STAP細胞のことは、
以前ニュースで大々的に取り上げられたので、
知っている方が多いと思います。
「STAP細胞はあります!」と言った小保方さん。
その後、どうなったか気になりますよね。
そこで、調べてみました。
以前投稿した記事はこちらです↓↓↓
<最初の出願(国際出願)>
最初の出願(国際出願)を2013/04/24に行っています。
国際出願は、国際段階は1つの出願で行うことができ、
国内段階で国ごとに審査されるものです。
日本、米国、オーストラリア、カナダ、EPO(欧州)に
国内移行しています。
<出願の経緯>
日本に移行した①特許出願 (2015-509109)は、
2018/02/20に拒絶査定が通知され、
2018/06/20に審判請求書を提出して反論していますが、
2018/07/10に請求取下書を提出して権利化を断念しています。
②分割出願 2018-117481を
①の審判請求書と同時(2018/06/20)に行っています。
(分割出願は権利範囲を変更して再出願できる制度です。)
②分割出願も拒絶査定が通知され、
2020/07/16に審判請求書を提出して反論していますが、
2020/07/30に請求取下書を提出して権利化を断念しています。
③分割出願 2020-122035を
②の審判請求書と同時(2020/07/16)に行い、
これも拒絶査定が通知され、2022/11/01に審判請求書を提出し、
現在審判の結果待ちです。
④分割出願 2022-175459を
③の審判請求書と同時(2022/11/01)に行い、
2022/12/26に補正書(権利範囲の変更)を提出し、
現在審査結果待ちです。
現在生きている出願は2つということになります。
<出願人の変更>
当初は米国のブリガムアンドウィメンズ病院、
東京理化学研究所研、東京女子医大の4者が出願人でした。
今はブイセル セラピューティックス,インコーポレイテッド(V-CELL社)
(誤記のため修正しました。2023.2.20)のみとなっています。
論文の取下や再現性の失敗があって
他の出願人は逃げたのかもしれません。
<拒絶理由の経緯>
①特許出願の最初の拒絶理由は
新規性、進歩性、実施可能要件、サポート要件、明確性、産業上の利用可能性
です。こんだけ多いのは珍しいです。
上記各拒絶理由を簡単に説明しますと、
新規性は、請求項に記載した発明が新しいということです。
進歩性は、従来よりも優れたた効果を発揮することです。
(正確には当業者が発明を容易に創作できないこと)
実施可能要件は、第三者が発明を実施できるように書かれているということです。
サポート要件は、請求項に記載した発明が明細書に書かれているということです。
明確性は、請求項に記載した用語が明確であるということです。
産業上の利用可能性は、発明が産業に利用できるものであることです。
②分割出願の拒絶査定時は実施可能要件だけになっていますので、
実施可能であることを証明できれば、特許も可能かもしれません。
分割出願を繰り返し行っているのは、
いつか実験等によって実施可能であることを
証明できることを期待しているのではないか
という意見もあります。
<請求項の補正>
請求項とは権利化を要求する内容(発明)のことです。
①特許出願の補正前は
【請求項1】 細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法。
①特許出願の補正後は、
【請求項1】
細胞を、低pHストレスに供する工程を含む、
Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法であって、
該低pHが、5.4~5.8のpHであり、且つ、
pHの調整がATPを用いて行われることを特徴とする、方法。
となっています。
(下線で補正した箇所を示すことになっています。)
つまり対象とする発明が「多能性細胞を生成する方法」だったのが、
多能性細胞に至る前の「Oct4を発現する細胞を含有する
細胞塊を生成する方法」に変更しています。
多能性細胞はOct4(遺伝子)を発現することは分っていますが、
Oct4を発現する細胞塊が多能性細胞であるとはいえず、
論点になっているようです。
STAP細胞のPは多能性(pluripotency)のことですので、
もはやSTAP細胞の特許出願でないということですね!
しかし、STAP細胞を生成する前の段階で権利化できると、
より広い権利を取得できる可能性があります。
今度どうなるか、まだまだ注目しておきたい出願だと思います。
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