のカンパを集めたと発信していることや、裁判書面のnoteでの販売などで収益を得ていることに懸念を示した。

4月18日に司法記者クラブで行われた記者会見の様子
4月18日に司法記者クラブで行われた記者会見の様子

 また、現在でもColaboへのデマや誹謗中傷が続き「Colaboを攻撃すると注目されて儲かることを他の加害者たちも学んでいる」「殺害予告やレイプ予告は毎日あります。嫌がらせのメールも1日に数万件、来続けています」と被害が止まらない状況を明らかにし、「ミソジニー(※)の収益化に歯止めをかける判決にはなっていない」「デマや差別、ミソジニーの収益化に歯止めをかける議論や法整備が必要です」「刑事訴訟においては、実刑判決が下されることを強く望んでいます」と訴えた。(※)女性嫌悪。「家父長制や女性差別に抗おうとする女性への制裁欲」とも言われる。

 弁護団は、暇空氏が起訴の翌日に緊急ライブを行い、その動画に多額の「投げ銭」が集まっていたことを確認したという。

 代理人の一人、太田啓子弁護士は「ライブ配信のスパチャはざっくり数えて40万円ぐらい集まっていると思います。(暇空氏の)ツイートを見ると、カンパが500万円ぐらい増えたと。これでは罰金刑や執行猶予の判決でも(誹謗中傷は)止まらないだろうと思っています」「(Colabo側は)民事裁判で全戦全勝。起訴されたら萎縮して止まるかと思いきや、起訴されたことも収益の道具にしている。彼(暇空氏)は自分は被害者であると思っている。公金不正について調べていただけなのに、一般人に過ぎない自分を弾圧していると被害者ポジションに入る」と話し、「(この裁判などの経緯について)知っている人は知っているけれど、全然知らない人には見えていない現象だと思いますので、ぜひ広く報道して本質的な議論の喚起をお願いしたいと思っております」と訴えた。

 Colabo側による会見にあたっての声明(全文)は次のとおり。※改行は筆者による

      「暇空茜」こと水原清晃の起訴にあたっての声明 

                     2025年4月18日

                     一般社団法人Colabo及び仁藤夢乃弁護団

 Colabo及び仁藤夢乃代表理事に対し、2022年の夏からインターネット上で膨大な誹謗中傷を繰り返している「暇空茜」こと水原清晃が、名誉毀損罪で在宅起訴された(2025年3月26日付)。公判期日は未定である。罪状は、暇空が2022年9月9日に公開したブログ(note)で、「Colaboは10代の女性を3人部屋(タコ部屋)に住まわせて生活保護を受給させ、毎月1人65000円ずつ徴収している」などと、Colaboが不正な活動を行っているかのような内容の文章を投稿したことにより、Colaboの名誉を毀損したとするものである。

 Colabo及び仁藤は、このnote記事を含む暇空の投稿が名誉毀損にあたるとして提訴し、既に2024年7月18日付東京地裁判決は暇空に対し220万円の損害賠償を命じている。2025年4月17日付東京高裁判決もこれを維持した。他方、違法とされた2022年9月9日付note記事を台本とする2022年9月24日付の動画再生回数は128,452回(2025年4月17日現在)にのぼる。

 暇空による膨大かつ執拗な誹謗中傷攻撃は2年半にも及ぶ。Colaboが関わってきた若い女性たちは、虐待や貧困に苦しんできた背景を持ち、Colaboとつながることで居場所を見出し将来に向けて歩もうとしているが、暇空のデマ攻撃は、このような若い女性たちの健康や生存に関わる支援活動にまで甚大な悪影響を及ぼした。到底許すことができない悪質な犯罪行為である。

 暇空は民事訴訟では自身が原告となった訴訟も含めて大量の敗訴判決を重ねているが、これによっても暇空による誹謗中傷はとどまる気配もない。暇空には違法行為に関しておよそ一切の反省もみられず、民事訴訟の場でもインターネット上でも、以前と同様、自身を、公金不正疑惑を追求していると位置づけ、尋問が採用されてもなお、一切法廷に出てくることはなかった。

 暇空は、自身の行動を批判したColabo代理人弁護士2名やネットユーザーを何人も訴えるなどし、敗訴を重ねている。暇空は、神原元弁護士が、2022年11月29日の提訴記者会見において、暇空の行動について「権利濫用」「女性差別」等と批判したことに関して、名誉毀損として提訴したが、東京地裁判決は暇空がColaboの関係者に対して意図的に、相当程度の精神的苦痛を与えているという事実も暇空がColaboの関係者に対し精神的苦痛を与える目的をもって東京都に対する情報開示請求及び住民監査請求を行ったことも真実、暇空の情報発言の動機が女性に対する差別意識や嫌悪に基づくと述べたことには真実相当性がある、暇空による情報開示請求及び住民監査請求が「権利濫用」との指摘も意見論評の範囲で適法と結論付けた。また、暇空は、太田啓子弁護士がエックスにおいて「#暇アノン」との言葉で暇空を批判したことについても提訴したが、これに違法性はないとし暇空の請求を棄却する判決が確定している。それでもなお、暇空はまったく自身を省みることはない。それどころかむしろ自分は何か弾圧されているとの被害者意識をより一層募らせているようにさえみえる。

 更に重要なことは、暇空は、違法行為の遂行により多額の収益を得ているということである。

 暇空は、Colaboによる民事訴訟提訴の1週間後にnoteで「今回の戦いへのカンパを募集します」としてロ座振込によるカンパをネットで呼びかけ、同人によればその金額は総額204,193,484円にのぼる(2025年4月1日現在)。他にも暇空はnoteにおける訴訟書類の販売やYouTubeでの投げ銭などによっても収益を得ている。暇空は、2025年3月27日のYouTube動画で自身が起訴されたことを報告し、コメント欄には視聴者からの「応援しています」などのコメントと共に投げ銭が多数記録されている。暇空は3月28日には「カンパほぼ500万円ほど増えてました」とエックスに投稿しており、3月29日のYouTube動画では起訴状の画像を配信し、やはり多数の投げ銭が記録されている。これは、起訴をネタにした動画拡散によってカンパが増額したということを意味する。暇空の場合、民事訴訟のみでは到底違法行為を止めることはできず、更には起訴さえ何らの抑止にもなっていないことは明白である。

 このような状況では、有罪判決が下されても罰金刑や執行猶予判決では、暇空による誹謗中傷攻撃は今後も止まらないことが容易に予想される。暇空が、違法行為を含む誹謗中傷の拡散によってきわめて高額な収益を得ていることは、今後の再犯を強く基礎づける事情である。Colabo及び仁藤としては、この刑事訴訟において暇空に対し可能な限り厳しい処罰が下されることを強く求める。同時に、暇空の誹謗中傷拡散を支えてきた社会のありようについても議論が喚起され、同様の被害に苦しむ者が今後生まれないようにするためのあらゆる対策が講じられることを願うものである。

Colaboと「暇空茜」関連の主な訴訟結果 

※記者会見配布資料を元に筆者要約・追記

(1)(原告)暇空茜 (被告)のりこえねっと

【結果】暇空敗訴(2023年8月24日東京地裁)※確定

【論点】被告は画像の著作権者か

【結論】被告は画像の著作権者

判決文へのリンク

(2)(原告)暇空茜 (被告)伊藤和子弁護士

【結果】暇空敗訴(2024年2月6日東京地裁/同年6月20日東京高裁)※確定

【論点】被告による「暇空と同じ。とんでもない差別」は名誉毀損または名誉感情侵害か

【結論】名誉毀損にも名誉感情侵害にも当たらない

判決文へのリンク1

【判決文へのリンク2】

(3)(原告)Colabo・同代表仁藤夢乃 (被告)暇空茜

【結果】暇空敗訴、合計220万円の賠償命令(2024年7月18日東京地裁/2025年4月17日東京高裁)

【論点】被告による「タコ部屋に少女を住まわせ、生活保護を不正受給させた」などの言及は事実か

【結論】事実ではなく、名誉毀損に該当

【判決文へのリンク1】

【判決文へのリンク2】

(4)(原告)のりこえねっと (被告)暇空茜

【結果】暇空敗訴、合計110万円の支払命令(2024年8月1日東京地裁/2025年1月30日東京高裁/2025年4月11日上告却下)※確定

【論点】被告の行為が著作権侵害及び著作者人格権侵害に該当するか

【結論】著作権侵害及び著作者人格権侵害に該当する

【判決文へのリンク】

(5)(原告)暇空茜 (被告)太田啓子弁護士

【結果】暇空敗訴(2024年9月18日東京地裁/2025年3月13日東京高裁)※確定

【論点】(1)被告による「暇アノン」は侮辱か(2)被告による批判投稿のリツイートは平穏生活権侵害に当たるか

【結論】(1)(2)ともに否定

【判決文へのリンク】

(6)(原告)暇空茜 (被告)神原元弁護士

【結果】暇空敗訴(2024年9月26日東京地裁/2025年3月25日東京高裁)※確定

【論点】(1)被告による「大量のデマ」「サイバーハラスメント」などの発言は名誉毀損か(2)同「女性差別」「ミソジニー」発言は名誉毀損か(3)同「住民監査請求等は合法的嫌がらせ」発言は名誉毀損か

【結論】(1)(2)(3)とも否定

【判決文へのリンク】

(7)(原告)伊藤和子弁護士 (被告)暇空茜

【結果】暇空一部敗訴、11万円の支払命令(2024年11月18日東京地裁)※確定

【論点】(1)被告による「税金チューチュー」「公金チューチュースキームをするナニカ」などの投稿は名誉毀損か(2)被告がYouTubeに原告の画像を投稿したことが肖像権侵害に当たるか

【結論】(1)原告個人に対する批判とまでは言い切れないなどとして名誉毀損を認めず(2)肖像権侵害に当たる

【判決文へのリンク】


(8)(原告)暇空茜 (被告)望月衣塑子記者

【結果】暇空敗訴(2024年12月26日東京地裁)

【論点】(1)Colaboについて「生活保護ビジネス」など原告が示した事実は真実か(2)原告の誹謗中傷の発信回数として被告が述べた内容は名誉毀損に当たるか

【結論】(1)原告の示した事実は真実ではない(2)被告の発言は真実相当性があり、名誉毀損に当たらない

(9)(原告)暇空茜 (被告)勝部元気

【結果】暇空敗訴(2025年2月21日さいたま地裁)

【論点】(1)被告の記事により、原告が大量の嫌がらせ投票に関与した事実が摘示されていると言えるか(2)「暇アノン」との文言の使用自体が原告の名誉感情侵害として違法と言えるか(3)原告が「令和5年に最も女性蔑視、女性嫌悪的な言動をした者(ミソジニー・オブ・ザ・イヤー2023)」投票1位になったことをネットに投稿することは侮辱として違法か

【結論】(1)言えない(2)言えない(3)違法とは言えない

【判決文へのリンク】

(その他)

(原告)暇空茜 (被告)東京都 ※Colaboは補助参加

【係属中】住民訴訟が5件が係属中

【論点】東京都はColaboを受託者とする若年被害女性等支援事業または補助金(DV交付金)において違法な支出をしたか


4月17日、東京地裁前
4月17日、東京地裁前


※記事内の写真は全て筆者撮影

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ありがとうございます。
ライター

ライター/主に性暴力の取材・執筆をしているフェミニストです/1980年東京都品川区生まれ/Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット大賞をいただきました⭐︎ 著書『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)、『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)/共著『災害と性暴力』(日本看護協会出版会)『わたしは黙らない 性暴力をなくす30の視点』(合同出版)/2024年5月発売の『エトセトラ VOL.11 特集:ジェンダーと刑法のささやかな七年』(エトセトラブックス)で特集編集を務める

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