81歳の新入生「学ぶことは生きること」 岡山に夜間中学が新設
毎日新聞
2025/4/10 08:15(最終更新 4/10 09:01)
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岡山県内初の公立夜間中学校が岡山市立岡山後楽館中(同市北区南方)で開校し、8日に開設式と入学式があった。経済的な事情などで十分に義務教育を受けられなかった10代から80代の1期生12人が入学。新入生で韓国籍の河樑守(ハ・ヤンス)さん(81)は「もう一度学び直したい。学ぶことは生きること。私たちは、この決意を胸にここにいる」と力を込めた。
夜間中は、戦後の混乱期に小中学校へ通えなかった高齢者や、不登校の経験を持つ人らに「学び直し」の機会を提供する場。文部科学省は都道府県、政令市に少なくとも一つの公立夜間中の設置を推進している。
岡山市は2019年に市民を対象に実施したニーズ調査を契機に開設準備を進め、岡山後楽館中に夜間学級として設置した。対象は15歳以上で、市内在住者に加えて協定を締結した近隣自治体からも入学できる。平日夜に全9教科を学び、原則3年(最長6年)で中学卒業資格取得を目指す。
入学式には11人が出席し、田中光彦校長が「自分らしい花を咲かせることができるよう支援することを約束します」とあいさつ。新入生代表の河さんが「年齢も人生経験も違うそれぞれを認め合い、安心して学び続けられる学級をみんなで作りたい。一生懸命学び、社会に貢献できる人になる」と誓った。
式後は教室に移動し、担当教員と真新しい教科書に目を通し、今後の学校生活について説明を受けた。
家庭内不和で10歳の頃から度々家出して建設現場などで働いていたため、学校に通えなかったという抜田正美さん(72)は「履歴書を書く時に字が分からないなど、学ばなかったことで困ったことはたくさんある。今が青春。わくわくしている。教科書を見て『これはちょっと大変だ』とは思ったけど」とほほ笑んだ。【平本泰章】
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