ってれば、変なタイミングで現れるし……しかも爆睡して」

純一「それはちょっと理由があってだな……!!」

薫「はいはい。アンタのくだらない言いわけなんて聞きたくないわよ……
  それよりも、どうしたの急に」

純一「えっと、それは……」

薫「こうやってわざわざファミレスまで……探しに来たみたいだし。なにかあたしに用があったんじゃないの?」

純一「……………」

薫「……なによ、言えないこと?」

純一「──いや、そういうことじゃない、んだが……うん…」

薫「もうっ、はっきしないわね。しゃきっとしなさい!しゃきっと!」

純一「え、お、おはぁっ! ちょ、薫……っ! 首に手を入れんなよ……冷たい!!」

薫「ふふー! なに可愛らしく抵抗しちゃってんのよ~ ほれほれ~」こしょこしょ

純一「や、やめろって……そこは本当にだめだって──あはははははは!!!」

薫「相変らず背中弱いのねアンタ。それー」こしょこしょ

純一「ひゃひゃひゃ!わ、わかったから……言うから薫、や、やめて…あははは!!」

薫「ほんとにぃ~? 嘘だったらしょうちしないわよ~?」こしょこしょ

純一「う、うそついてんどうす、あははは!!!」

薫「んじゃ、おーしまい!」

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:19:18.74 ID:If8wb+Z80
純一「ははは……はぁ、なんだかどっと疲れが……」

薫「この薫さんと肩を並べるんだから、それぐらいどうってことないでしょ?」

純一「うん、まぁな……」

薫「──それで、どうしたのよ純一」

純一「………」

薫「話してくれるんでしょ。ほら、早く」

純一「それは、だな……」

薫「うんうん」

純一「……お前の、転校のことなんだが……」

薫「転校?──それはまた今さらながらの話ね。それでそれで?」

純一「……えっと、あの……」

薫「うん?」

純一「それだけ、かな……?」

薫「…………」

純一「…………」

薫「………」

純一「………薫?」

薫「はぁああ!? え、それだけなの!?」

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:22:33.45 ID:If8wb+Z80
純一「え、うん……それだけだけど…?」

薫「なによーまったく……変にもったいぶるから、もっと凄いことだと思ったじゃない!」

純一「なっ……なんだよ、お前が転校するんだぞ!? これのどこか凄いことじゃないんだよ!」

薫「……ねぇ、純一。あたしからも聞きたいんだけどさ」

純一「な、なんだよ……」

薫「なんで、あたしが……あんただけにしか、転校するってこと言ってなかったと思う?」

純一「そ、それは……その、悪友だからか?」

薫「ちっがーうわよ。ほんっとあんたってばかよね」

純一「ば、ばかっていうなよ!」

薫「ばかよ、ばか。本物のばか」

純一「……そこまで言わなくてもいだろ別に……」

薫「すねないすねない……本当のことなんだから、今は黙って聞きなさいって」

純一「……わかった」

薫「あたしがね、純一にしか転校する事をいってなかったのには理由があったの。
  ……まぁ、今はアンタが色々と言いふらかしてみんな知ってるけど」

純一「ま、まあそうだな……ごめんな薫」

純一(それら一切、僕は知らないけど……)

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 17:23:52.01 ID:okz7iWoAO
 

74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:23:55.06 ID:If8wb+Z80
薫「いいのよ、別に。あたしもあたしで馬鹿だったし、アンタが気をまわしてくれた
  おかげで……色々とスッキリ出来たしさ。そこは感謝してる」

純一「お、おう……」

薫「──でも、それと一緒にちょっと恨んでる」

純一「え……?」

薫「──ねぇ、なんであたしが絵を描き始めたのか知ってる?」

純一「えっと、知らないな……うん」

薫「でしょうね。ちゃんと言ってなかったし、言うつもりもなかったけど」

純一「おい」

薫「いいじゃないの。これから言うんだからさ」

すっ……

薫「んん~!……あのね、今日はちょっと薫さん……色々と溜めこんでたの、
  すっごく頑張ってアンタに告白するわー!」

薫「──ちゃんと聞いててね、純一」

純一「……わかった。ちゃんと聞いておく」

薫「てーんきゅ。あのね……純一、あたしはアンタが好きでした!」

純一「おう……ってえええ!?」

薫「ふふん、驚いてる驚いてるっ」

純一「え、でもおま……本気でか?」

薫「だから、言ってるじゃない。棚町 薫は──橘 純一が好きで好きで、
  本当に好きでたまりません──でした。ってね」

75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 17:25:17.43 ID:okz7iWoAO
 

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:25:22.21 ID:If8wb+Z80
純一「……おう。そうか」

薫「それでねー……確かにあたしは、アンタに振り向いて欲しかった。
  色々と頑張ったけど、やっぱり友達っていう関係は壊せなかった」

純一「…………」

薫「色々と頑張ったのよ? いきなり抱きついたりとか、耳噛んでやったりとか…
  アンタは全然、なにも感付いてくれなかったみたいだけどね~」

純一「そう、か……」

薫「そんでもって、絵なんか始めちゃってさぁ~……これもまた動機が不純!
  ただただ、凄いあたしをアンタに見せつけてやるだけって話なのよ」

純一「……確かに、薫は凄いと思う。それは認めるさ」

薫「ふふん、てーんきゅ。
  ──でもね、それじゃダメだった。むしろ悪化してた」

薫「アンタとは距離が離れて行く一方だし、こっちはこっちでなんか受賞しちゃうしさ」

純一「…………」

薫「──だからそのうちに、あたしの心も色々と覚えちゃったのよ。
  堪える方法とか、忘れる方法みたいな感じでさ」

薫「そうやって頑張ってるうちに──あたしはあたしで無くなった。
  いや、別に悪い意味ではなくてよ?良い意味で、あたしじゃなくなったの」

純一「どういう意味だよ?」

薫「難しいこといっても、アンタじゃわかんないでしょ。軽く受け取んなさい。
  実際、あたしだってよくわかってないし」

純一「なんだよそれ」

薫「あたしも純一と一緒で、ばかってことよ。ばか中の馬鹿。
  そんな馬鹿でどうしようもないあたしは──最後に、アンタに呪いをかけて行こうって思ったの」

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 17:26:37.18 ID:okz7iWoAO
 

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:26:42.67 ID:If8wb+Z80
純一「呪い…? なんだよ、それ」

薫「それは──あたしって呪い。橘 純一を陥れるために、棚町 薫がかけるつもりだった呪い──」

薫「──例えばそう、急に転校した奴が……その旨を一人だけに伝えていたとしたら……どう思う?」

純一「……それは、一人だけの奴が……色々と悩み続けるだろうな。
   なんで自分だけって──あ……」

薫「気付いたかしら? ふふ、そう。あたしはそのつもりで、アンタだけに伝えたの」

薫「──ここからいなくなっても、あたしをという存在を忘れないように。とびっきりの呪いを」

薫「アンタに、ね?」

純一「……そんなことを、思ってたのか…」

薫「なーのに、アンタってば変に行動力あるしさ~
  いつのまにか、みんなに知れ渡っててびっくりしたのよ?」

純一「…………」

薫「これじゃあ呪いの意味が無いって──これじゃあ、なにも残せないって」

純一「……馬鹿言うなよ。薫は薫だ、そんな真似しなくても僕が薫を忘れるなんてことは…」

薫「……ううん、忘れちゃうわ。きっと」

純一「薫……」

薫「確かに、アンタはあたしのこと忘れたりはしないと思う……でも、結局は忘れると思う。
  あのときなにをしたかって、何をはなしたかって、アンタは常に覚えてはいないと思う」

純一「…………」

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 17:28:43.37 ID:okz7iWoAO
 

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:28:47.95 ID:If8wb+Z80
薫「だからこその……呪いだったのよ。いっつもあたしのことを忘れないようにして、
  思い出を記憶として保存してほしくて……あたしは、呪いをかけたつもりだったの」

薫「ま、失敗しちゃったけど」

薫「──これが、全部。あたしのあんたに──純一にずっと隠しておくつもりだった告白、おしまい!」

純一「…………」

薫「なに、湿気た面してんのよ。今、そんな表情をするのはあたしのほうでしょ」

純一「……薫…」

薫「んー?なに、純一」

純一「なんで、今日……それを言おうって思ったんだ…?」

薫「ん?ん~……なんでかしらねぇ。とりあえず、あたし明日には外国に行くでしょ?
  だから──」

純一「へっ!? ほんとにか!?」

薫「本当にかって……ちょっとちょっと。なに忘れてんのよ! お別れパーティの時、いったじゃないのっ」

純一「へ……あ、ああそうだなっ!確かに言ってた!」

薫「………?」

純一「あ、あはは……はは…」

薫「……ねぇ、純一」

純一「な、なんだよ?」

薫「ちょっと、アンタに質問があるんだけど。いいかしら?」

純一「ど、どんとこい……!」

薫「──アタシのお別れパーティ、どこでやった?」

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 17:29:48.99 ID:okz7iWoAO
 

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:29:53.46 ID:If8wb+Z80
純一「へっ!?」

薫「カウント十秒前──十、九、八……」

純一「えっと、その……あの……あれだよあれ…!」

薫「──五、四……ヒント。梅原くん──」

純一「っ……あ、それだ! 梅原家の寿司屋!どうだ!?」

薫「……………」

純一「……あ、フェイク……?」

薫「………」すたすた…

薫「──梅原君が言ってたのは、本当だったのね。あと恵子も」すっ…

純一「え……?梅原?田中さん…?」

薫「そうよ、今日街で二人に会ったのよ。そしたら、いの一番でアンタのことを
  教えてくれたわ……なんか今日のアンタは、おかしいって」

純一「二人が……」