データマネジメントやデータ整備の内製化を妨げる要因は何か
誰がやるのか、だけが問題だ
データを使うのであればデータマネジメントやデータ整備を避けることはできない。「やる・やらない」の選択肢は存在せず、どのぐらいやるのかはデータのニーズに応じて決まる。これは前提である。
残る問題は「データマネジメントやデータ整備を誰がやるのか」である。
データマネジメントやデータ整備では企業独自のデータへの理解が必要になる。また、社内外の関係者とのコミュニケーションも重要だ。そのため、筆者の経験では(業務委託であっても)長くいればいるほど仕事がやりやすくなってパフォーマンスが上がる。
したがって、頻繁に人を入れ替えるよりも、同じ人が継続した方が良い。業務に深く入り込むには、技術支援だけを行う外注よりも、内製化が望ましい。
ところがデータマネジメントやデータ整備には独自の問題が数多くあるために内製化を難しくしている。どのような要因があるのかを本記事では検討する。
データマネジメントやデータ整備の内製化を妨げる要因
データマネジメントやデータ整備を内製化しようとした時に考えなければならない問題を挙げると次のようになるだろう。
採用
育成
評価
モチベーション
キャリアプラン
スキルが比較的ポータブル
採用
採用しようにも圧倒的な供給不足である。大きな理由は2つあり、データの仕事自体の歴史が浅く専任での経験者がいないことが根本にあり、さらにデータマネジメントやデータ整備に興味を持っている人が少ない。
また、採用したい企業側もどのような募集要項でどんな人がいいのかがわからないためにマッチングがうまくいかない。
育成
経験者がおらず採用もできない状況では育成しようとしても行える人がいない。独学させるにも知識が体系化されていないので手探りになるため非効率であり、仕事の抜け漏れが発生する。
評価
定量的に測れそうな基準は例えば次のようなものが思いつく。
対応した抽出依頼の数
BIやSQLのアクティブユーザー数
構築したデータマートの数
解決したエラーやトラブルの件数
作成したメタデータ文書の量
これらは定量的に測ることができるが、「データを使いやすくして分析に貢献する」という本来の役割を評価する指標にするにはごまかしが容易すぎる。
では分析への貢献をどのように測るかだが、筆者にはいまだにわからない。
モチベーション
洞察やエンジニアリングとは違い、コミュニケーションや調整が中心となる。これは前後の仕事とは大きく違うスキルが求められるということだ。
分析するためのスキルを磨いてきた人にとって他人の分析のためのデータの準備をすることや、エンジニアにとって技術ではない方法で問題を解決することは一般的に言ってあまり興味がない。興味を持つ人もいないこともないが、筆者の知る限り圧倒的に少数派である。
なので人がいないからと兼務をさせられてモチベーションが下がるという話はよく見聞きする。兼務と言いつつ実際にはデータマネジメントやデータ整備が仕事の大半を占めてしまえば転職のリスクが高まる。
キャリアプラン
データマネジメントやデータ整備のキャリアとして考えられるのは、より全社レベルでのデータに関与することか、チームのマネージャーになることだ。
小さな企業では最初から全社レベルのデータに関与することになるし、仮にマネージャーといっても、数人規模に留まることが多いだろう。
大きい企業でもマネージャーにはなれてもそれ以上の役職は難しく、重要なデータに関与できるようになるとしても長い時間がかかるだろう。
となると、提示できるキャリアプランが十分にあるとは言えない。それでもいい人を取るか、他に何か別のことを提示するしかない。
スキルが比較的ポータブル
先ほど書いたように、企業独自のデータへの理解が必要になるし、長くいればいるほど仕事がやりやすくなる。その一方で、分析者に比べると事業内容への理解はさほど必要ない(まったくないとコミュニケーションが成立しなくなる。あくまでも、分析に比べるとである)。
データマネジメントやデータ整備のスキルはドメイン知識とは切り離せる部分が多く、比較的ポータブルであるといえる。
データマネジメントやデータ整備の需要はこれからまだ増えてくる上に供給はあまり増えないだろうということを考えると、スキルが比較的ポータブルであることは育てた新卒や若手が業務に慣れたころに流出して定着しないリスクがある。
「やる人がいない内製化」に、どれだけの企業が耐えられるか
内製化についての筆者の考えは、「データを使うことが避けられない以上、データマネジメントやデータ整備をやらないわけにはいかないが、育成も採用も、キャリアや報酬以外の何かを提供するのも大半の企業には難しいのだから、最初から外注を組み込むことを前提にした組織体制と業務設計が必要なのではないか」というものだ。
手始めに、まず内製化するのにどういった問題があるのかを概観した。今後はそれぞれの課題をもう少し掘り下げていきたい。
あわせて、外注をどう使っていくのがよいのかについても書いていくつもりだ。外注される側の立場から、どうすればパフォーマンスが出せるか、どんな設計だと“ずる”ができてしまうか、人の入れ替わりにも対応しやすくなる工夫は何か、そんな視点からの話もしていきたい。需要があれば先にこちらに着手するが、どうなんだろう。



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