年金を「月15万円」もらいながら、会社員としても「月給20万円」を受け取る父。確定申告したか聞いたら「どちらも税金が引かれてるから不要」とのことだけど、本当に大丈夫? 申告しない場合のペナルティも解説
納税は国民の三大義務の1つで、本来であれば各自が確定申告をし、税金を計算して納税する必要があります。ただし、会社員の場合は毎月の源泉徴収と年末調整が、年金受給者の場合は毎月の源泉徴収があるため、多くの人は確定申告が不要です。 では、会社で働いて給料をもらいながら、年金も受給している人はどうでしょうか。確かにどちらも税金が差し引かれているため、一見確定申告は不要のように思えます。しかし、給与に対する税金は「給与しかもらっていない前提」、年金に対する税金は「年金しかもらっていない前提」で計算されています。 給与と年金を両方受け取っている場合は、それに応じた再計算、つまり確定申告が必要です。 本記事では、年金受給者が確定申告をしなければならない条件や、申告しなかった場合のペナルティ、そして確定申告が必要だったと気づいた場合の対処法を解説します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
年金受給者が確定申告をしなくてよいケースとは?
月20万円の給与収入と、月15万円の公的年金収入があるケースを考えてみましょう。年金受給者の場合、以下の3つの条件をすべて満たしている場合は、確定申告が不要とされています。 ●公的年金等の収入が400万円以下 ●公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる ●公的年金以外の所得が年に20万円以下 本ケースの場合、年金は月15万円×12ヶ月=180万円なので、「公的年金の収入が400万円以下」という条件は満たしています。しかし、給与収入があるため、3つ目の条件が問題です。 給与収入は月20万円×12ヶ月=240万円ですが、給与収入全額が「給与所得」となるわけではありません。給与所得は、「給与収入-給与所得控除」で計算します。 給与所得控除の計算式は収入額によって異なりますが、180万円超360万円の場合の計算式は「収入金額×30%+8万円」です。つまり、給与収入が240万円の場合は、給与所得控除が240万円×30%+8万円=80万円となるため、給与所得は240万円-80万円=160万円となります。 給与所得が20万円を超えることとなり、「公的年金以外の所得が20万円以下」を満たせず、確定申告の義務が発生するのです。 なお、給与所得控除の最低金額は55万円(2025年以降に受け取る給与収入からは65万円に引き上げ)なので、給与収入が年間75万円以下(同85万円)で、かつ公的年金以外の所得がない場合は、確定申告が不要ということになります。