大阪万博の初日に行った感想
「何だかんだ言われてるけど、始まってみれば結局は高評価になる」と私も思っていたのだが、考えが甘かった。
【やることがない万博】
今回の大阪万博は「並ばない万博」を掲げているらしく、当日長蛇の列ができぬよう、「二ヶ月前抽選」「七日前抽選」と三日目の0時以降の「先着予約」である程度の枠を埋めている。
しかしながら、私は二ヶ月前抽選と七日前抽選を全て落選し、先着予約も朝起きて予約画面を見た時には全ての枠が埋まってしまっていた。
とはいえ当然、当日予約枠もそれなりの数を用意されているのだろうから、一つくらいは見られるだろうと高を括っていたのだが……当日私が指定の時間に入場した時にはもう、全滅していた。
更に、予約なしで当日並べる人気パビリオンも、既に人数規制に達しており、入ることができなかった。
「並ばない万博」を掲げているが、実際には「並ぶことすらできない万博」だったと言っていいだろう。
予約合戦に敗れた我々はなすべくもなく、雨の中をただ彷徨い歩く羽目になった。
Twitterでこれを書いたところ、維新の会信者と思しきアホ共から「事前チェックが足りない」とか「計画性に欠ける」などと引用RTされていたが、やれることはやった上で、どれも見ることが出来なかったのである。
0時まで起きて予約合戦に参加しなかった点が落ち度とすると、朝が早い一般的な社会人はその時点でもう排除されていることになってしまう。
とても国民的祭典がとっていい姿勢ではない。
運営が万博自体の入場者数に対して、パビリオンの入場枠を見誤っていたと言わざるを得ない。
【雨が想定されていない】
万博初日は大雨であった。
気温も低く、あてどなく万博会場を歩き続けた我々は寒さに震え、足取りは重くなっていった。
このままでは死んでしまう、少し休もうと休息できる場所を捜したのだが……無い。
休める場所が無いのだ。
確かに、そこかしこにテーブルとイスは設置されている。
だが、ろくに屋根もないため、雨でビショビショに濡れており、当然、冷たい風に晒されていた。
カフェに入ろうとしても、既に整理券は配り終わっており、今からでは待っても入れないとすげなく追い返された。
4月中旬でここまで寒くなるとは誰も思わなかっただろうから、寒風を防げないことについては、責めはすまい。
だが、この万博はなんと、雨が降った時のことすら想定されていなかったのである。
【戦場と化すフードコート】
降りしきる雨に苦しみ、行き場を失った難民たちが殺到した場所の一つが、フードコートである。
その場所は、料理を注文し、受け取るのに長時間かかるのは勿論のこと、料理を受け取っても人が多すぎて座れる席が無い地獄と化していた。
人々は限られた椅子を奪い合い、ちょっとだけ飯を食べ残して、あるいは食べ終えても席を離れず、いつまでも居座り続けた。
フードコートを出ても、雨風を凌いで座れる施設が無いからだ。
座ることが出来ない人々は、本来食事して良い場所ではない積み上げられた段ボールの上などにトレーを置き、椅子が空くことはないかと目を光らせ、いつまでも席からどかない客と揉めていた。
そこは最早フードコートではなく、一時の休息を求める人々が醜くいがみ遭う、まさに戦場であった。
【難民を受け入れてくれるパビリオン】
難民たちが雪崩れ込んだもう一つの場所がコモンズパビリオンである。
先ほど私は「やることがない」と書いたが、正確に言うと、一応やれることはあった。
それが、予約不要で当日入れる国のパビリオンであり、あるいは複数の国が共同で展示するコモンズパビリオンである。
並ばない万博と言っても、結局それらの国々のパビリオンには長蛇の列ができていた。
予約が取れなかった入場客は、そこにしか行く事ができないからだ。
寒さに震える我ら難民を温かく迎え入れてくれた国々のパビリオン。
言うまでもなく、感謝こそすれ、悪感情など一欠片も抱いていない。
抱いていない。抱いていないのだが……しかし、敢えてここでは言わせていただく。
予約不要なのには、予約不要なりの理由がある。
単純につまらないのだ。
良くて、その国の動植物や伝統文化、取り組んでいる環境保護活動についての説明が浅く書かれたり、民芸品がいくつか展示されているだけ。
こんなこと言いたくはない。言いたくはないのだが、わざわざ遠出してまで見に行くような内容ではない。
しかし、難民たちを受け入れてくれるのは、それらのパビリオンだけだった。
【スラムと化すコモンズパビリオン】
そんな難民キャンプの一つであるコモンズパビリオンに異変が起きていた。
コモンズパビリオンには当然、椅子などはないのだが、難民たちが地べたに座り込み始めたのだ。
単一国のパビリオンには一応、順路というものがある。
一方で、コモンズパビリオンはバザーのようにいくつかの国々の展示が同居しているだけに、一方向の人の流れは生じない。
だから居座り易かったのだろう。
足腰に限界が来て疲れ果てた、特に子連れの難民たちが壁際に並んで腰を下ろした。
その光景はまさに、スラム街のようだった。
会場には警備員もいたが、彼らも、他のスタッフも誰も注意はしなかった。
ここを追い出したとて、雨風を凌げて休める場所など無いと、解っていたからだ。
コモンズパビリオンにいれば、雨に降られることはない。冷たい風が吹きすさぶこともない。暖かな空調は完備されている。
今すぐ出て行って、再び凍えるような風雨の中を彷徨い歩けなどと、誰が言えようか。
難民が悪いのではない。
難民を生み出した為政者が悪いのだと、現場のスタッフ達はみんな理解していたのだろう。
【役立たずの大リング】
あの木で作られた大リングは屋根になるのではないか。
雨に打たれながら入場口で長蛇の列を作る人々は皆、そう期待していただろう。
結論から言えば、あの大屋根リングは屋根ではなかった。
椅子やテーブルが設置されている場所もあったが、普通に雨がリングの下まで入り込み、大半がビッチャビチャに濡れていた。
かなり中の方を歩いていても雨が降り込んでいたので、横風だけでなく、隙間から漏れていたのだと思う。
おそらく名のある建築家が作ったのだと思うが、自分の仕事を恥じて、「利用者のため」という初心に返った方がいい。
【上っ面だけの万博】
この木偶の坊の大リングが象徴的だが、今回の万博は徹頭徹尾「上っ面を装っただけ」という印象を受けた。
バリアフリーをテーマにした展示もあったようだが、肝心の会場は雨が降ったときに身体の弱い人たちが休める場所も用意されていない始末だ。
また、予約をしなければ見られないというのも、情報化社会に取り残された人々を端から排斥してしまっている。
「調和」とは正反対。
実態としては限られたパイを人々が貪り、奪い合う、おぞましい自然状態の万博だったと言えるだろう。
【帰れない人々】
帰宅するために東ゲートから夢洲駅に向かおうとすると、かなりの大回りを強いられた挙句、途中で入場規制がかかり、かなり長時間足止めを食らった。
あの惨状だと、帰宅手段の時間が決まっている人の中には間に合わなかった者もいたのではなかろうか。
最初から最後まで、運営の見積もりが甘すぎたわけだ。
【万博がオススメな人々】
準備不足だなんだとバッシングを受けてはいても、最終的にはそれなりに上手くやるだろうと過信した私は愚かだった。
日本国の衰退っぷりを、まざまざと見せつけられた気分だ。
この万博そのものが国辱と言っていいと思う。
↑で言及した維新の会信者の皆々様も、実際にあの地獄を味わえば、百年の恋も冷めるのではなかろうか。
よっぽど見たいパビリオンやイベントがなければ、わざわざ遠征して行くことはオススメしないし、どこかの学校の修学旅行のようにUSJに行った方がよほど良いとは思うが、彼らには是非とも、梅雨時にでも万博に行ってみて頂きたい。
その朦朧とした頭も、ひょっとしたら覚めるかもしれない。
【胎界主】
なんか予想を遥かに超えて読まれているので、記事の内容と何の関係も無いが、胎界主の宣伝をしておこう。
胎界主第01話『使い魔』
これが正真正銘の第1部の第1話。
とても読み難い。
こんな難解な漫画読めるか! という方にはこちら。
バンシー牧場 01
これは第2部の1話。
1部を通してだいぶ読み易い漫画となっているので、1部はどうしてもムリなら2部から読み始めるのもアリ。
これでもなお読めないという方には、最終手段。
死の神獣 レイス 01
これは第2部の13話。
めちゃくちゃ途中というか、ほぼ終盤である。
2部の1話では興味が持てないという方は、仕方がない、死の神獣レイスから読み始めるのを許可しよう。
実際私もこの辺から読み始めたのよね。
それで今はリアルタイムで更新を追い続けるくらいドハマリしている。
今は最終章である第3部を更新中。
全て無料で読めるので、みんなも今のうちにこの超名作Web漫画を最新話まで追いつこう。
ちなみに、kindleでは高画質版も売っているので、サイトで読み難いなという人はこちらもオススメです。
【(追記)予約ないなら行くなとの意見について】
どうも、「予約が取れなかったのなら、その時点で行くのを止めれば良かったのに、行ったお前の自業自得」みたいなことを言ってくる人がいるのだが、Adoの万博ライブに当たってたから日程変更はできなかったんだよね。
時間も12時に指定されてたし。
というか、そうでなくともホテルや飛行機等の予約を取っている人間からすると、3日前に予約が取れなかったからといって今さらキャンセルなど出来るわけがないことなど、一般的な想像力を持っていればわざわざ説明しなくとも解りそうなものだが。
万博と己を同化して、万博に対する非難を自分のことのように感じて怒り狂う類の人達には、そういった通常の思考能力が欠けているのかもしれない。
あるいは、そもそも万博の予約システムのことも知らずに噛みついてきてるのかな。
ごく普通の方々には今さら言うまでもないのだが、彼らの為に改めて説明しておこう。
なので、まともな知性を持った一般的な方々は読み飛ばして頂いて構わない。
以下、「予約が取れなかったのに行った方が悪い」と主張する方々向けの猿でも解る解説。
万博の事前予約には2回の抽選の他に、3日前先着予約があるというのは冒頭で書いた通りだが、「3日前」というのは「3日前」のことなのね。
ここまでは理解できる?
つまり、事前予約が取れないことが確定したのは、実際に万博に行く3日前なわけ。
この時点でもう、遠征して行く人達はとっくの昔にホテルや飛行機等を予約してる人間が多いのね。
君たちが言ってるのは、そういう人達に対して、取消料を払ってでも3日前事前予約が取れなかった時点でホテルや飛行機等をキャンセルしろと、そう言ってることになるわけ。
自分がどれだけ無茶な要求をしているか、さすがにもう解ったよね?
そして、そもそも万博の公式自体が、「3日前の先着予約が取れずとも、当日入場してからの予約もある」とハッキリ書いているのよ。
それをある程度信用して行ってみたらこのザマだったから、冒頭の内容を書いたのよ。
はい、ここまでの事実を踏まえた上で、もう一度冒頭の文章を読み直してみましょう。
きちんと文章が読めるかな?
Adoのライブの感想
も書いたので、良かったら読んでください。
これは本当にめっさ楽しかった。





コメント
6ハンセイさんへ
色々と大変でしたね。2日目に行った私も予約は十分活用できませんでしたが、印象とはかなり違うようです。通期パスの割引が始まったようですので、是非何度かご利用され、何度も行かれて評価が少しでも改竄されれば良いのですが。
記事を見て思った通りの状況だなあと思いました。
デザイナーが気持ちよく作った建築物というものは、往々にして実用的ではありません。
作っていた職人さんたちがどんな気持ちで作っていたのだろうと思ってしまいます。
現場の方々って実用をかなり意識しますから、おそらく諦めながら仕事を進めていたんだろうなと・・・
実際行った人の生の声いいぞーこれ
テストラン行きました お昼食べに行ったら フードコートになってましたが 料理取りに行く所 段差がありました 私少し前に怪我してて お盆持っておりられません 店員さんにテーブルまで持って行ってもらいましたし サンリオのお店ワゴン車で
階段を登る その階段の手すりグラグラ え!ですよ 車椅子の人は
持ち上げる バリアフリーでないですよ