…………」

純一「………だめだ…考えても、なにもわからない……本当に、気が狂いそうだ………」

純一「……ってあれ?あれは──」

テラス

純一「おーい、美也……」

美也「……あ、にぃに…」

純一「こんなところで、なにをしてるんだよ……弁当を食べてる様子でもないし」

美也「うん……食べるつもりだったんだけどね…。ちょっとあってさ」

純一「……どうしたんだよ? 朝はあんなに元気だったじゃないか……」

美也「……うん。そう、なんだけど…………」

純一「……とりあえず、にぃにとして妹の話は聞くぞ?」

美也「………本当に?」

純一「お、おう……どうしたんだよ。今日、なにかあったのか?」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:49:13.83 ID:If8wb+Z80
美也「ううん、するつもりだったの……今日はみんなで久しぶりにご飯食べるって約束してて…」

純一「みんな? すると……七咲とか、中多さんとか?」

美也「うん……でも、それがだめになっちゃってさ……こうやって一人でテラスにいるんだ」

純一「だめになったって……あんなに仲良かったじゃないか。断られでもしたのか?」

美也「…………」

美也「……ねぇ、にぃに。最近、紗江ちゃんと会ったことある…?」

純一「中多さん?──え、最近……っていうとその……」

純一(それは、僕が聞きたいよ……〝最近〟って言葉がこんなに怖く感じるなんて……)

美也「……とりあえず、みゃーは最近、紗江ちゃんのこと見てないよ」

純一「お、おいおい……見てないって…同じクラスだろ?」

美也「………出てないの、最近」

純一「え?」

美也「だから……紗江ちゃん、授業にでてないの」

純一「ば、馬鹿言うなよ……! あの中多さんだぞ!? お利口さんで、可愛らしい中多さんが授業サボるなんて……っ!」

美也「……みゃーもそう思う。でも、そう思ってたのは去年まで…」

純一「……どういうこと、だよ…」

美也「知らないの? けっこう輝日東高では有名だと思うよ……アニメ研究部…しらない?」

純一「アニメ、研究部……?」

美也「うん……そこに入ってから紗江ちゃん、色々と変わっちゃって……今はみゃーともそんなに話すこともないよ…」

純一「え、そんなわけ……だってあんなにも美也と仲良しだったじゃないか…」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:50:31.25 ID:okz7iWoAO
 

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:50:36.96 ID:If8wb+Z80
美也「…………そうだね、ほんとに仲良しだったのに…どうしてこうなったんだろ」

純一「今日も、中多さんはきてないのか……?」

美也「うん……今日は来るって、昨日、街で会った時に言われて……久しぶりに紗江ちゃんと喋って嬉しかったのに……」

純一「……………」

美也「でも、今日はきてないんだよ……全然、姿も見てない……たぶんだけど、またあの男の人たちと一緒に出かけてるんだ…」

純一「お、男の人たち……?」

美也「アニメ研究部の人……はぁ、でもみゃーはちょっとこんなことになるって思ってはいたんだよ、にぃに…
   だから、そんなに悲しそうな顔しないでね」

純一「……そうか」

美也「だって、本当に最近は……みんなとおしゃべりできてなくて…逢ちゃんとも最近は喋ってないし」

純一「七咲ともか?」

美也「……逢ちゃんは部活が、ね。色々と最近、不調が続いてるみたいで……それで塚原先輩が付きっ切りで練習してるみたい。
   だからみゃーも誘いにくくて…」

純一「そうか、七咲……部活頑張ってるんだな…」

純一(……本当に、これはどういうことなんだ……みんな、みんな変わってしまってる……
   もう、僕が悪いのだろうか……この僕がいること自体が、存在してるのが悪いのかな──)

美也「………」じっ

純一「……ん? どうした、急にこっちみつめて…」

美也「ねぇ、にぃに」

純一「なんだよ、どうした?」

美也「……にぃには、離れていったりしないよね?」

純一「ば、馬鹿なこと言うなよ……僕が美也の前からどっかいくなんてありえるか?」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:51:55.32 ID:okz7iWoAO
 

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:52:04.42 ID:If8wb+Z80
美也「──そうだけど、そうなんだけど……でも、みゃーはそう思って……
   みんなと離れ離れになりつつあるよ……こうやって、一人でご飯を食べてるよ……」

純一「美也……」

美也「──お願いにぃに。にぃにだけは、にぃにだけでも……みゃーから離れないでね」

純一「あ、ああ……わかった。と、とりあえず……一緒に飯食べるか?」

美也「……うん」

放課後・廊下

純一「………………」すたすた

純一「……………」すたすた

「──ねぇ、昨日のmステみたぁ?」
「──みたみた、でてたよねぇ!すごーい!」

純一「…………」すたすた…

「──おんなじ学校の子がでてるって本当に凄いよね!」
「──そうそう!だって私と同じクラスのあの子がだよ!」

純一「………」すた…

「──そうだよねぇ!だってあの─」
「──梨穂子ちゃんが……」

純一「っ!……」

純一「ちょ、ちょっとそこの……!」

女の子A「え……なに、どうしたの?」

純一「い、いま……梨穂子の名前言わなかった…ッ!?」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:53:40.06 ID:If8wb+Z80
女の子A「え、うん……言ったけど」

女の子B「誰、この人……?」

女の子A「しらないよ…」

純一(そ、そうだよ……っ!梨穂子が居るじゃないか…!
   僕と幼馴染の、あいつなら……アイツなら何も変わってなんか…!)

純一「かわって……」

純一「……君が、その、持ってる奴、なに…?」

女の子A「……これ? これはあれだよ、今大ブレークの桜井リホのcdだけど……」

純一「CD……?桜井、リホ……?」

女の子B「ね、ねぇ……なんか怖いよこの男子……」

女の子A「う、うん……えっと…それだけかな…?」

純一「え……うん……ごめん…」

女の子A「……それじゃ、いこっ」たったった…

女の子B「うん……なんだろね、あの人──」だっだっだ…

女の子A「わかんないよ──」たったった……

純一「………………」

純一「………なに、が…もう……僕、は…」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 16:55:10.04 ID:okz7iWoAO
 

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 16:59:23.53 ID:If8wb+Z80
純一「………………」

純一「…………」

純一「……」

純一「…」

純一「────────」

公園

純一 ふらふら…

純一「………」

純一「……ベンチ、……」すとん

純一「……………」

純一「…………」

純一「みんな…みんな、変わってしまった…僕が知らないうちに、全てが僕から遠ざかってしまっていた…」

純一「僕の、僕の知らない数日間で……なにもかも、僕の手が届かない場所に…みんな、みんな……」

純一「森島先輩も……薫も、絢辻さんだって」

純一「中多さんも……七咲も…そして、梨穂子も……」

純一「僕の知らない、僕の知ってない彼女たちになってた……でも、これが現実で……」

純一「僕だけが、違う現実………」

純一「ッ……どういうことなんだよっ……僕は、僕はただ…っ!!」

純一「あの時のっ……あの時のことを忘れようと、忘れようと……した……だけ、なのに……」

純一「しただけ……なのに……」

純一「…………」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 17:00:57.50 ID:okz7iWoAO
 

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:01:03.53 ID:If8wb+Z80
純一「……僕は、おかしいのだろうか」

純一「独り、知らない場所にいて……知らない現実を知って……」

純一「こうやって……なにもかもしらない自分が……全て悪いんだろうか…」

純一「彼女たちの……色々な部分をすっかり忘れてる自分が、自分が……僕が…」

純一「忘れてしまってる……僕が……」

純一「……居なくなってしまえばいいのだろうか……」

純一「………………」

純一(──僕だけが間違ってる。みんなが合っていて、僕だけが外れている)

純一(──みんな色々な考えを持って、今を生きているのに……僕は違ってしまっている)

純一「…………」すっ…

純一「…………」すたすた…

純一「……」すた…

純一「……もう、もう……だめだ。耐えきれない、僕は……僕はこうやって一人でいるのは…」

純一「もう、無理だよ……」

純一「もう、ここから逃げ出したい……僕は無理だ……」

純一「忘れよう……全部、全部しらないことにして……僕はもう、いなくなればいい……」

純一「……」

純一「……そうだよ、そうすれば……例えば、ここから……ちょっと踏み出せば…ここからでも──」

純一「──ここから、居なくなれる……」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(九州) 2011/11/23(水) 17:02:43.09 ID:okz7iWoAO
 

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) 2011/11/23(水) 17:02:49.93 ID:If8wb+Z80
純一「もう、なにも後悔なんてない……全部終わってしまったんだから……そう、全部」

『……にぃには、離れていったりしないよね?』

純一「ッ……ごめん、美也……僕は、約束は守れそうに……」

純一「……ないよ」

すっ……



ばきっ!

純一「──……ん?ってうぉおおお!? なんか急に乗り出そうとした柵が折れ──」どしん

純一「あたた……なんだ急に、こんなに柵ってもろいものなのか……?」さすさす…

純一「………」さす…

純一「──なんだ、これ?」

純一「ベンチの下に……手紙…?」

純一「…………」きょろきょろ

純一「……誰かの落としものって訳じゃないよな──」ぺら

純一「──え? なんで……」

橘 純一様へ

純一「ぼ、僕の名前が書いてあるんだ……?」

純一「………」

純一「……読んで、みるか…?」かさかさ…

純一「でも、誰か僕と同じ同姓同名の人のやつかも……」かさ…