県警、被害女性の転居先漏らす 逗子の刺殺事件
逮捕状読み上げる
神奈川県逗子市でデザイナー、三好梨絵さん(33)が刺殺された事件で、県警が2011年6月、脅迫容疑で元交際相手の無職、小堤英統容疑者(40)を逮捕した際、逮捕状に記載された三好さんの結婚後の名字や転居先の市名などを読み上げていたことが9日、県警などへの取材で分かった。
これを手掛かりに同容疑者が三好さんの住所を特定した可能性があり、県警は当時の対応を検証している。逗子署の山口雅見副署長は「通常の逮捕手続きで、問題はない」と説明。一方で「名字を旧姓にするなど他の手があったかもしれない」と話している。
刑事訴訟法などには、通常の逮捕状による逮捕の場合、容疑者に逮捕状を示し、被害者の氏名などが記載されていることもある逮捕容疑の要旨も告げると規定。
警察庁幹部は「逮捕状に書いてあることを被疑者に読み上げないのは、法律上極めて難しい」と指摘。別の幹部は、ストーカー事件の個別の事情を配慮して住所や氏名をぼかすような指示はしていないとしている。
三好さんは都内に住んでいたが、08年ごろに別の男性と結婚して逗子市に引っ越し、ストーカー行為を受けていた小堤容疑者に転居先や結婚後の名字を知られないよう生活していた。
県警によると、小堤容疑者は三好さんが以前勤めていた会社に身内を装って電話したり、インターネットで情報提供を求めたりして執拗に住所を調べていた疑いがある。
また、ネットの掲示板に、三好さんの夫の名前を挙げ「昔、お世話になった方を捜しています。詳しい住所が分かりません。ご存じの方がいらっしゃったらmailで連絡して下さい」との書き込みがあった。県警は小堤容疑者が書いたとみている。自宅から押収したパソコンなどを解析して経緯を調べている。
三好さんは6日午後、逗子市の自宅で遺体で見つかり、小堤容疑者が首をつって死亡。県警は三好さんを殺害後、自殺したとみて容疑者死亡のまま殺人容疑で書類送検する方針。〔共同〕