1人だけ名前を読み飛ばされても… 新入職員発令式で伝わってきた気持ち

神奈川 ノートの片隅で

川崎市の福田紀彦市長から辞令を受け取る新入職員=川崎市川崎区(橋本謙太郎撮影)
川崎市の福田紀彦市長から辞令を受け取る新入職員=川崎市川崎区(橋本謙太郎撮影)

心に響くひと言だった。

1日に実施された川崎市の新規採用職員の発令式。新入職員は順番に所属と名前が読み上げられ、自分の名前を呼ばれると、その場で起立し、返事をした。それが、自身の配属先を知る最初の機会でもあった。

全345人の名前が呼ばれ、代表者への辞令交付や服務の宣誓なども終わり、福田紀彦市長のあいさつが始まるかと思われたときのことだった。

「私の見間違いでなければですけど、7列目の方、名前呼ばれていないですね。申し訳ありません」。1人だけ読み飛ばされた新入職員がいたことを福田市長は見落とさなかった。そして、「私からの辞令交付なので、しっかり読み上げていただいていいですか」と担当課に注文をつけた。

静寂が会場を包み込む中、担当者らが名簿を確認すること約1分半。ようやくその職員の所属と名前が読み上げられた。新入職員は起立し「お時間をいただき、ありがとうございます」と、手短に感謝の言葉を口にした。

社会人としての初日だ。1人だけ名前を呼ばれず、配属先も分からないまま、発令式が粛々と進行し、心中は不安が渦巻いていたに違いない。

そんな状況でも、しっかりとお礼をいうことができる姿勢からは、前を向く気持ちが伝わってきた。(橋本謙太郎)

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