問題の廃虚はのどかな里山の風景が広がる場所にぽつんと立っていました。

「イット!」取材班が向かったのは、大阪・阪南市。

生い茂る木々に覆われ、ひっそりとたたずむ旧温泉旅館。
壁には、誰かが書いた落書きがいくつも確認できます。

建物は激しく損傷し、営業している様子は見られません。

1930年に開業したこの旅館は、40もの客室や100畳の大宴会場を備え多くの温泉客でにぎわっていましたが、住民によると数十年前に廃業したといいます。

近隣住民:
(子どもの頃)旅館で遊んでいた。この辺はよくマツタケが採れた、秋になったらお客さんでいっぱいですごかった。

かつて“大阪の奥座敷”と称された温泉街。
今では、その姿は見る影もありません。

周囲には立ち入りを禁止する看板が多数設置された廃旅館。
15日は、物々しい雰囲気に包まれていました。

14日午前5時45分ごろ、廃旅館で火災が発生したのです。
火の手が上がったのは畳を積み上げていた2階の部屋でした。

近隣住民は「びっくりしました。誰も住んでいないのに…。ちょっと不安ですよね、こういうことがあれば」と話しました。

「イット!」は火災の第一発見者だという女性に話を聞くことができました。

近隣住民:
すごく黒煙が上がって大変だったみたい。線路のところまで(煙が)来てて…。物騒ですよね。

現場近くにはJR阪和線が通っているため、この火災の影響で4本が運休した他一部の列車に遅れが出たといいます。

誰もいないはずの廃旅館での火災。
近隣住民からは「若い子が心霊スポットと言って来るらしい。警察は一生懸命捕まえようと思ってやっているがあかんねん」と不安の声が上がりました。

火災があった廃旅館はネットで“心霊スポット”として取り上げられ、ユーチューバーなどの不法侵入が後を絶ちません。

3年ほど前に投稿された動画を見ると、客室とみられる部屋には畳が積み上げられていました。

トイレは壁中ぎっしりと落書きだらけ。
さらに、名物だった露天風呂は床や天井が損傷し荒れ果てた状態。いつ崩れてきてもおかしくない危険な状況です。

「イット!」が動画の投稿者に問い合わせたところ、返答はありませんでした。

相次ぐ不法侵入。
警察は、放火と自然発火の可能性も視野に出火原因を調べています。

関西テレビ
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