TS変態魔法詠唱者がオラリオに行くのは間違っているだろうか


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作:シーバくん
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第3話


3日寝れなくて昨日起きたのが夕方で気付いたら就業時間終わってました。……今日このまま出勤だけど、ワンチャンクビか?


 

「おーい!おーい!」

 

「……ハッ!?」

 

おっと危ない危ない、あまりの衝撃に脳がフリーズしてしまっていた。

 

「すみませんヘスティア様。で、ええと……この都市最強の冒険者がレベル7という所でしたね。」

 

まあ流石にユグドラシルのレベル1と此方の世界のレベル1が同じということは無いでしょう。うん、流石に。

 

「もうっ……驚かせないでおくれよ。で、キミはこれからどうするんだい?」

 

どうするか……うん。転移した後の事は色々考えてたけど、全く別の世界という事なら話は変わってくる。今後の方針を決めるのは大事だね。

冒険者として活動するのもいいし、放浪しながら美味しいもの巡りをするのも良し。ま、とりあえず落ち着ける場所を探すかな。

 

「すぐ決めるのは難しいので、それは落ち着ける場所でゆっくり考えようと思います。色々とお世話になりました。」

 

「そうかい!じゃあ元気でね!……ところで、キミ名前はなんて言うんだい?」

 

おっと、神様相手に名乗るのを忘れてしまっていた。リアルだったら相手の不興を買って下手をすると首が飛ぶ所だ。物理的に。

 

「私はミラーナと申します、いつかお礼をさせていただきます。……それでは、失礼します。」

 

「ミラーナ君だね!じゃ、元気でねー!」

 

ヘスティア様はぴょんぴょんと跳ねながら私へ向けて大きく手を振る。……可愛い。ロリ巨乳……アリだな。

というか、私ヘスティア様相手に素を出しすぎたな。改めてロールプレイを徹底しなくては。

私は見慣れぬ街並みを眺めながら、ヘスティア様に頂いたじゃが丸くんを貪る。……これは!?ハッシュドポテトか、うまうま。

 

んー、これからどうしようかなー。とりあえず、お金だな。ヘスティア様曰くオラリオの通貨はヴァリスというらしい。

私の所持金は生憎ゼロ……手っ取り早く稼ぐには、ユグドラシル産のアイテムを売り払う位しか思い付かない。

確かに現実として考えるとユグドラシルのアイテムは色んな意味で頭がおかしい。ヘスティア様に買取をやってる店教えて貰うべきだったかもなー。

 

とりあえず色々冷やかしながら見て回るとしよう。

 

それにしても……でっかいなー。これがバベル。バベルといえば旧約聖書、あまり詳しくはないけどネットで調べられる程度の知識はある。

というか、文字が読めない。何故だか言葉は通じたけど、字が読めないとなると今後間違いなく不自由する。

 

私は、アイテムボックスから流れ星の指輪(シューティングスター)を取り出す。それを指へと嵌める。

 

「I WiSH……私にこの世界の言語を読み書きする力を。」

 

私がそう願うと、周囲の文字は全て私の知っている言語へと翻訳され、文字単体の意味も分かるようになった。

読解する力をとか言うと読めるようになって字は書けないとかいう事態に陥る可能性もあったので、願いは具体的に発言する。

 

続けて……

 

「I WiSH、私を不老不死にしろ。」

 

私の肉体が、何かから解き放たれた様な感覚がした。恐らく寿命が消えたんだろう。まあ、流石に不死にはなっていないと思うけど。

既に指輪にある3つの星の内、2つが色褪せているが問題は無い。

この指輪、私のリアルマネーを使いまくったお陰であと3つ持っている。無駄遣いは論外だが、私の異世界ライフ満喫の為には必要な犠牲だ。

……とりあえず、残りは取っておこう。

 

傍から見れば今の私は奇人だろうが、これで必要な準備は整った。

これでこの指輪の効果が正しく発揮されなかったら私は恐らく発狂していたが、考えすぎだったみたいだ。

私の能力や、ユグドラシル産のアイテムの効果は恐らくナザリックが転移した世界と一緒だろう。

 

よし、考えを纏めると私はバベルへと足を進める。観光を始めようと思ったからだ。その時、誰かに見られている感覚がした。

……攻性防壁外してて良かった。誰だ〜?私を覗き見する不埒者は。

 

私は情報系魔法詠唱者(マジック・キャスター)では無いが、逆探知位は出来る。何せ探知に引っ掛かってくれた相手だし。

 

私は《千里眼(クレアボヤンス)》を使用する。

 

そこに映ったのは……痴女みたいな格好をした綺麗なお姉さん。この人が私を覗いたのか、でもどうして?

とりあえず、お話を聞きに行きましょうか。

 

「《転移門(ゲート)》」

 

 

 

 

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バベルの最上階。フレイヤ・ファミリアの主神、フレイヤの私室。

 

フレイヤはいつも通り趣味の人間観察に励んでいた。フレイヤは美の女神であり、人間の魂が見える。そして魂の色までフレイヤは見ることが出来る。

くすんだ色のビー玉の様な魂があれば、輝く宝石の様な綺麗な魂も存在する。似た魂は存在するが、一つとして同じものはない。

 

今日も今日とて、フレイヤは綺麗な魂を探してオラリオを見下ろしていた。ふと、じゃが丸くんを食べながら歩く娘を見つけた、

容姿はローブに隠れていて確認出来ないが、その魂はフレイヤをして見た事がない様相をしていた。

間違いなく一つの魂だ。けれど、三重になっていて、全ての層の色が違う。

 

一番深い層は、平凡だが透き通っている。所々くすんではいるが、若く、懸命に今を生きる者の魂だ。

二層目は、暗く、澱んでしまってる。落ちぶれた冒険者や、ならず者達に多い魂。そして、表層は明るく、輝きに満ちている。

奥の魂と比較すると、一際輝いて見える。

 

魂というモノは、環境によって濁ったり、輝いたりする事はあれど、生まれてから死ぬまで、基本的に変わらない。

それが、何故この様な全く違う3人を混ぜ合わせた様な魂になるのか。……興味深い。

天界にいる神が魂を浄化せず、そのまま別の器に入れ込んだとでもいうのだろうか。

 

だとしても、あの様にはならないと思うけど……

 

と、フレイヤなりに見たことの無い魂がどのような人生を送ってきたのか、考察を始めようとする。

 

「フレイヤ様、お下がり下さい。」

 

後ろに控えていたオッタルが、大剣を抜いて虚空を睨む。フレイヤには何も見えなかったが、オッタルの尋常ではない様子から素直に従う。

その数秒後、オッタルの睨んでいた空間が歪み、漆黒の闇を纏った球体が現れた。

その中から、一人の女が現れる。

 

黒いローブを身に纏い、美しい所作でフレイヤの前に立った。

 

「……私を覗いたのは貴女?綺麗なお姉さん。」

 

フレイヤが、先程見た珍しい魂の持ち主だと気付く。

 

「ええ、ごめんなさいね。気に障ったかしら?……人間観察が趣味なの。ところでアナタ、私のモノにならない?」

 

「私のモノっていうことは、お姉さん神様なのね。一晩だけだったらいいよ?」

 

予想外の反応にフレイヤは微笑みを零す。

 

「オッタル、どうやら敵対する気はないみたい。下がっていいわよ。」

 

「はっ……!」

 

オッタルは言われた通り構えていた剣を背負い直し、フレイヤの後ろに控える。

 

 

 

 

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なーんだ。やっぱりレベル70相当の奴居るし、ユグドラシルでのレベル7では無いっぽいわね。

たった今、私を覗いたお姉さんの所に来たけど……趣味が人間観察の人とか居るんだ。

 

「アナタのこと……色々と教えてくれないかしら?」

 

今私は、綺麗なお姉さんに夜のお誘いを受けている。断る気はさらさら無い。美人だし、この期に色々とオラリオについて教えて貰おう。

 

「お姉さん、名前を教えて。」

 

「私はフレイヤ。美の女神フレイヤよ。」

 

美の女神……通りで美しい訳だ。

 

「私はミラーナ。よろしくねフレイヤ様。」

 

そう言うとフレイヤ様は私の肩にもたれかかってくる。あっ、いい匂い。

 

「あ、あのフレイヤ様?」

 

「ん?何かしらミラーナ。」

 

……いや、私としてもこの美の女神様とハッスルするのは吝かではないというか寧ろバッチコイなのだけど。

 

「その、見られてますよ?」

 

推定レベル70の獣人の大男。ガッツリ此方を見ている。

 

「あら……見られながらは嫌かしら?」

 

どうやらフレイヤ様は私より上級者らしい。流石美の女神。

 

「……コホン。ではお楽しみはまた今度という事で。」

 

「あらあら、恥ずかしいのね?可愛いわ。」

 

何だか恥ずかしくなって私はこの世界に初めて来た際の城壁の上へと転移した。

 

 

 

 

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うむうむ、やはりここからだと色々と見える。やっぱり、バベルの方を見ておきたいな。……先程の醜態は忘れる事にしたのだった。

 

「《飛行(フライ)》」

 

前と同じ様に、私は城壁から浮遊してそのままバベルへと向かう。目立つけど、まあいいでしょ。この世界にも飛べる人くらい居るだろうし。

 

「おい!あれ見ろ!空飛んでるぞ!」

 

「すげぇ〜!魔法なんだろうなー良いなぁ。俺も空飛んでみてー。」

 

ふふん。民衆の声が私の自己顕示欲を満たしてくれる。

さて……そのままバベルへと移動し、着地をすると私は民衆の視線を集め過ぎた事に気付いた。

 

もしかして、この世界だと飛べるのってかなり珍しい?……まあいいや。

 

そのまま魔石で稼働するエレベーターで移動し、武器や防具の置いてあるエリアまで移動出来た。

ヘファイストス・ファミリア?ほえー。入口にあった名前のファミリアだ。

 

私は置いてある武器たちを観察する。

 

道具上位鑑定(オール・アプレイザル・マジックアイテム)

 

……待って嘘でしょ、何の付帯効果もない!?

まあ控えめに言ってゴミだけど、そもそもここら一帯にある武器防具は見た目からして新人の作った物でしょうし、仕方ないか。

何でもユグドラシル基準で見るのは辞めた方がいいわね。

 

それからある程度エリアを移動し、色々と武器や防具を見ていると、そこそこの武器を見付けた。

不壊属性(デュランダル)なる効果、武器が壊れない。これはまあいいけど……それ以外の付帯効果無しか。

 

耐久特化の武器ね……ユグドラシルの武器も壊れない訳じゃないけど、意図して壊そうとしない限りは基本壊れない。

まあ耐久値はあるから手入れは必要だけど。特に私の武器、レーヴァテインは持ち手の部分を破壊されない限りは壊せない。

サブ武器のアルセイスの結晶槍はレーヴァテインみたいな特性は無いけど、今まで一度しか壊れたことはない。……正確には壊されたが正解か。

 

この辺の武器は伝説級(レジェンド)クラスの性能はあるけど、特攻や属性が無いから、正直素材の無駄遣いだ。

というか、このファミリアなら武器とか買い取ってくれるんじゃなかろうか。もしくは素材。

 

という事で、店員さんに一声掛けると、買い取り用の部屋へと案内された。

 

 

 

 

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私はインベントリの中に何があったかと手を突っ込むと、店員が目を見開いて此方を見ている。まあ、今更隠すような事もない。

 

これはどうだろう。大太刀【大蛇丸】性能はまあ私からしたらそこそこだけど、この世界では特殊効果のついてる武器その物が珍しそうだし。

武器の名前がね……あの嗄れ声のキャラを彷彿とさせる。というかそのまんまだし。炎属性の武器で、性能は私の【レーヴァテイン】の完全下位互換。

まあこっちは物理属性もついてるけど、炎無しの素の火力はお察しだ。

 

「これは幾らになるかしら?炎属性の武器よ。」

 

「……炎属性のついた武器、ですか。」

 

……まさか買い取れないとか言わないわよね?流石に売れるはず。性能はそこそこだよ!

店員は判断に迷ったのか、上の者を連れてくるといって何処かに行ってしまった。

 

こっちのが良かったかな?いやでもデザインが残念すぎて売れなさそう。ネーミングも終わってるし。

 

「……あなたかしら?炎属性の付いてる武器とやらを持ち込んだのは。」

 

むむ、何奴……って神か。よく見ると神って独特のオーラ纏ってるから何となく分かってきた。

 

「ええ。是非買い取って欲しくて。」

 

赤髪に眼帯……眼帯か。私の同士なのか。

 

「私はヘファイストス。このファミリアの主神よ。あなたは?」

 

「私はミラーナです。それで、この武器は幾らくらいになるのでしょうか?」

 

早速本題に入ると、ヘファイストス様は腕を組んで難しそうな顔をしている。

 

「……これ、本当にあなたの物?あなた、魔道士でしょう?」

 

「こう見えて、私は武器もある程度扱えます。まあその大太刀は使いませんが。」

 

魔女が大太刀振り回すのは解釈不一致過ぎる。剣と槍ならいいのかというのは言わないお約束だ。

 

「……ん?この素材、何を使っているのかしら?」

 

「これは確か、主な素材はヒヒイロカネの筈です。」

 

素材はともかく製造方法をミスったらしい。データクリスタルも無駄になったという。……南無。

 

「ヒヒイロカネですって!?極東の希少な精製金属じゃない。あなた、何処から来たの?」

 

「ユグドラシルのヘルヘイムから。」

 

「ユグドラシル……まあいいわ。とりあえずこれに値をつけるとしたら、そうね。希少金属なのも加味して、5000万ヴァリスって所かしら。」

 

5000万……5000万!?

 

「え……文字通りの5000万?」

 

「ええ。私なら、この鉱石その物があればもう少しいい武器を作れるんだけどね。」

 

……そうか、鍛冶と炎の神。私でも知ってる。ん?鍛冶の神であれば、ユグドラシルを超える武器を作れるのでは!?

 

「ヘファイストス様、これを超える武器を打てますか?」

 

そう言って、私はサブ武器の【アルセイスの結晶槍】を取り出す。

槍の見た目は黒の柄に白のラインがクロス状に入っており、穂先はアメジスト色の結晶になっている。

 

「……これは。凄まじいわね。特殊な効果も付いてる。」

 

これには、装備時に移動速度上昇と斬撃属性と刺突属性の効果を併せ持つという特殊効果が付いている。

正直、特殊効果の方はあまり強くない。けど、他にも隠れた特殊効果が一つある。使う機会は来ないと思うけど。

 

神の力(アルカナム)が使えないとはいえ、時間さえあればこれ以上の物も作れるわ。」

 

「流石は鍛冶の神……ですね。では」

 

私はアイテムボックスからヒヒイロカネとアポイタカラのインゴットを取り出す。

 

「先程の武器の買い取り額は3000万で大丈夫ですので、残りで武器を打って頂けませんか?」

 

「……これ、ヒヒイロカネと何?」

 

「これはアポイタカラです。余りは全て差し上げますので……どうでしょう?武器を打って頂けますか?」

 

ヘファイストス様は腕を組んで目を瞑ると少しの間黙り込んだ。

 

「……ええ、その鉱石の余りだけでも間違いなく5000万以上の価値はあるわ。その依頼、受けましょう。」

 

私からしてもかなり貴重な金属なので、流石に鍛冶の神ともなればその価値は分かるだろう。

 

「じゃあ、とりあえず3000万持って来るから……ここで待っていてくれる?」

 

「分かりました。」

 

ヘファイストス様が出て行くのと同時に、私はソファに腰掛ける。暫くすると扉が開いて、先程の店員がお茶を持って来た。

 

「どうぞ。」

 

「ありがとう。」

 

お茶請けまで付いてきた。

 

「待たせたわね。」

 

お茶を飲みながらのんびりしていると、ヘファイストス様がパンパンの布袋を三つ程持ってきた。

 

「……はぁ。流石に重いわ。これ、3000万ヴァリスね。」

 

「ありがとうございます。」

 

まあ、大手ファミリアだしわざわざ中身を確認する必要も無いでしょう。

 

「じゃあ、本題に入りましょう。まず、あなたは剣を使うの?それとも槍?」

 

「一応、剣も槍も扱えますが、メイン武器は剣です。」

 

「剣ねぇ……片手剣?」

 

これが難しい。片手剣は片手剣でもレーヴァテインは特殊な武器なので武器種の枠に収まらないのだ。

 

「まあ、片手剣の範疇であれば扱えます。ロングソードでもブロードソードでも。」

 

「分かったわ。悪いけど、少なくとも一ヶ月程時間を貰うわよ。素材から調べなくちゃいけないからね。」

 

「分かりました。……よろしくお願いします。」

 

ふふ、新しい武器。どんな物が出来るのか今から楽しみで仕方がないわ。私は軽い足取りでバベルを出ると今夜の宿をどうするかという問題を思い出した。

 

 

 

 

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「この辺りは歓楽街かー。」

 

私は両刀なので、可愛い女の子もイける。もちろんイケメンも大歓迎。私に睡眠は必要無いので遊び明かそうかとも思ったけど……

ううむ。そういえばじゃが丸くん以外まともな物を食べていない。飲食不要とはいえ、食事を楽しみたいという欲はある。

 

お酒……そうだ!お酒呑みたい!前の前……前前世では飲酒も喫煙もやってたけど、あのクソリアルに生まれてからは当然そんな贅沢は出来なかった。

煙草といえば、似たようなアイテムがあったような。

 

私はアイテムボックスに片手を突っ込む。

 

「あ、これか。」

 

確か商人系のNPCイベントをある程度進行すると貰える使用する事で軽いバフが掛けれる煙管だ。ちょっと吸ってみよ。

 

「ケッホケッホ!」

 

まっっっっっず!なんじゃこれ!レギュラーとかメンソールとかいう枠に収まらない!吐き気するくらい不味い。

まあ、元々私は電子たばことか加熱式たばこ派だったしね。……にしても不味いけど。

たばこは諦めるか……じゃあお酒!酒くらいあるだろ!でもこんな所で酒飲むのもなぁ。

酒ならアイテムボックスに入ってるけど、場の雰囲気を楽しむのも飲酒の醍醐味だ。

 

 

 

 

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という事で酒場にやって参りました!豊穣の女主人というお店だ。かなり人気の店の様で、通りすがりの人に聞いたらおすすめされたので来てみた。

 

「いらっしゃいませニャ!おひとり様ですかニャ?」

 

なんてあざとい語尾……でも可愛い。食べちゃいたい。私はそんな内心をおくびにも出さず返事をする。

 

「はい1人です。」

 

「ではカウンター席にご案内しますニャー!」

 

おお、美人のウェイトレスばっかり。なんという顔面偏差値。さすが異世界。

 

「いらっしゃい!うちは初めてかい?」

 

……どうしてこんなところにレベル60クラスが居るの?都市最強がレベル70相当なら、オラリオだと相当強い筈だけど。

 

「はい、おすすめされたので来てみました。」

 

「そうかいそうかい!どんどん食べて、じゃんじゃん金を落としていってくれよ!」

 

なんて男前なのかしら。姉御属性がこんな所に。これはガガーラン枠で決定……いやあそこまでゴリラじゃないけど。

とりあえず、エールとおすすめされたメニューを頼んでみる。

 

「はい酒だよ!」

 

早っ!……乾杯する相手は居ないけど、まあとりあえず飲むか。周りが賑やかなので寂しく感じる。気分はぼっち。

 

「ぷはぁー!」

 

うめぇー!久しぶりの酒うめぇー!数十年飲んでなかった酒うめー!!!

 

「はいお待たせ!海鮮パスタだよ!」

 

おお……これは、リアルでは食べられなかった新鮮な海の幸をこれでもか盛り付けた大盛りパスタ。

 

「いただきます。」

 

うまー!美味しい……これが、食の楽しみ。思い出す、かつて食事を取れることが当たり前だった時を。幸せだぁ。

パスタを夢中で頬張っていると、暑くなってきたのでフードを脱ぐ。ちなみに、こんな時でもテーブルマナーは癖ついている。

 

「ふぅ……ご馳走様。」

 

いやー、美味しかった。余は満足じゃ。まあ、まだ飲むけど。

 

「女将さん、エールもう一杯ください!」

 

「あいよー!」

 

今は敢えて酩酊状態などに対する耐性を下げるデバフを受けている。まあ無くても酔えると思うけど。……酒なんて、酔ってなんぼでしょ。

 

「ご予約のロキ・ファミリア様のご入店ニャー!」

 

……美男美女ばっかだな。

 

「皆!ダンジョン遠征ご苦労さん!今夜は宴や!思う存分飲めー!」

 

「「「「おー!」」」」

 

……あれがロキ・ファミリアか。一人痴女みたいな金髪の少女が居る。なんだあの格好、エロス。あのアマゾネス二人も大概だけど。

いいなー、私もあれくらいの人数で騒ぎたい。

 

なんて思っていると、若い獣人の男が何か言った途端隣に座っていた白髪の少年が店を飛び出て行った。あの獣人も例に漏れず顔がいい。

 

「なんだぁ?食い逃げか?」

 

「ミア母ちゃんの店で、大それた奴やなぁ!」

 

なんか、こうして1人でお酒を呑んでるのが虚しくなって来た。そろそろ店を出ようかな。

 

「おー!美人さんみっーっけ!」

 

ん?……尻を揉まれている?

 

「ぐへへへ……よっしゃあ!美人な姉ちゃんのケツ揉んでやったでー!」

 

「とても失礼な方ですね。」

 

「まあそう言わんといてやー、なあなあ姉ちゃんウチ入らん?顔がいい子は誰でも歓迎やー!」

 

と、会話している間も相変わらず尻を揉まれている。

 

「そろそろ怒りますよ?」

 

そう言って私は尻を揉んでいる手を軽く捻る。

 

「あだだだだ!ギブ!ギブや!」

 

ようやっと手を離したので私は無視して再び酒を飲んでいると、翡翠色の綺麗な髪のエルフが私の元までやって来た。……なんて美人。

 

「申し訳ない、ウチの主神が迷惑を掛けた。ここでの酒代は私達が持とう。……良ければ向こうで一緒に飲まないか?」

 

 

 

 

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ロキ・ファミリア副団長、リヴェリア・リヨス・アールヴは今日も今日とて酔っ払って女性にセクハラをしている主神の姿を見つけた。

ため息を吐くと急いでロキを連れ戻し、被害にあった客の元まで謝罪に赴く。

 

「申し訳ない、ウチの主神が迷惑を掛けた。ここでの酒代は私達が持とう。……良ければ向こうで一緒に飲まないか?」

 

リヴェリアとしては、ロキ・ファミリアと繋がりを持てる機会をという謝罪の意味での発言だった。

何せ、ロキ・ファミリアと繋がりを持ちたい人間は山ほど居る。だが、繋がりたくて繋がれるほど世の中は甘くない。

今回ロキの被害に遭ったのが、商人などであったなら狂喜乱舞しただろう。リヴェリアには知る由もない事だが、当の本人は別の意味で狂喜乱舞していた。

 

 

 

 

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……え、飲みのお誘い。まさかこの美人エルフさん、私に気があるのでは、というのは流石に冗談だ。

まあ、寂しかったのは事実なので喜んで御一緒させてもらうとしよう。

 

「はい、是非。私はミラーナと申します。貴女は?」

 

「私はリヴェリアだ。よろしく頼む。」

 

リヴェリアさんね。女神にも劣らぬ美貌というのは彼女の事を言うのだろう。

そうして、ロキ・ファミリアの金髪の小人族(パルゥム)とリヴェリアさんの間に招待された。

 

「やあ、僕はロキ・ファミリア団長のフィン・ディムナだ。今回はロキが余計な事をしたみたいで、申し訳ない。」

 

「いえ、お気になさらず。私としても、天下のロキ・ファミリア様と繋がりを持てるというのは喜ばしい事ですので。」

 

天下の、などと言ったが実際のところ私はロキ・ファミリアについてあまり詳しくない。

精々都市を二分するファミリアの一つであるという事と、探索系のファミリアでは事実上のトップという事くらい。

……これも魔法で盗み聞きした情報だ。

 

「ん?先程は私の名前を知らない様子だったが。」

 

「ああ……申し訳ありません。ファミリアとしては存じ上げているのですが、何分オラリオに来たばかりでして。」

 

と、フィンさんやリヴェリアさんと会話していると、何やら凄い敵意を感じたのでそちらを向く。

何故かアマゾネスの内の胸のデカい方が私を殺せそうな目で睨みつけてきていた。……どういう状況?

 

「あの、私何かしましたか?」

 

「ふんっ!白々しい!言っておくけど、団長は私のだから。」

 

「……?」

 

本当に何を言ってらっしゃるのかしらこの方は。

 

「やめなよティオネー、こっちから招待してるんだから。失礼だよ?」

 

「ハッ!その女にその気はねぇだろ。誰彼構わず噛みつきやがって。」

 

「何ですって!?」

 

「はは……何かというか、本当に申し訳ない。」

 

フィンさんがそう言うが、まあ騒がしくていいのではなかろうか。

 

「私も飲んでいいですか?」

 

「勿論、支払いは持つから思う存分飲んでくれ。」

 

……よし!奢りなら飲み明かすぞー!

 

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