ただ、光を見ていた。
どんなときにも消えることのない暖かく強い光を。
そしてそれを飲み込もうとする大きな闇を...
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「アル、そろそろオラリオに向かうかい?」
剽軽な服装をした男が話しかけてくる。
「マーリンか、ああ今日で15になった。それにこれ以上は世界が持たないだろうしな。」
「いっしょに行けないのが心残りだ、僕は君を送り出すことしかできない。」
「マーリンがオラリオで問題さえ起こさなければよかったのにな」
優れた目と力を持ちながらだれに対しても力を貸さず、オラリオ中をかき乱し、ゼウスとヘラファミリアにオラリオを追い出された。「英雄候補を探していたら、ついついやりすぎちゃった!」とは本人談だ。
「今は暗黒期だ、死の七日間が過ぎたとはいえ、未だにオラリオはきな臭いからね。注意するんだよ。」
都市最強派閥の2ファミリアが黒龍に敗れ、都市に訪れた最悪の期間。未だその終わりは見えず、オラリオは低迷している。
「目標を達成するまでは、なにがなんでも生き残るさ。エレボスたちが残した意思を見定めるためにも。それにヴィトーをエレボスに任されている。」
「彼か、僕の眼でも彼がどこにいるのか見つけられない。。こんなことはじめてだよ。」
千里眼でも見つけられない?世界のすべてを見通すマーリンの眼を?
「本当なのかそれは?痕跡さえも見つけられないと?」
「いや時々見える。しかし唐突にその場からきえるのさ。」
「姿を偽っている?彼の体質が故か...とりあえずオラリオに行ってみてから探すさ。」
「そうしてみるのがいいだろうね。明日にはオラリオに向かうのかい?」
「
歩むべき道を見定め、英雄たり得るかを選定する星の意思の具現。マーリンがその意思を魔法で取り出し、それゆえに選定の剣は星の意思を持つ。
「そうか、じゃあ入るファミリアも決めたのかい?ああ、ロキとフレイヤはやめときなさい。君の目標とはかけ離れている。」
「いや、新しく作るさ。マーリンの話を聞く限り、みな僕の目標とは離れているからね。」
「それなら僕の知り合いによい神友がいる。ケルヌンノスという神だ。もし何かあったら尋ねてみるといい。」
「何から何まで助かるよ。一つの節目になったらまた帰ってくる。」
「そんなこと言わずにいつでも帰ってくるといい。僕は君の旅路の幸福を願っているよ。それに君の門出だ。今日は酒でも飲みながら送り出そう。」
「ふっ、親と飲む気分って感じだな。君は僕の育ての親だけれども。」
「ははははは、親らしいことは何もしてないさ。まあ今日は飲み明かそう」
他愛もない話をしながら、焚火を囲い酒を飲む二人を月だけが見つめていた。