② 平等法と「女性スペース」の整理英2010年平等法ではトランスの人(法的なステータスを問わず)に対する差別は禁止されており今回の判決でもそれは維持されている。トランスの人を、トランスではない人と異なる扱いをすることは原則として許されないが、平等法には除外規定もあり、「正当な目的を達成するための相応の手段」と認められれば、トランスの人を性別で区分されたスペースから排除することは差別には当たらないとされてきた。たとえばイギリスでは刑務所における性別区分は、法的区分とは別に、その人の状態(過去の犯罪歴などを照会したアセスメントなども含む)を考慮して判断される。このような判断においては、トランスの人をシスの人と異なるプロセスで処理することは差別には当たらない。
この辺りの議論はよく意図的に歪められ「法的な性別変更の要件を緩和したら刑務所や全裸利用施設で性暴力が」といった議論に絡められがちだが(そのように煽ることでトランスへの反感を高める政治的勢力もいる)、なんでも同じように扱わなくてはいけない、という法体系が進められているわけではない。