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「ココで止まるな!! 加速化プランのその先へ~こどもまんなか政策」集会

で私たちが訴えたい〈提言〉のポイント

加速する少子化の背後で、育児不安や児童虐待、産後うつが深刻化しています。子どもた

ちや若い世代が「子育ては社会を挙げて支援してもらっている」と実感できる政策の構築が

急務です。保育(幼児教育)も、母子保健も、働き方も、財源確保策も、昭和型から急ぎア

ップデートする必要があります。

高齢者福祉が介護保険創設により「家族責任」から「社会全体の連帯」へと転換されたよ

うに、親と子、妊産婦を包括的に社会で支える政策を実現して下さい。そのためには、2026

年までの「加速化プラン」の後継となる「本格的改革のプラン」策定と財源確保の議論が必

要です。関連法案の国会審議でぜひ加味していただきたく、以下をお願いいたします。

1) 支援金制度を踏まえ、予算倍増へ「子ども版の税・社会保障一体改革」の検討を

「こどもまんなか政策」の実現へ、与野党で、子ども・若者のための「税・社会保障一体化改革」

の議論を始め、「子育て予算倍増」に道筋をつけてください。支援金制度に対する批判の背景

には、現役世代に負担が集中する拠出構造への不満があります。全世代、全セクターが参加す

る安定財源の確保策、税制も含めた社会保障との新たな一体改革の論議が必要です。その際、

不十分な子どもの貧困対策、年少扶養控除の復活なども検討し、税と社会保障の両面から子

どもと家庭への支援を大きく強化することを求めます。

2) 「こども誰でも通園制度」を発展させ、「#全ての子への保育保障の実現を

「月10時間」などの制限を作らず、良質な保育(幼児教育)の利用を全ての子どもの権利とす

る「保育の保障」を政策にしてください。欧州などの先進国に「待機児童」がないのは、国連児

童権利条約にもとづき「保育利用は全ての子どもの権利」とされているからです。保育におけ

る就労要件の緩和は前進ですが、「月10時間」では、子ともと保育者の信頼形成、愛着形成は

困難です。また、「保育虐待」「不適切保育」を作らないため、「質」を担保する仕組みとして、保

育の監査・助言機関となる「日本版 Ofsted」の創設を求めます。

3) 妊娠初期から「#全ての親子へ伴走者」がつくシステムを

全ての妊産婦と家庭にかかりつけで継続支援する専門家「子育て版ケアマネジャー」がつく支

援システムが必要です。法案にある「出産育児給付金(10 万円)」は経済面の支援になりますが、

妊娠の悩みを早期に把握し継続支援する伴走者はいないままです。周産期支援の専門性を持

つ助産師のような専門家が「子育てケアマネ」となり、産前産後の孤立、うつ、虐待を防止する

効果的な仕組みを作るべきです。また、「産前産後ケア」「家事育児ヘルパー」「ショートステイ

(宿泊ケア)」「育児用具レンタル」など支援サービスの提供基盤整備も急務です。

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4)「共働き共育て」と本格的な働き方改革に向けた課題

政府の「加速化プラン」は「共働き・共育て」を打ち出し、方向性は正しいものの、働き方改革の

視点が弱いままです。ワークライフバランス向上と少子化改善で成果を上げたフランスなどの

ように、労働基準法の改正による本格的な働き方改革が必要です。日本の男性の家事育児時

間が短いのは、労働時間が長すぎるため。過重な労働時間にペナルティーを設ける「労働時間

短縮策」を導入し、人間らしい人生、出生率上昇、企業の業績向上、若者の賃金アップ、女性活

躍推進の同時達成へとつなげるべきです。

■「誰でも通園制度」への期待と「安心できる保育」を

「誰でも通園制度」の創設は、保育190年の歴史で「働く親のため」でありつづけた保育を「こ

ども権利」の視点から全ての子どもに開く大きな転換点です。真の意味で全ての子ども、保護

者、そして保育者にとってより良い制度となるように、利用時間の拡大、医療的ケア児を含む

障害児を置き去りにしない設計、保育現場に過度な負担がかからない補助金等の設計を実現

してください。「安全な保育」になるよう、子どもの性被害を防ぐ仕組みとして国会審議中の日

本版 DBS についても、対象や範囲に抜け漏れがない制度検討を求めます。

2024 年 4 月 17 日

こどもまんなか政策を実現する会と仲間たち

(公益財団法人あすのば/子どもと家族のための緊急提言プロジェクト

にっぽん子ども・子育て応援団/みらい子育て全国ネットワーク

認定 NPO 法人フローレンス/株式会社ワーク・ライフバランス)