TS変態魔法詠唱者がオラリオに行くのは間違っているだろうか


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作:シーバくん
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第4話


短いです。


 

あれから私はお酒を頼んでは飲み干してを繰り返していた。私はコミュ障ではないとはいえリアルの事など好き好んで話したくないので、

基本的にはフィンさんやリヴェリアさんに話を振ってもらう時以外は私から彼らの話を引き出していた。

 

「へぇ、そんなモンスターが居るんですねぇ。」

 

「ああ。あれは初見の時かなり苦戦したな……」

 

と、彼らの潜るダンジョンの話も聞けるので色々とタメになる。今後私も潜るかもしれないし。

 

「ところで、その格好って事は君は冒険者だと思うんだけど、何処のファミリアに所属しているんだい?」

 

……まあ、私の服装は如何にも魔法詠唱者(マジック・キャスター)、此方では魔道士だったか。そのような格好なのでこのような質問が来るのも必然か。

 

「ええと、私は一応戦えますが、ファミリアには所属してないです。」

 

一応先程オラリオに来たばかりとは言ってあるものの、こんな格好をしていれば当然ファミリアに所属していると思われる。

個人的には、旅人っぽくも見える服装だと思うんだけど……彼らはそうは思わなかった様だ。

 

「そうなのかい?……戦えるとは言うけど、実際どのくらい戦えるんだい?」

 

「私ですか?……これでも、対人戦に限ればかなり上澄みだと思いますよ。対レイドボスなんかも、よく助っ人として呼ばれてましたし。」

 

魔法詠唱者(マジック・キャスター)というのは、戦士系のプレイヤーに比べると数が少ない。特に魔力系に特化しているプレイヤーは。

ユグドラシルでは信仰系の魔法詠唱者(マジック・キャスター)の方が人口が多かった位だ。……集団戦等では真っ先に狙われるけど。

とはいえ、魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)は広範囲高火力の攻撃が出来るのでボスの残り体力を削り切る役割、その他バフ要員としてかなり重宝される。

 

「ハッ!その上澄みってのも、レベル1ではって話だろォ?所詮その程度の力じゃダンジョンには通用しねェよ。」

 

ああそうか……レベルの換算が此方では違うんだったわね。とはいえ、何故いきなり喧嘩を売られないといけないのか。

 

「先程お話した様な気もしますが、私はファミリアに所属していないので恩恵は受けてませんよ?」

 

「ハッ!なら尚更だ。調子乗ってすぐくたばる雑魚共は山ほど見てきた。テメェもそうなりたくなかったら冒険者なんて辞めちまえ。」

 

口調は喧嘩腰だけど、遠回しに私の身を心配してる様に聞こえる。……なるほど。この子はツンデレなのか。

 

「不器用なんですね、あなたは。」

 

「ハァ?今の俺の話を聞いてどうしてそんな感想が出てきやがる。頭沸いてんじゃねぇのかテメェ?」

 

それにしても口悪いな。

 

「やめろベート、客人だぞ。」

 

フィンさんが宥めるが、酒が回っているのかベートと呼ばれた青年はフィンさんに噛み付いて、リヴェリアさんが頭を抱えている。

 

「一つ言っておきますが、恩恵が無くても私はあなたより強いですよ?」

 

私がそう言うと、辺りはシーンと静まり返った。

 

「……あァ?恩恵も受けてねぇテメェが俺より強いだと?冗談にしてもタチが悪りぃぞ。」

 

「恩恵がないと戦えないという先入観は良くないですね。私も、こう見えてそれなりの修羅場を潜ってきました。」

 

そこで、先程まで静観に徹していたロキ様が口を挟む。

 

「なぁミラーナたん。自分、それ本気で言っとるん?」

 

「ええ、冒険者とは舐められたら終わりなのでしょう?まだ冒険者では無いとは言え、雑魚というレッテルを貼られるのは困りますので。」

 

そう言うとロキ様は目を瞑って深く唸り出した。

 

「……なあフィン。」

 

「どうした?ロキ。」

 

「ミラーナたん、一つも嘘吐いてへんのや。」

 

と、ロキ様とフィンさんが何かを話し始めたタイミングでベートさんが立ち上がった。

 

「おい、テメェ……それ本気で言ってるんだったら、当然これくらい受け止められるよなァ!?」

 

「おいベート!」

 

なんといきなり蹴りを放ってきた。酔っ払ってるとはいえ、リアルで考えるとかなりやばい事をしている。

次の日には実名付きで報道され、今後就職する事は出来なくなるだろう。相手が富裕層なら一族郎党……どうなるかはお察しだ。

まあ、冒険者の世界では力こそが全てというので、第一級冒険者であれば酒場の喧嘩くらいは見逃されるんだろう。

 

私はその攻撃を座ったまま片手で受け止める。100レベルの身体能力を以てすればこの程度の攻撃は何の痛痒も感じない。

……ごめん嘘、少し痛い。

 

「なっ!?」

 

「だから言ったでしょう?私は強いんです。」

 

そう言うとベートさんはムキになって更に追撃をしようとしてくるが……

 

「ティオネ。」

 

「はい団長!」

 

フィンさんが一声掛けると、ティオネさんが即座に動き出してベートさんを拘束する。

 

「おいっ!バカゾネス!離しやがれ!」

 

「うるさいわね……あんた、団長の手を煩わせてんじゃないわよ!このまま絞め殺すわよ?」

 

「グガァ!」

 

……何なんだろう、このファミリアはとても愉快な方々のお集まりの様ですね。

 

「本当に申し訳ない!」

 

そう言ってフィンさんが頭を下げる。横でティオネのベートに対する絞め技の威力が跳ね上がった。

 

「まあ特に被害はないですし、私はいいんですが……普段からあの調子で大丈夫なんですか?」

 

「普段はあそこまででは無いんだ。こう言って信じてもらえるかは分からないが。」

 

今回、私に非はない筈だ。特に煽った覚えも無いし、別に鈍感という訳でもない。雑魚雑魚と言われるので雑魚ではありませんよと言ったまでだ。

 

「ミラーナたん、本当に恩恵無しでベートの攻撃受けおったわ。」

 

「ああ。そもそも恩恵がないというのは本当なのか?お前なら分かるだろう?」

 

「嘘やないで。ウチさっき言ったろ?ミラーナたん一回も嘘ついてへんて。」

 

「どんな魔境で育てば手加減しているとはいえ恩恵なしでベートの攻撃を片手で受け止められるんだ。」

 

まあユグドラシルなので。本当に色んな意味でバランスがおかしいゲームでした。

特にワールドの名を冠すモノは大抵イカれていて、他のゲームでいうぶっ壊れが可愛く思えるほどだ。

 

「まあ、私の力の事は置いておいて……流石に私もいきなり攻撃されたので、何か謝礼の品を頂きたいところですね。」

 

「勿論だ。今回の件は下手をすると今まで築き上げてきたロキ・ファミリアとして信頼を失う様な行為だ。」

 

要は謝礼は用意するので、この件を広めないでくれという事か。まあ私が言わなくても、この酒場にいる他の人間が洩らさないとは限らないんだけどね。

 

「そうですね……では宿が無いので、暫くの間ロキ・ファミリアのホームでお世話になっても宜しいですか?」

 

私がそう言うと、フィンさんとリヴェリアさんが顔を見合せて首を傾げた。

 

「そんな事でいいのかい?」

 

「ええ、まだオラリオにあまり詳しくないので、ついでに色々教えて頂けると助かります。」

 

フィンさんと話していると、ロキ様が怯えた様な声を出した。

 

「なぁ、フィン……」

 

「どうした?」

 

「ミア母ちゃん、めっちゃ怒っとる。」

 

ロキ様の視線を追うと、そこには鬼のような形相でこちらを睨む女将さんが居た。

 

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