(社説)維新と立花氏 党の責任が問われる
選挙を自らのよりどころとするはずの議員が、公正な選挙を傷つける行為を重ねてきた人物に対し、議会のルールを破ってデータを提供する。斎藤元彦知事への告発問題に揺れる兵庫県で、信じがたい実態が明らかになった。
兵庫維新の会の増山誠県議が、告発内容の調査を担う県議会百条委員会の録音データを、立花孝志氏に渡していたと公表した。
立花氏は当時、知事選で自身の当選は目指さず斎藤氏の応援を表明して運動する「2馬力選挙」を展開していた。党首を務める政治団体は昨年の都知事選で選挙ポスターの枠を実質的に販売した。
データは昨年10月25日の百条委の質疑の一部。斎藤氏の側近だった前副知事が、斎藤氏を告発した元県民局長の公用パソコンにあったプライバシーにかかわる文書について話し始め、委員長が制止した場面のやりとりだった。
百条委は原則公開だが、直後の知事選への影響を考慮しこの日は非公開で、選挙後に公開する段取りだった。データを得た立花氏は街頭演説やネットで音声を公表。百条委は不都合な事実を隠していると批判し、SNSなどで拡散された。斎藤氏の再選に影響を与えたと考えられている。
百条委は、プライバシーに関する事項は調査対象としていない。知事選直前の会合を非公開とすることも多数決で決め、増山氏は委員の一人として賛成していた。
非公開の議事の漏洩(ろうえい)は県議会の規則で禁じられている。データの提供について、増山氏は立花氏の発信力に期待した旨を説明し、「ルール違反を謝罪したい」と語った。
だが、問題はより根深い。選挙をないがしろにする人物に対し、選挙を基盤とする政治家としての問題意識はなかったのか。増山氏は百条委委員を辞職したが、県議としての資格を疑わざるをえない。
維新県議の問題はこれだけではない。百条委副委員長だった岸口実氏は知事選期間中に立花氏と会い、委員だった竹内英明県議を「(告発問題の)黒幕」呼ばわりする紙を渡したという。立花氏がそれを発信して拡散され、竹内氏は県議を辞職し、その後死去。自死とみられる。
岸口氏は「立花氏にお会いしたことが一番の反省すべき点」として百条委委員を辞職したが、事態の深刻さをどれほど認識しているだろうか。
日本維新の会の政党としての責任は重大だ。維新は2県議の会見と処分を予定するが、厳正な対応ができるのか。代表の吉村洋文・大阪府知事の見識が問われている。
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- 【視点】
〈選挙を自らのよりどころとするはずの議員が、公正な選挙を傷つける行為を重ねてきた人物に対し、議会のルールを破ってデータを提供する〉今回の問題の本質はこれに尽きる。
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- #兵庫・内部告発問題