物価高騰や米トランプ政権の関税強化に対する経済政策を巡り政府・与党が迷走している。
石破茂首相は当初週内にも補正予算案編成を指示するとみられたが、審議難航が予想され今国会は断念したという。
代わりに本年度予算の予備費を活用し、夏の電気・ガス代補助などを検討する方向だ。
経済対策は夏の参院選に向けた政権浮揚の思惑があからさまに映り、一時浮上した国民一律現金給付は世論から「ばらまきだ」との批判を浴びていた。
そもそも現行の供給不全によるインフレと、高関税に伴う外需減退では対応は異なろう。政権の軸足が定まらない一方、野党を中心に消費税減税案が出ており議論は収拾しそうにない。
野党も選挙目当てで浮足立てば国民の不安は増す。中長期的展望に立った戦略を求めたい。
林芳正官房長官はきのうの記者会見で補正編成を否定し「あらゆる政策を総動員し物価高対策に取り組む」と述べた。
電気・ガス代補助は2023年1月に始まり、いったん終了後に昨夏と今冬再開した。今回は6~8月実施の見通しだ。
直接家計を補塡(ほてん)するのでなく電力・ガス会社に補助する手法である。だが北海道電力が3月期連結の純利益予想を470億円に上方修正するなど電力各社は業績好調だ。経営努力を怠りかねない補助には問題が多い。
米価高騰対策も浮上するが、進行中の政府備蓄米放出では対象がJAなど集荷業者で、店頭価格は高値のままだ。供給サイド丸投げを見直すべきだろう。
デフレ脱却を急ぐあまり政府はインフレへの危機感が薄いように見える。消費者庁に3年前作った「便乗値上げ情報窓口」も成果は一向に示されない。
トランプ関税で円高に誘導したいのが米政権の思惑だ。日本では輸入価格が下がるはずなのに、中小企業への資金繰り支援を強化すれば金融緩和で逆に物価が上がる恐れもある。インフレ対策の効果を相殺する。
税と社会保険の国民負担率は約46%で、物価高で税額が上がる「インフレ課税」への不満も大きい。国民1人5万円程度の現金給付と同規模の財源で消費税率を2.5%下げられるとの民間試算もある。消費するほど減税効果が高いという。
ただし消費税10%引き上げ決定の際、自公と当時の民主党は増収分を年金、介護、子育てなどの財源に充てるとしていた。なし崩しに撤回はできまい。
場当たり的な財政膨張は次世代に負担を先送りする。税財政改革には精緻さが必要である。
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