竹中平蔵「玉木雄一郎総理説」…税金減らすなら「年金を70歳からに引き上げ」なぜ財務省解体デモは意味ないのか
民主主義の中には「財政膨張が自動的に組み込まれている」
私が小泉政権で経済財政担当大臣を務めていた頃は、「骨太の方針」を通じて歳出削減の道筋を示しました。当時は「プライマリーバランスの黒字化」という明確な目標を掲げ、それに向けた具体的な道筋を示していました。しかし、その後の政権では財政規律が緩み、コロナ禍を経て財政赤字は拡大の一途をたどっています。 民主主義の中には「財政膨張が自動的に組み込まれている」という問題があります。ノーベル経済学賞をとったブキャナン教授の指摘です。景気が悪い時には財政を拡大し、景気が良くなったら縮小するはずですが、実際には縮小しない。責任政治の人気取りのために支出を増やすわけです。絶対減らないんです。 これは日本だけの問題ではありません。アメリカでも財政赤字は拡大し続けていますし、欧州諸国も同様の問題を抱えています。しかし、日本の場合は高齢化が急速に進んでいるため、問題はより深刻です。
本当に歳出を削減するなら「年金の開始年齢を65歳から70歳に」
本当に歳出を削減するなら「年金の開始年齢を65歳から70歳にする」などの改革が必要ですが、そうした議論は進んでいないのが現状です。政治家は選挙を意識するあまり、有権者に痛みを伴う改革を提案することを避けています。しかし、このままでは財政膨張は避けられません。 さて、今の石破政権にはポリティカルパワーがないと前述しましたが、現在の石破政権を見て、明らかに「霞が関ベース」になっていると感じています。霞が関、つまり官僚が政策決定に大きな影響力を持っているのです。石破内閣が力を持てていないため、相対的に霞が関の力が強くなっています。もちろん、官僚だけでなく他のセクターも結構影響力を与えていますが、政策の実際は官僚が決めているといっても過言ではありません。 また石破さんは安全保障や地域創生以外のことに対してほとんど興味がないといわれています。だからこそ余計に「霞が関ベース」になりやすい。自分でこうやるべきだという感じで方針を出すことはほとんどありません。著書などを読んでも、とても経済政策や社会保障政策については深い関心を持っていないようにはみられません。
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