アメリカ国土安全保障省(DHS)のクリスティ・ノーム長官は4月16日、ハーバード大学に対して、外国人留学生の懲戒記録や、抗議活動の参加に関する情報を提供するよう要求した。従わなければ留学生を受け入れるための資格を取り消すとしている。
同省は、留学生の「違法かつ暴力的な活動の詳細な記録」を2025年4月30日までに提出しなければ、学生・交流訪問者プログラム(SEVP)の認証を即時に剥奪すると警告している。
アメリカの大学は、学生・交流訪問者プログラム(SEVP)の認証を受けていなければ、外国人学生に対してビザ申請に必要な書類を発行することができない。
ノーム長官は「もしハーバードが報告義務を完全に履行していることを立証できなければ、同大学は外国人学生を受け入れる特権を失うことになる」と伝えている。
DHSは同時に、ハーバード大学に対する総額270万ドル以上の助成金の取り消しも公表した。
トランプ政権は、ハーバード大学を含めたアメリカ各地の大学で行われてきた、イスラエルのパレスチナ攻撃に反対するデモを「反ユダヤ主義」だと主張してきた。
ノーム長官も、「ハーバードは反ユダヤ主義に屈し、過激派による暴動の温床となり、国家安全保障を脅かしている」「外国人ビザ保有者の暴徒や教職員が反ユダヤ的な憎悪を扇動してきた」と16日の発表で述べている。
しかし、トランプ政権がハーバード大学に求めてきたのは、反ユダヤ主義の取り締まりだけではない。
政権はハーバード大学に対し、行動規範違反のあった外国人学生の報告や、第三者機関による大学の監査の実施、DEI(多様性、公平性、包括性)プログラムの廃止などを求めていた。
ハーバード大学は14日に、この政権の要求を拒否した。
トランプ政権はこのハーバードの決定に対して、22億ドルの助成金と6000万ドル相当の契約の凍結を発表している。
ハーバード学生新聞「クリムゾン」によると、今回新たに発表された留学生受け入れ資格剥奪について、同大学の広報は「14日の声明で述べた通り、自らの独立性を手放すことも、憲法上の権利を放棄することもありません」と、コメントした。
また、広報は「連邦政府が、私たちのコミュニティのメンバーに対して何らかの行動を取るのであれば、明確な証拠に基づき、法的手続きを踏み、すべての個人に保障された憲法上の権利を尊重するものであることを望みます」とも述べている。