放送業界が根本から変わる最後のチャンスかもしれない
3月24日放送の日本テレビ「月曜から夜ふかし」の番組内で、「中国人はカラスを煮て食べるから、カラスがいない」など事実とはまったく異なる悪意ある噓の内容に脚色し放送した。
これが表面化した後、日本テレビは「テレビメディアとしてはあってはならない事」「製作スタッフが意図的に編集した」「製作プロセスを徹底的に見直して再発防止に努める」と謝罪し、村上総務大臣も「日本テレビは社会的役割を自覚し適切に対応してほしい」と発言した。
フジテレビ問題が進捗するなかでの異例な素早い反応だろう。しかし、このような「テレビメディアとしてはあってはならない事」は、各局で過去何十年も綿々と繰り返されてきた。数多くの「事前の仕込み」、「作為的演出」などきりがない。優秀なテレビ番組に与えるギャラクシー賞を取った某番組も中国人の取材対象者に「CCTV」の取材と偽って中国人スタッフに取材させていた。日本のTVからの取材だったら受けなかっただろう。翻訳を捻じ曲げるなどもずっと行われてきたことだ。
しかしこれは決して現場の制作スタッフだけの問題ではない。根本原因はすべて現在の日本の放送局が抱える「コンプライアンス」、「ガバナンス」への自浄作用と自らへの危機感の欠如に起因しているのだ。視聴率の為に中国人への印象操作の偽情報を流し、予算の為に危機管理を無視して中国政府の下請けのようなドキュメンタリーを制作する。「やらせ」や「悪意ある演出」、「情報操作」が現象として繰り返し浮かんでは消えるのはあくまで表層的な症状の一端にすぎない。
確固たる市民メディアがいまだ確立しない日本で、玉石混交合のネットメディアが世論を主導する情報の混乱は様々な社会的リスク要因を生む。闇バイトなど新たな社会犯罪やデジタル詐欺も情報の錯綜に影響され進化していく。地方選挙などの政治的混乱も次から次に産まれてくるだろう。TVなどマスメディアの劣化と不信はそれらをさらに加速させる。韓国やアメリカの政治的混乱も決して他人ごとではない。それを狙った認知戦など安全保障の問題も迫りくる危機だ。
総務省はフジテレビに行政指導を開始したが、これを機に放送法の改正や現在の電波の割り当てなど含め、新たな競争原理の導入など大胆な放送改革を早急に審議する必要がある。もうはやTVメディアが世論を主導する時代は終焉に向かっている。今回のフジテレビ問題は存亡を兼ねた日本の放送業界を根本から改革する最後のチャンスかもしれないのだ。
(本稿へのご意見はinfo.joji@ymail.ne.jpまで)