公明党「○○○○と進む会」とその収支報告書への公開質問状
なぜ政治団体をいくつも作る必要があるのか?
公明党国会議員の政治資金収支報告書を読み進めていくうちに、かなり違和感を感じる収支報告書があることに気付いた。それは「公明党国会議員の名前+と進む会」という名の政治団体が多数あったことだ。
たとえば、岡本みつなりと進む会、国重とおると進む会、佐藤しげきと進む会といったぐあいである。加えて、斉藤てつおと進む会、赤羽かずよしと進む会、中野ひろまさと進む会、北がわ一雄と進む会、いさ進一と進む会、いなつ久と進む会、等の政治団体の収支報告書を確認している。まだ他にもあるのかもしれないが、いずれも衆議院小選挙区の議員(前議員)である。
これらの議員(前議員)は、基本的に公明党衆議院小選挙区の政党支部と、自身が代表を務める後援会(いずれも国会議員関係政治団体にあたる)を有している。その他にも政治団体を有している議員もいる。まだ他にもあるかもしれないが、以下に筆者が確認した進む会が存在した公明党国会議員の本来の政治活動を行っている政党支部、後援会と思われる政治団体(国会議員関係政治団体にあたる)およびその他政治団体を以下に記しておく(北側一雄、佐藤茂樹、稲津久の各氏は引退表明されたが、後継議員あるいは候補者にこのような手法が引き継がれたくないのであえて記しておく)。
斉藤鉄夫 公明党衆議院小選挙区広島3区総支部、斉藤鉄夫後援会、斉藤てつおを励ます会(これは進む会と同様の団体と思われる)
赤羽一嘉 公明党衆議院小選挙区兵庫第2総支部、赤羽一嘉後援会、赤羽かずよしを励ます会(進む会のような団体と思うも、令和5年は休眠状態だった)
北側一雄 公明党衆議院小選挙区大阪第16総支部、北がわ一雄会
佐藤茂樹 公明党衆議院小選挙区大阪第3総支部、友樹会
稲津久 公明党衆議院小選挙区北海道第10総支部、九の会、いなつ久を励ます会(これも政治資金処理用の団体と思う)
岡本三成 公明党衆議院小選挙区東京第29総支部、三成会、岡本みつなり励ます会(公明党東京都本部と岡本氏の政治資金処理用の団体か)
中野洋昌 公明党衆議院小選挙区兵庫第8総支部、中野洋昌政経懇話会、中野洋昌後援会
国重徹 公明党衆議院小選挙区大阪第5総支部、国重徹を励ます会、友光会
伊佐進一 公明党衆議院小選挙区大阪第6総支部、伊佐進一後援会
これらの政治団体とは別に、「○○○○と進む会」という政治団体があるということなのだ。なのでこのような団体の存在を知ったときは、公明党の政党支部や自身が代表を務める政治団体とは別に、そもそもなぜこのような政治団体がさらに必要なのか、という疑問が真っ先に生じた。
当初は、国会議員本人が代表を務める国会議員関係政治団体とは別の、本来の後援会的性格の政治団体かとも思ったのだが、内容に目を通すと不自然な点や疑問を感じる点が多々あり、これはおかしいと思うようになった。
以下に疑問点をあげていく。
⒈ 政治団体としての活動実態がないのではないか?
政治団体の代表を公明党国会議員経験者が務めているのだが、同じ都道府県選出の議員の場合、代表はそれぞれ別の議員経験者が務めているのに、主たる事務所の所在地が同じで、しかもその所在地は公明党の各都道府県本部の所在地とも一致していた。なので、代表は名義だけの可能性が考えられるうえに、団体も政治団体としての活動実態があるものではなく、たんに政治資金を処理するための、いわばマネーロンダリングや裏金処理を目的としたダミー、ペーパー会社ならぬペーパー団体なのではないかとの疑念を強く持った。
たとえば、赤羽かずよしと進む会の代表者は赤松正雄(元公明党衆議院議員)で、中野ひろまさと進む会の代表者は但馬久美(元公明党参議院議員)なのだが、両政治団体の主たる事務所の所在地は兵庫県神戸市中央区八幡通4-1-6で同じであり、しかもこの住所は公明党兵庫県本部の所在地でもある。
大阪でも、佐藤しげきと進む会の代表者は田端正廣(元公明党衆議院議員)、国重とおると進む会の代表者は峯山昭範(元公明党参議院議員)、いさ進一と進む会の代表者は春田重昭(元公明党衆議院議員)、北がわ一雄と進む会の代表者は近江巳記夫(元公明党衆議院議員)であったが、これらの政治団体の主たる事務所の所在地は大阪市西区新町4-10-4ですべて同じ、しかも同住所は公明党大阪府本部の所在地でもあった。これらの団体は、すべて政治資金の処理を目的としたもので、政治団体としての実態はないのではないか。
⒉ なぜ会計責任者が同一人物の政治団体が複数あるのか。
赤羽かずよしと進む会、斉藤てつおと進む会、岡本みつなりと進む会および国重とおると進む会の会計責任者はSで同一人物と思われる。他にも北がわ一雄と進む会、いなつ久と進む会および佐藤しげきと進む会の会計責任者はTでこれも同じ名前。いさ進一と進む会と中野ひろまさと進む会の会計責任者はM。同一の都道府県選出の議員の政治団体の会計責任者が同じというのは、事務所の所在地が同じなら適切とはいえないとしても兼職が可能かもしれないのでまだ理解できる。しかし、都道府県が違うのに会計責任者が同一人物というのはどうだろうか。この場合、政治団体としての日常の活動が円滑に行えるとは到底思えない。人間の身体は一つしかないのだ。それぞれが独立した団体であるべきはずの複数の政治団体の会計責任者が同一人物ということは、やはりこれらの政治団体が名目だけのもので政治団体としての実態がないことの証拠だと思う。
⒊ さらに、なぜすべての進む会の事務担当者が同じなのか?
すくなくとも筆者が目を通した全ての「○○○○と進む会」の事務担当者が同一人物で、会計責任者の中の一人、Mが務めていた。ということは、やはりそれぞれの団体が独立して政治活動をしているとは思えず、おそらくM、S、Tらは公明党の職員で、これら実体のないダミー団体の会計処理、事務処理は実際には事務所の所在地(公明党の各都道府県本部)で行われているものですらなく、一括して公明党本部で行われていたのではないかとの疑念を強く持った。
⒋ なぜ同一年の収支が常に一致し、毎年残高がゼロ円なのか。
奇妙なことに、これらの団体の収入と支出は毎年常に同額で、翌年に繰り越す残額がゼロなのもすべて同じで極めて不可解だった。通常の政治活動を行っていれば、毎年、毎年、常に収入と支出が同額で残額がゼロなどということはまず起こりえない。毎年残高がゼロになるという事は、支出にあわせて同額を収入となるように寄付しているからだとしか考えられない。そうだとすると寄付される側の団体に自主性や独立性などありえず、寄付する側が全ての主導権を握っていることになる。そして、こういった手法は独立した政治団体の活動を想定している政治資金規正法の趣旨に反する会計処理だと言わざるを得ない。
⒌ なぜ寄付金の増減が極端で、寄付がそのまま支払いに充てられているのか?
公明党からの寄付金は基本的には選挙が想定されていないと思われる年はそれぞれの進む会に一律同額が交付されていた。令和2年は衆議院の解散がうわさされた時期もあったためか、寄付金も多いようだった。(多いようだというのは令和2年の収支報告書はすでに公開期限が過ぎており、現在筆者の手元にあるのは国重とおると進む会の収支報告書のみなので)、令和2年の国重とおると進む会へ公明党から交付された寄付金は647,9110円で、全額その年の支払いに充てられていた。令和3年は衆院選が実際に行われ、それぞれの進む会への寄付金も多かった。以下、詳述する。
令和3年の各進む会への公明党からの寄付金は、 約700~1140万交付されており、斉藤てつおと進む会には0円(別に斉藤てつおを励ます会に約2600万円)、 赤羽かずよしと進む会に9,976,940円、 岡本みつなりと進む会に9,905,233円、中野ひろまさと進む会に9,553,356円、 北がわ一雄と進む会に7,008,658円、佐藤しげきと進む会に7,255,486円、いなつ久と進む会に11,389,602円、国重とおると進む会に8,073,811円、いさ進一と進む会に7,351,741円、斉藤てつおを励ます会への寄付金と合わせると各進む会への寄付金の合計額は約9650万円で、一億円近い金額であった。
そして、それらの全額がその年の支払いに充てられていた。令和4年は一律219,000円。令和5年は155,499円。斉藤てつおと進む会のみ令和3年から5年まで収入支出とも0円。令和5年は他に北がわ一雄と進む会には155,000円、そして特筆すべきは筆者が調べた限り、上記の進む会の全てが令和5年11月を機に解散の手続きがとられていた。
選挙のある年とない年の寄付金の差が大きすぎるうえに、活動実態のある政治団体なら15万~20万円で年間の政治活動費が賄えるとはとても思えない。選挙のない年の各進む会への寄付金の合計額の百数十万から百八十万円近くが裏金化しているのではないかとまず疑った。155,499円や219,000円という半端な額なのも、15万や20万ちょうどの丸い数字だと疑われるからそれを避けてのことかと思う。選挙のある年の数百万単位の寄付金も、それがたとえば印刷費なら選挙ビラやチラシ等の選挙関連費用としか考えられない。しかし、それなら選挙時の収支報告書として選管に提出すべきもののはずではないのか。そうではなくあくまで政治活動だというなら、自身の政党支部や後援会の政治資金として処理すればよいだけではないか。なぜわざわざ別の政治団体を作る必要があるのか。
また、数百万の寄付の場合、何回かに分けて交付されているのだが、寄付金が交付された日付で全額そのまま印刷費等の支払いに充てられており、これも不自然だと感じた。一見、金額が違うようにみえても同日付の支払額の合計額が寄付金と一致しており、こういった小手先の目くらましの手法を用いるところが担当者のうしろめたさを感じさせる。しかし、寄付金をそのまま支払いに充てるなら、そんな迂遠な手法をとらずに直接支払えばよいだけではないか。本来、公明党本部や公明党各都道府県本部あるいは公明党各議員が代表を務める政党支部や後援会等の政治団体で支払いを行うべきものを、国会議員関係政治団体よりも領収書の添付や公開の基準が緩いその他の政治団体に迂回して支払わせたか、公明党本部や公明党各都道府県本部の収支報告書に載せたくない事項を迂回して進む会を経由して会計処理をしていたのではないかとの疑問を持っている。
⒍ なぜ支払いの多くが東京の数社に集中しているのか?
しかもこの印刷費等は、それぞれの進む会の主たる事務所の所在地に関わらず、おもに東京にある共通する数社に集中して支払われており、極めて不自然だと感じた。たとえば大阪や兵庫、さらには北海道に事務所がある政治団体がたとえば東京の印刷会社にわざわざ発注するだろうか。
印刷物の重量や輸送コストを考えれば地元の印刷会社に頼むのが普通ではないか。進む会の公明党議員が代表を務める政党支部等の国会議員関係政治団体の収支報告書をみれば上記東京の会社への発注もみられるが、多くは地元企業への発注であった。なので実際に仕事を発注しているのはやはり公明党本部で、領収書の添付や公開の基準額が緩いその他政治団体を利用して公開を免れたい、あるいは公明党本部の収支報告書に記載したくない等の理由で進む会経由で支払いを行っているのではないか。ダミー団体経由の政治資金処理か、表に出せない選挙関連費用(たとえば他党への攻撃ビラ?)の疑いが濃いと考える。
⒎ なぜ突然令和5年11月に一斉に解散したのか?
令和5年11月10日、上記の全ての進む会が一斉に解散手続きに入っている、宣誓書の日付が全部令和5年11月10日付。日付の記入が手書きの場合、数字の書き方の特徴が同じ。別々の団体なのに不自然だが、全ての団体の事務担当者が同一人物ならむしろ当然か。ということは各進む会はそれぞれ独立した存在ではなく、やはり公明党本部によって一括して管理されていた政治資金処理用のダミー団体だった証拠だといえると思う。解散の際の宣誓書のみ代表者の記名押印あるいは署名が必須だが、すべての進む会が代表者欄は記名押印であった。記名押印が認められているからそうしたまでだと言われればそれまでだが、やはり政治団体としての実態がなかったことの傍証にはなりうるのではないか。また、署名は自署に限られ、代筆は政治資金規正法の虚偽記載か刑法の公文書偽造、違法となるので避けたのだろう。
なぜ突然すべての進む会が解散したかの理由を推測すると、考えられるのは自民党の裏金問題の発覚だ。令和5年11月2日の読売新聞の報道で自民党の裏金問題が表面化し、政治問題化したことで、公明党は自党への波及を恐れて上記のような問題点の多い進む会を解散することにしたのではないだろうか。もし、そうであるのならば公明党はこれらの進む会の存在や、その他政治団体をダミーとして迂回させる政治資金処理の手法が、政治資金規正法に抵触しかねないことを充分自覚していたものと思われる。
であれば、なぜ励ます会は現在も存在しているのか?
令和5年11月を機に公明党の○○○○と進む会は一斉に解散したが、筆者が調べたところ、多少の違いはあるが、おそらく現在も進む会と同様のその他政治団体を迂回する手法を用いて政治資金処理を行っている政治団体が公明党にはまだ存在している。
斉藤てつおを励ます会(事務所は斉藤議員の広島事務所と同じ、寄付は公明党広島県本部からが主)、
赤羽かずよしを励ます会(事務所は赤羽議員の神戸事務所と同じ)、
岡本みつなり励ます会(事務所は岡本議員の荒川事務所、寄付は公明党東京都本部からが主)、
いぬかい明佳を励ます会、この団体の代表は元参議院議員で弁護士の荒木清寛氏、名義貸しという弁解も許されない。こういうことはやめろと諫言すべき立場のはずだ(寄付は主に公明党愛知県本部から)。
石井啓一を励ます会(事務所は埼玉県、寄付も公明党埼玉県本部から)、
伊藤たかえを応援する会、きりがない。
これが法曹資格を有する議員、議員経験者の多い政党のすることか。
リーガルチェックどころか、やりたい放題ではないか。まるでなってないじゃないか。
活動実態のない政治団体を設けて政治資金処理のため、あるいは領収書の添付や公開をすこしでも逃れるための隠れみのに利用するような政治資金処理の仕方や収支報告は、政治団体の悪用に他ならず、政治資金規正法の趣旨を踏みにじるものである。いくら公明党が自らをクリーンだと宣伝しても無意味だ。この現状、ていたらくでは公明党が政治資金改革を掲げたところで看板に偽りありと断ぜざるを得ない。公明党が政治資金改革を今後も主張するつもりなら、まず励ます会を含めたこのようなダミー団体のすべてを解散し、この件について明確に謝罪したうえで、そののちに政治資金改革を論じてもらいたい。
最後に一言。


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