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ゼロから始める騎士道生活【第一章】

ゼロから始める騎士道生活【第一章】 - ZERAの小説 - pixiv
ゼロから始める騎士道生活【第一章】 - ZERAの小説 - pixiv
20,440文字
ゼロから掲げる騎士道生活
ゼロから始める騎士道生活【第一章】
リゼロの二次創作です。
これまでにあげていたプロローグと(起)も合わせて一つにまとめました。
そのため、プロローグと(起)を削除しました。コメント·ブクマありがとうございました!

とりあえず書きたかったところは書けたので満足です。
ひとえに反応をくださった方々のおかげです、感謝。

続きは自分の時間と、やる気次第です。
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1962817,357
2021年6月29日 01:57

第1章 ゼロから掲げる騎士道生活


【プロローグ】

 見渡す限りの屍の赤、空を覆う3匹の白。聞こえるのは焦燥と嘆き、そして悪魔の咆哮ばかり。血の匂い。肌に刺さるような鋭い空気。口に広がる鉄の味。ナツキ・スバルが知覚できるあらゆるものが、絶望の二文字を頭の中に過ぎらせる。ヴィルヘルムは捕食されて生死不明、リカードは重傷で治療中。二大戦力が失われた上に、多くの戦士が精神汚染や戦意消失により戦力にならない。リカードを始めとした重傷者や精神汚染者の多くを治療して回っているのはフェリスで、動けない者を白鯨から庇う様に戦っているのは、部隊の将であるクルシュだ。2人とも目の前のことを為すのに精いっぱいで、とてもではないが状況の打開にまで思考が、手が、回らない。加えて白鯨が3匹に増えた謎も解明できていない。事態は最悪、このままでは部隊は消耗していき、全滅も考えられるだろう。
「どうする、どうすればいいっ!?どうすればこの状況を変えられるっ!?」
 状況を好転させるために、スバルはレムと一緒にパトラッシュに跨り、白鯨の3体のうちの1体の鼻先を駆け回りながら、頭を回し続けていた。けれど、
「スバルくん!掴まってください!」
「―――っ!?」
 襲い来る忘却の霧。レムとパトラッシュの尽力により、紙一重での回避を続けているが、命の危機に瀕した状況では、妙案を思いつくことのあるスバルの脳ミソでも、何一つ、打開に繋がる考えが浮かんでこない。どうして白鯨は3体に増えた?ヴィルヘルムさんは?どうやったら助けられる?リカードは?戻って来れないのか?負傷者たちは?態勢は立て直せているのか?白鯨からの攻撃を受けていないか?フェリスは?クルシュさんは?大丈夫なのか?どうすれば状況を打開できる?どうすれば白鯨を落とせる?どうすれば皆を助けられる?どうすれば?どうすれば。どうすれば、どうすればどうすればドウスレバドウスレバドウスレバドウスレバドウス「スバルくんっ!!」えっ…。
 頭を抱えたくなったその瞬間。スバルの身体を支えるその両手の力が抜けてしまったその瞬間。パトラッシュが大きく方向転換しようとしたその瞬間。転がり落ちそうになったスバルにレムが咄嗟に手を伸ばそうとしたその瞬間。その瞬間にだ。
 白鯨の口から、白く恐ろしい霧が放たれた。
 
 大きな質量を持った忘却の霧が、スバルの伸ばした指先数寸を、スバルに手を伸ばしたレムとパトラッシュを包み込み、その風圧がスバルを弾き飛ばす。何もない平原を勢いのまま転がり地に伏したスバルが、顔を上げ目にした光景は、霧により抉れた大地と、大空を翔る3匹の白い悪夢だった。
「レム…?パトラッシュ…?…!?レムっ!?パトラッシュっ!?」
 見渡しても声の限り名前を叫んでも、姿は見えず返事はない。状況を見れば2人に何があったのかは明らかだ。けどスバルはそれを認めたくない。絶対に認められない。またあの時のように、スバルにとって大事な人が、皆にとっても大事であったはずの人が、世界から存在ごと消えてしまう。ただ1人スバルの記憶以外から。自分を支えてくれたレムとパトラッシュがいなかったことにされてしまうなんて、そんなことは許されない。そんなことはきっと自分には受け入れられない。だから、血眼になって探し、狂ったように名を呼び続ける。
「レムゥゥゥ!!パトラッシュゥゥゥ!!」
けれど、返ってくるのは大気を震わせる咆哮と、
「うわああぁぁぁぁ!」「来るなっくるなぁぁ!」「もうおしまいだぁぁ!」
「立てっ!立って構えるんだっ!動けない者を守るんだっ!」
白鯨を恐れ、怖気づき、絶望を嘆く声と、仲間を鼓舞しようと1人剣を振るクルシュの声だ。動けない者は増え続け、フェリスの手が追い付いていない。守るために戦っている者はもはやクルシュただ1人だ。「見えない斬撃」で牽制を続けているが、クルシュの疲労もあり、次第に押され、白鯨に迫られつつあった。
「クルシュ様!!逃げてください!!」
 自陣の目と鼻の先にまで白鯨が迫り、主の身を案じたフェリスが退避を請う。だが、
「私は、下がらないっ!」
 その主はそれを良しとはしなかった。どこまでも気高く実直な女将は、最後まで立ち向かい戦うことを選んだ。後ろの仲間を守るために、剣を振り続けた。だが、そんな覚悟を嘲笑うかのように。
 白鯨はその巨躯で小さな彼女を押しつぶした。

「いやああぁぁぁぁっ!!?クルシュ様っ!!クルシュ様っ!!」
 白鯨に突っ込まれ、五体がばらばらに血の池に浮かんだ。そこにフェリスは、診ていた負傷者を捨て置いて、一心不乱に、いや狂気に乱れながら駆けつけて、ひたすらに治癒魔法をかけ続けた。だが、もう手遅れなのは、クルシュ・カルステンが「終わって」しまったのは、フェリスほどの治癒術師でなくても一目で分かることだった。それでも彼はやめなかった。最愛の主だったものに必死に泣き叫びながら。
「いやだ、いやだっ!?クルシュ様ぁぁぁっ!?」
 無駄だ、諦めろと周りの誰も言うことはない。皆もはや自分の命を気にかけるのに精いっぱいだからだ。ただ、その血の池を作ったものを除いて。白鯨は、甲高く啼いた。彼の行為は笑うかのように、上空から、見下すように。そして、白鯨は悠々と再び突っ込んできた。
「…この、畜っ生がああああああ!!!!」
 迫りくる白鯨に、普段の彼からは考えられないような怒気を含んだ声と口調、そして愛らしさは欠片も見えない睨みの利いた顔を向けた。逃げることもせず、立ち向かうこともせず、彼は治癒魔法をかけ続けた。だが、最後の瞬間、大口を開けた白鯨が目前に迫った瞬間、フェリスはいつもの愛らしい顔で、主の身体を強く抱きしめた。クルシュ様、そう聞こえた気がした。地に響く衝撃と盛大に舞う土埃が落ち着いた頃には、主も従者もなく、抉れた地面があるだけだった。

「あ…、あぁぁ…。」
 ナツキ・スバルは絶望していた。これまでの死と同等かそれ以上に。自分を支えてくれるレムとパトラッシュは見つからず、自分が巻き込んだクルシュやフェリスの死を目撃した。白鯨の討伐を共に目指したヴィルヘルムやリカードの生死は分からない。クルシュの部下達も、「鉄の牙」達も、そしてあの老兵達も、その多くは殺され、傷つけられ、冒された。
全滅も時間の問題だろう。約180名。これまでの死に戻りの中で、スバルが死なせてしまった最大の人数だろう。その命の重さと、自分の無力、無謀、無能に打ちひしがれる。レムとともに、ゼロから歩いていくと決めたばかりだというのに、これまで以上の絶望に心が完全に折れてしまいそうになる。俺に何ができるというのか。部隊がほぼ壊滅してしまった今、戦う力のない俺がどれだけ足掻こうとも、事態を好転させることはできないだろう。駄目だ、今回はどうすることもできない。俺の力では…。
 そんなスバルのもとにも、白鯨は同じように最後を告げに訪れた。無力感に苛まれる今のスバルには、とてつもなく大きな魔獣だった。現に、スバルの命は、白鯨の一息によって摘まれることになった。
 忘却の霧に包まれる直前、スバルの頭には後悔の念ばかりだった。俺にもっと力があれば、もっと頭が回れば、死なずに済んだのに。白鯨を討伐できて、ヴィルヘルムさんの宿願を果たすことができたのに。エミリアの下に向かうことができたのに。俺に力があれば、「剣聖」ラインハルトのような力があれば、と。


 この「ナツキ・スバル」の後悔が、次の命に引き継がれたのは、アストレア家双子の次男、「スバル・アストレア」が4歳の時だった。

ゼロから始める騎士道生活【第一章】
リゼロの二次創作です。
これまでにあげていたプロローグと(起)も合わせて一つにまとめました。
そのため、プロローグと(起)を削除しました。コメント·ブクマありがとうございました!

とりあえず書きたかったところは書けたので満足です。
ひとえに反応をくださった方々のおかげです、感謝。

続きは自分の時間と、やる気次第です。
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1962817,357
2021年6月29日 01:57
ZERA
コメント
りい
りい
面白かったです。 ぜひ続きを!
2021年7月6日

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