12歳の「自白」、警察の聴取は3時間超 後に被害申告が虚偽と判明

田中恭太
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 警察に疑われ最初は否定したが、追及を受け続けた結果、最後は認めてしまった――。兵庫県警が昨年2月に行った当時12歳の女児への事情聴取で、そんな事態が起きていたことが朝日新聞の取材でわかった。

 女児が「自白」した後、県警への被害申告が虚偽だったと判明したという。県警の追及が虚偽の自白につながった可能性がある。

 県警は朝日新聞の取材に、女児を聴取した点は認めたが、聴取方法が適切だったかなどは「回答を控える」とした。

 女児が受けた聴取の様子を母親が聞き取った記録などによると、小学6年生だった女児は昨年2月、署に突然呼び出され、署員に前年10月の修学旅行時や11~12月の休み時間に同級生の陰部を触ったかを聞かれたという。「わからない」「覚えていない」と伝えても、「覚えていないはずがない」などと追及が続いたという。

 聴取は3時間超にわたった。最終的に、自分のやったことなどを紙に書くよう署員が指示。女児は「修学旅行時と、11、12月のあたまの休み時間に(同級生の)ちんちんを触った」などと書いた。署員の指示で、署名と指印もした。

 女児は母親に対し、触った認識がないのに「触った」と書いた理由について「どんな説明をしても『思い出して』と言われた。帰りたいのに帰してもらえず、『忘れている私がいけないのだろう』と思った」と説明した。

 一方、署は約1カ月後、調査を進めた結果として「『教室で10回以上触られた』という(同級生の)被害申告は虚偽だった」と説明した。

 国家公安委員会の規則は、14歳未満の触法少年について「精神的に未成熟で迎合する傾向にある」とし、長時間の質問などは避けなければならないなどと定めている。

 県公安委員会は、母親の苦情申し立てに対し、「白紙への記載を求めたが、内容は誘導していない」などと回答した。

 ただ、聴取の際に、保護者の承諾なく女児の写真6枚を県警が撮影した点は内規違反だったと指摘。担当署の幹部が関係した警察官を指導し、県警本部も県内の各署に再発防止のための指導をしたという。

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この記事を書いた人
田中恭太
ニューヨーク支局
専門・関心分野
国連、米国社会、国際情勢、裁判、独占禁止法